「イディオテック」 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レディオヘッドの楽曲 | ||||||||
収録アルバム | 『キッド A』 | |||||||
リリース | 2000年9月27日(日本) 2000年10月2日(UK) 2000年10月3日(US) | |||||||
ジャンル | エレクトロニカ インテリジェント・ダンス・ミュージック 実験音楽 | |||||||
時間 | 5分09秒 | |||||||
レーベル | パーロフォン | |||||||
作詞者 | トム・ヨーク ジョニー・グリーンウッド エド・オブライエン コリン・グリーンウッド フィル・セルウェイ | |||||||
プロデュース | ナイジェル・ゴッドリッチ | |||||||
|
「イディオテック」 (英: Idioteque) は、イギリスのロックバンド、レディオヘッドが2000年に発表した4枚目のスタジオ・アルバム『キッド A』の収録曲。
テクノビートを取り入れた本作は、実験的な楽曲の多い『キッド A』の中にあって、リズミカルでキャッチーな要素もあり、レディオヘッドの代表作となっている。
ライブ演奏は、2001年のEP『I May Be Wrong: Live Recordings』に収録されている。 2008年のベスト盤『ザ・ベスト・オブ』にも収録されている。
本作は、ジョニー・グリーンウッドがモジュラーシンセサイザーで作り上げたリズムから始まった。「カオスが必要だ」と感じたジョニーは、偶然の音を探ったりやサンプリングを試したりしながら、50分の即興演奏を録音し、そこからトム・ヨークが短いシークエンスを取り出して曲を書いた。トム・ヨークは「何だ?と思ったところもあったけど、40秒くらいの部分は間違いなく天才的だったから、そこを切り取った」と語っている[1]。
作詞は、『キッドA』の他の歌詞と同じく、切り刻んだフレーズを帽子に入れ無作為に取り出しながら行った。2コーラス目では、4分の5拍子で "the first of the children" と歌っているようにアレンジされ、元の4分の4拍子のコーラスに対して不協和音を作り出している。
四和音のシンセサイザーのフレーズは、アメリカの作曲家ポール・ランスキーによるコンピュータ音楽「mild und leise」からサンプリングされた[2]。この曲は、1975年のコンピレーション『First Recordings – Electronic Music Winners』に収録されており、レディオヘッドのアメリカツアー中、グリーンウッドが中古レコード店で発見した[3]。ランスキーは、サンプリングを許可した理由を、「想像力豊かで独創的」なものと判断し、彼自身も「トリスタン和音を使ってコード進行をサンプリングした」からだとエッセイで語っている。 また、コネチカット・カレッジの音楽教授アーサー・クライガーによる「Electronic Music Winners」の曲の一部もサンプリングしている[4]。
本作の内容について、アルバムには歌詞が記載されておらず、意味を限定したくないとするトム・ヨークも直接的な言及を避けていることから、リスナーによって様々に解釈されている[5]。
タイトルについては、idiot(英語で「馬鹿げた」)と、discothèque(フランス語で「ディスコ」)を組み合わせた造語とされているが、定かではない。 曲の中で "Ice Age Coming"と繰り返し歌われていたり、スタンリー・ドンウッドによるカバーアートが、雪に覆われた山から炎が上がっているイメージだったりすることから、気候変動に関する内容ではないかとされている[6]。
本作は高い評価を受けている。 2009年のピッチフォークによる「2000年代最高の200曲」で8位[7]、2011年のローリング・ストーン誌による「2000年代最高の100曲」で56位に選出された[8]。
2020年にガーディアン誌が発表した「レディオヘッド最高の40曲」で第6位に選ばれ、「環境破壊の恐怖、ビッグ・テックの脅威、破滅的な狂気が蔓延しているが、戦慄を引き起こすシンセサイザーの音色は希望を高らかに謳っている」と評された[9]。
2021年のローリング・ストーン誌による「史上最高の500曲」では48位に選出され、「不吉で魅惑的な『キッドA』の核であり、氷河のようなビートに乗せて、目を細めるほどのディストピアをイメージさせる」と評された[10]。
2021年、アメリカの女性ミュージシャン、メリル・ガーバスによる音楽プロジェクトであるチューン・ヤーズによってカバーされた[11]。