『アルメニアン・ダンス』(英: Armenian Dances)は、アメリカの作曲家アルフレッド・リードが作曲した吹奏楽曲である。
アルメニアの比較音楽学者であるコミタス・ヴァルダペットの収集したアルメニアの民謡を素材として作曲された。5つのアルメニア民謡が続けて演奏される単一楽章の《アルメニアン・ダンス パート1》と、アルメニア民謡に基づく3つの楽章からなる《アルメニアン・ダンス パート2》がある。《パート1》と《パート2》を合わせて4楽章からなる1つの組曲である[1]が、楽譜はそれぞれ別の出版社から出版されており[2]、「出版上の都合から」とされるその詳しい事情は公式には明らかにされていない。
日本においては、作曲から40年以上経った後でも人気があり、プロフェッショナルの楽団に限らず、全日本吹奏楽コンクールの自由曲や演奏会のプログラムの1曲として取り上げる学校や団体は多い。演奏会のメインプログラムとして、一つの交響曲もしくは組曲として全4楽章を演奏する例も見受けられる。
特に《パート1》は、変化に富んだ曲想が好まれ、単独で演奏されることも非常に多く、長く定着している。関西で開催されるマーチングイベント『3000人の吹奏楽』では2010年から毎年、出場者と一般参加者全員によってこの曲の演奏が行われる。また、三重県内の中学・高校生から選抜されてプロ奏者の指導を受けるミエ・ユース ウインド・オーケストラでは毎年この曲を演奏曲目に加えている。
日本人作曲家・編曲家の手による編曲版が存在している。
このほか小林健太郎による「ホルン10重奏」、高橋宏樹による「吹奏楽 極小編成版」「サクソフォン8重奏版」、渡邊一毅による「クラリネット5重奏版」、比嘉修による「木管8重奏版」などのアンサンブル版が作成されている。
※《パート1》《パート2》とも、各曲の標題は異なる日本語訳が用いられるケースがある。
1972年の夏に完成された。出版はサム・フォックス (Sam Fox Publishing Company) 。演奏時間は約11分。
1973年1月10日、ハリー・ベギアン(ビージャン) (Harry Begian) 指揮、イリノイ大学吹奏楽団。この楽団の指導者であったベギアンに献呈された。
木管 | 金管 | 弦・打 | |||
---|---|---|---|---|---|
Fl. | 2, Picc. | Crnt. | 2, Tp. 3 | Cb. | ● |
Ob. | 2, C.A. | Hr. | 4 | Timp. | ● |
Fg. | 2, Cfg. 1 (任意) | Tbn. | 3, Bass | 他 | スネアドラム、バスドラム、クラッシュシンバル、サスペンデッドシンバル、タンバリン、ベル、ヴィブラフォン、シロフォン |
Cl. | 3, E♭, Alto, Bass, C-Bass | Bar. | ● | ||
Sax. | Alt. 2 Ten. 1 Bar. 1 Bass 1 (任意) | Tub. | ● |
5曲のアルメニア民謡のメドレーのような形式で、これ自体が1つの組曲のような構成になっている。
《パート1》が出版されてから4年後の1978年に、アメリカのバーンハウス社 (C. L. Barnhouse Company) から出版された。演奏時間は約22分。
1976年4月、ハリー・ベギアン指揮、イリノイ大学吹奏楽団。《パート1》と同じく、ベギアンに献呈された。
木管 | 金管 | 弦・打 | |||
---|---|---|---|---|---|
Fl. | 2, Picc. 1 (3rd Fl.持ち替え) | Crnt. | 2, Tp. 3 | Cb. | ● |
Ob. | 2, C.A. | Hr. | 4 | Timp. | ● |
Fg. | 2, Cfg. 1 (任意) | Tbn. | 4 | 他 | スネアドラム、バスドラム、クラッシュシンバル、サスペンデッドシンバル、タンバリン、ベル、ヴィブラフォン、シロフォン、トライアングル、トムトム、ゴング |
Cl. | 3, E♭, Alto, Bass, C-Bass | Bar. | ● | ||
Sax. | Alt. 2 Ten. 1 Bar. 1 | Tub. | ● | ||
その他 | ハープ |
《パート1》とは異なる出版社から出版されたため、楽譜には改めて1〜3の楽章番号が付けられている。