イギリス鉄道802形

イギリス鉄道802形車両
基本情報
運用者 グレート・ウェスタン・レールウェイ(802/0形、802/1形)
ハル・トレインズ(802/3形)
トランスペナイン・エクスプレス(802/2形)
製造所 日立製作所笠戸事業所
日立製作所ニュートン・エイクリフ工場
日立レールイタリアピストイア工場
製造年 2017年 -
製造数 9両編成14本、5両編成46本
運用開始 2018年8月20日
主要諸元
編成 5両編成(802/0形、802/2形、802/3形)(3M2T)
9両編成(802/1形)(5M4T)
軌間 1435 mm
電気方式 交流 25 kV 単相50 Hz
架空電車線方式
設計最高速度 201 km/h (125 mph)
編成定員 326人(802/0形)
647人(802/1形)
編成重量 252.8 t(802/0形)
438.2 t(802/1形)
車体長 25,850 mm(先頭車)
26,000 mm(中間車)
車体幅 2,740 mm
車体高 3,620 mm
機関 MTU 12V 1600 R80L
機関出力 700 kW
主電動機 日立製作所
主電動機出力 226 kW
出力 904 kw
編成出力 2,712 kw(5両編成)
4,520 kw(9両編成)
制動装置 回生ブレーキ
保安装置 AWSATPETCSTPWS
備考 主要数値は[1][2]を参照。
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802形(Class 802、クラス802)は、日立製作所が製造するイギリス高速列車用車両。電化区間・非電化区間双方で走行可能なバイモード車両で、2018年8月20日グレート・ウェスタン・レールウェイで営業運転を開始した[3]。このほか、ハル・トレインズトランスペナイン・エクスプレスでも運行されている。

概要

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日立製作所が製造し各路線に投入されている高速鉄道用車両800形(クラス800)と同様に、電化区間では架線から集電し非電化区間では床下のディーゼルエンジンにより発電機を稼働させて電力を得るバイモード車で、インターシティー125を始めとした既存の高速列車を置き換える目的で各路線に導入される。ただし、800形に搭載されているディーゼルエンジンの出力が560kW(751HP)である一方、802形は700kW(939HP)に向上している他、燃料タンクも大型化されており、非電化区間における長距離運転に適した構造になっている。

運用

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グレート・ウェスタン・レールウェイ

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非電化区間を走る802形

グレート・ウェスタン・レールウェイグレート・ウェスタン本線に電化計画に合わせてバイモード車両の800形と電化区間専用の801形(クラス801)を都市間高速鉄道計画(IEP)の一環で導入する一方[4]、電化区間の終点となる予定のブリストル・テンプル・ミーズ駅[5]より先のデヴォンコーンウォールへと伸びる非電化区間への乗り入れのため、長距離輸送に適した高速鉄道用車両が必要となった。そこで導入されることになった新たなバイモード車両が802形である。

第一編成は日立製作所笠戸事業所で製造された後2017年8月9日から走行試験が行われた[6]。そして2018年8月20日から営業運転を開始し[3]、最終的に5両編成22本(802/0形)、9両編成7本(802/1形)が導入される予定となっている[7]。なお、当初は同年7月16日に営業運転を開始する予定であった[8]

グレート・ウェスタン・レールウェイ 802/0形
グレート・ウェスタン・レールウェイ 802/1形

ハル・トレインズ

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ハル・トレインズ向け802形

2016年11月、ハル・トレインズは、信頼性の低さが課題となっていたアルストム製の180形気動車「アデランテ」英語版コラディア1000)に代わり、5両編成の802形(802/3形)を5本購入することを発表し、その旨に関して日立レールヨーロッパと契約を交わしたと発表した。導入金額は6,000万ポンドで、2019年11月に塗装の発表を含めた一般公開が実施され、翌月の12月5日から営業運転を開始した。これらの列車には「手本」「模範」を意味し、ハル・トレインズのターミナル駅(ハル・パラゴン・インターチェンジ英語版)の名前の由来にもなった「パラゴン」(Paragon)の愛称が付けられている[9][10][11][12][13]

ハル・トレインズ 802/3形「パラゴン」
実際の営業時には車体下部にラッピングが施された
802/3形バイモード車両(パラゴン) 編成表
号車 E D C B A
L K J H G
形式 DPTF MS MS MS DPTS
座席数 1等 24 18
2等 58 88 86 56
車椅子スペース 2箇所
車内設備 トイレ(車椅子対応) トイレ
荷物置き場
自転車用スペース
トイレ
荷物置き場
荷物置き場 トイレ(車椅子対応)
荷物置き場
備考・参考 [14][15]

トランスペナイン・エクスプレス

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試運転中の802形

2016年にトランスペナイン・エクスプレスと日立製作所の間で802形(802/2形)の納入計画が交わされ、2018年4月20日笠戸事業所で製造された最初の編成が日本からイギリスへと出荷された[16]。翌2019年9月30日から営業運転を開始し、最終的に5両編成19本が導入される予定となっている[17][18]

なお、トランスペナイン・エクスプレスでは新規に登場する列車に「Nova(ノヴァ)」という愛称を付けており、802形は「Nova 1」と呼ばれている[16]

トランスペナイン・エクスプレス 802/2形
802/2形バイモード車両(Nova 1) 編成表
号車 E D C B A
形式 DPTF MS MS MS DPTS
座席数 1等 24
2等 88 88 86 56
車椅子スペース 2箇所
車内設備 トイレ(車椅子対応) トイレ
荷物置き場
自転車用スペース
トイレ
荷物置き場
荷物置き場 トイレ(車椅子対応)
荷物置き場
備考・参考 [15][19]

関連項目

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ High Speed Trains - 802 Angel Trains 2019年8月16日閲覧
  2. ^ FROM THE FILES: Avanti Hitachi… and GWR’s ‘802s’ RAIL 2018年8月20日作成 2019年8月16日閲覧
  3. ^ a b GWR launches Class 802s in service 2018年9月24日閲覧
  4. ^ £4.5 billion investment in new trains creates new jobs” (英語). 2018年7月4日閲覧。
  5. ^ Modernising the Great Western route.” (英語). Network Rail. 2018年7月4日閲覧。
  6. ^ 日立、英グレート・ウェスタン鉄道向け「クラス802」で走行試験を開始”. レイルラボ (2017年8月13日). 2018年7月4日閲覧。
  7. ^ Great Western Railway orders more Hitachi trainsets” (英語). Railway Gazette. 2018年7月4日閲覧。
  8. ^ GWR West of England Class 802s enter traffic from July 16” (英語). Rail. 2018年7月4日閲覧。
  9. ^ £60m Hull Trains electro-diesel train deal signed” (英語). Railway Gazette. 2018年7月4日閲覧。
  10. ^ Richard Clinnick (2019年11月26日). “Brand new £60 million Hull Trains fleet unveiled” (英語). Rail. 2019年12月12日閲覧。
  11. ^ HULL TRAINS REVEALS NAME OF NEW £60M FLEET” (英語). Hull Trains (2019年). 2019年12月12日閲覧。
  12. ^ NEW TRAINS” (英語). Hull Trains (2019年). 2019年12月12日閲覧。
  13. ^ Michael Holden (2019年12月6日). “First brand new train for Hull Trains completes first passenger service” (英語). Rail Advent. 2019年12月12日閲覧。
  14. ^ PARAGON SEATING PLAN”. Hull Trains. 2023年6月22日閲覧。
  15. ^ a b Our Fleet Class 802”. Angel Trains. 2023年6月22日閲覧。
  16. ^ a b 英トランスペニー・エクスプレス向け日立製高速車両、第1号が日本を出発”. レイルラボ (2018年4月22日). 2018年7月4日閲覧。
  17. ^ Summer arrival for first TPE ‘802/2s’” (英語). Rail. 2018年7月4日閲覧。
  18. ^ First Nova 1 trainset enters revenue service with TPE” (英語). Rail Business UK (2019年9月30日). 2019年11月10日閲覧。
  19. ^ SEATING PLANS”. Transpennie Express. 2023年6月22日閲覧。