イカロニクテリス

イカロニクテリス
生息年代: 新生代古第三紀暁新世末期 ~ 始新世前期
55–45 Ma
イカロニクテリス化石
I. indexの化石(ロイヤルオンタリオ博物館の展示品)
地質時代
新生代古第三紀暁新世末期 ~ 始新世前期
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: コウモリ目 Chiroptera
: アルカイオニクテリス科 Archaeonycteridae
: イカロニクテリス属 Icaronycteris
学名
Icaronycteris
Jepsen, 1966
  • I. index

イカロニクテリス (Icaronycteris) は、新生代暁新世末から始新世前期 (5,500万 - 4.500万年前) にかけて生息した既知では最古のコウモリの一つ。哺乳綱 - コウモリ目(翼手目)に属する絶滅属名ギリシャ神話イカロスにちなむ[1]。また、種小名 index第二指(英語名 = Index finger)に爪を持つことから[2]

形態

[編集]

頭胴長約10センチメートル。の数が38本と現生種よりも多く、食虫類に似た臼歯をもつ。また、を動かす筋肉の付着点となる胸骨はあまり発達しておらず、皮膜も尾に届いていない。翼開長と翼の幅の比などからも、現生の小型コウモリよりも飛行能力は劣っていたと推定される[3]。また、種小名の由来となった前肢の第二趾は長い鉤爪を残しており、尾も長かった。以上の点で現生群とは異なるが、それ以外の部分の形態は現生のものとは大きな差はない。頭骨の形態から、エコロケーションを行っていた可能性もある[4]

上記のように、イカロニクテリスは既に飛翔とエコロケーション能力を兼ね備えるなどコウモリとして特殊化しすぎており、その祖先を推察することができなかった。しかし2003年、同時代に生息したより祖先的なコウモリ、オニコニクテリスが発見されている。

生態

[編集]

食性は、化石化した胃の残存物や歯の形態などから、昆虫食であったと推定される。おそらくは現生種と同じく洞窟などで暮らし、夕刻や夜間に昆虫などを捕らえていたと思われる。

分布

[編集]

北アメリカ大陸アメリカ合衆国ワイオミング州グリーンリバー累層及びヨーロッパから化石が産出。

脚注

[編集]

参考文献

[編集]
  • エドウィン・ハリス・コルバート、マイケル・モラレス、イーライ・C・ミンコフ『脊椎動物の進化』田隅本生(訳)、築地書館、2004年。ISBN 4-8067-1295-7 
  • 冨田幸光『絶滅哺乳類図鑑』伊藤丙雄、岡本泰子、丸善、2002年、137 , 139頁頁。ISBN 4-621-04943-7 
  • ヘーゼル・リチャードソン、デイビッド・ノーマン(監修)『恐竜博物図鑑』出田興生(訳)、新樹社〈ネイチャー・ハンドブック〉、2005年。ISBN 4-7875-8534-7 
  • 日経サイエンス』、日経サイエンス社、2009年5月。 

関連項目

[編集]