イドリース教団(イドリースきょうだん、ラテン文字:Idrisiyya)はアフマド・イブン・イドリース・アル=ファースィー(英語版)(1760-1837)により創設されたスーフィズムの教団である。イドリース教団は当初は「タリーカ・ムハマディーヤ(Tariqa Muhammadiyya)」と呼ばれていた。この語に含まれるタリーカは組織されたスーフィー教団という意味ではなく、教えと礼拝からなるスピリチュアルな方法論を指しており、直接門徒とムハンマドの間のスピリチュアルな結びつきを醸成することを目的としていた[1][2]。
イドリース教団は当初メッカを拠点としており、リビア、エジプト、スーダン、東アフリカ(ソマリア、エリトリア、ケニア)、イエメン、レバント(シリア、レバノン)、東南アジア(マレーシア、シンガポール、ブルネイ)などをその勢力範囲としていた。また、この他の地域にもイドリース教団の分派の信者がおり、例としてイタリアやイギリスが挙げられる。イブン・イドリースの礼拝はスーフィー教団の中でも特にユニバーサルな賞賛を獲得しており、イブン・イドリースに関連性のない祈祷や著作の作法に多く取り入れられている[3]。
シンガポールでは、イドリース教団の分派がシャイフ・ムハンマド・サイード・アッ=リンギー(1926年没)の信者により布教がなされた[4]。
アフマド・ビン・イドリースはシャーディリー教団(英語版)やその他の教団に見られるスピリチュアルな尊師を有している。イドリース教団はムハンマドとの直接的なスピリチュアルな交信を基本としているものの、歴史的にはシャイフ・アブド・アッズィーズ・アル=ダッバーグ(1719年没)のハーディリー教団と同様シャーディリー教団と関係が深い。
イドリース教団の分派としては、サヌーシー教団、ハトミー教団(英語版)(ختمية、ミルガーニー教団 - Mirghaniyyaとしても知られる)、ダンダラウィー教団(Dandarawiyya)、サーリヒー教団(ドイツ語版)(Salihiyya)、ジャアファリー教団(Ja'fariyya)などがある。
- O'Fahey, Rex S. (1994) Enigmatic Saint, Ahmad Ibn Idris and the Idrisi Tradition, Northwestern University Press, Evanston, Illinois by arrangement with C. Hurst and Co. (Publishers) Ltd., London. ISBN 0-8101-0910-7
- Thomassen, Einar & Radtke, Bernd, (eds.) (1993) The Letters of Ahmad ibn Idris. London: Christopher Hurst. A collective volume containing the texts and translations of 35 letters to and from Ibn Idris. The contributors are Albrecht Hofheinz, Ali Salih Karrar, R.S. O’Fahey, B. Radtke & Einar Thomassen. Published by Northwestern University Press, Evanston, Illinois by arrangement with C. Hurst and Co. (Publishers) Ltd., London. ISBN 978-0-8101-1070-0
- Sedgwick, Mark, Saints and Sons: The Making and Remaking of the Rashidi Ahmadi Sufi Order, 1799-2000, Leiden: Brill, 2005.
- Hidigh, Uthman, Anīs al-jalīs fī tarjamat sayyidī Ahmad ibn Idrīs, Mogadishu, n.d., pp. 112–124.
- Dajani, Samer, Reassurance for the Seeker: A Biography and Translation of Salih al-Ja'fari's al-Fawa'id al-Ja'fariyya, a Commentary on Forty Prophetic Traditions, Louisville, KY: Fons Vitae, 2013.
- http://beneficialilm.com/the-path/