ウエステルダム

ウエステルダム
基本情報
船籍 オランダの旗 オランダ
建造所 フィンカンティエリ
経歴
進水 2003年7月16日
竣工 2004年4月
要目
総トン数 81,811 トン
全長 285.3 m
32.2 m
喫水 8.0 m
デッキ数 11
主機関 ディーゼル+ガスタービン・エレクトリック
出力 48,000馬力(推進出力)
最大速力 24.0ノット
航海速力 22.0ノット
旅客定員 1,964名
乗組員 800名
テンプレートを表示

ウエステルダム英語: Westerdam)は、ホーランド・アメリカラインが所有するビスタ級英語版クルーズ船である。

ホーランド・アメリカラインが運航する3隻目のビスタ級クルーズ船であり、姉妹船としてオーステルダムザイデルダムノールダム英語版が存在し、船名はいずれも東西南北を意味するオランダ語に由来し、ウエステルダム号の場合は「西」という意味を含む。

カーニバル・ブリーズに横付けしたウエステルダム(グランドターク島にて撮影)

現在運用中の船体は3代目にあたり、本項においては特に断りのない限り現段階で運用中の船体について述べる(後述)。

命名と仕様・内装

[編集]

2004年4月25日、イタリアヴェネツィアオランダの女性俳優レネ・ソーテンダイク英語版によって命名された[1]。ウエステルダムは、他のビスタ級クルーズ船と同じように、ディーゼルエンジンガスタービンエンジンを併用するCODAGと緻密な操舵を可能とするアジポッドが採用されている。船内の美術品コレクションは、新世界におけるオランダの遺産をテーマとしており、ヘンリー・ハドソンが大西洋横断で乗船したハーブ・ミーン英語版を描いた絵画や様々な彫刻や像が船内に展示されている。 現代作品としては、アンディ・ウォーホルの肖像画や、アリゾナ州セドナの美術家、スザンナ・ホルト英語版作の彫刻などが展示されている[2]。2007年4月に改装され、客室が34室追加されたほか、複数個所の公共スペースにも変更が加えられた[3][4]

日本には2018年10月、横浜港大さん橋国際客船ターミナルに初めて来航[5]し、以降各地の港湾に寄港している。

事件と事故

[編集]

2011年5月10日、カナダブリティッシュコロンビア州クルーネ国立公園英語版南方のヤクタット湾を航行中に、流氷に衝突し、喫水線から4.6メートル下が損傷した[6]

2014年6月28日、シアトル港英語版を出たウエステルダムのボイラー室より出火した。当時、上客2,086人・乗員798人が乗船していたが、負傷者が発生しなかった。すぐにシアトルに帰港し、合衆国沿岸警備隊による出航試験を受けた[7][8]

2020年2月、香港に寄港したウエステルダムは、2019新型コロナウイルス流行を理由にフィリピン日本タイへの入港が拒否された[9]台湾や米領グアムも入港を拒み、同月13日にカンボジア南部のシアヌークビル港に入港した[10]

過去のウエステルダム

[編集]

初代

[編集]

初代ウエステルダムは、ホーランド・アメリカラインの下1946年から1965年まで運航した。本船は、143人分のファーストクラス用の客室を備えた貨客船であり、第二次世界大戦中に建造された。初めての航海の前に3度も沈められた稀な経歴がある。

一度目は、1942年8月27日にロッテルダムの造船所で連合軍からの爆撃を受け、沈没した。1944年9月にドイツ軍が船を引き上げたが、オランダの反対勢力によってすぐに沈没させられた。その後、2度目の引き上げの後、1945年1月17日に抵抗勢力は再び沈没させた。

3度の沈没を経験したウエステルダムであったが、無事に造船が終了し、大西洋横断航路を運航し、オランダのロッテルダムとアメリカ合衆国ニューヨークの間を毎月2回往復した[11]。1965年2月4日、スペインにスクラップとして売却された[12]

2代目

[編集]

2代目ウエステルダムは、ホームラインズ英語版というイタリアの海運会社によって、ホーメリック(Homeric)という船名で1986年から運行していた。1988年に、ホーランド・アメリカラインが本船を購入し、1989年に改造した。改造により、全長が40メートルほど延ばされた。13年にわたる643回のクルーズを経て、2002年に姉妹会社のコスタ・クルーズへと譲渡された。委譲先では、コスタ・ヨーロッパ(Costa Europa)と命名された[11]。2010年4月から10年間のリース契約により、トンプソン・クルーズ英語版に貸し出され、貸出先ではトンプソン・ドリーム(Thomson Dream)として運航している。

出典

[編集]
  1. ^ Holland America Names Dutch Actress Renée Soutendijk As Godmother To MS Westerdam”. News release. Holland America Lines (9 April 2004). 3 August 2008閲覧。
  2. ^ MS Westerdam”. Holland America Line. 2020年2月8日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ Holland America Line's Investment in Signature of Excellence Surpasses $425 Million”. News release. Holland America Line (1 November 2007). 3 August 2008閲覧。
  4. ^ Fast Fact Sheet – MS Westerdam” (PDF). Holland America Line (September 2007). 11 June 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。3 August 2008閲覧。
  5. ^ 2018年横浜港に入港する客船情報
  6. ^ Associated Press (11 May 2011). “Cruise ship hits fixed ice; some damage but hull not breached”. The Anchorage Daily News. オリジナルの14 May 2011時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110514232143/http://www.adn.com/2011/05/11/1858168/cruise-ship-hits-fixed-ice-some.html 12 May 2011閲覧。 
  7. ^ Reuters (30 June 2014). “Boiler Room Fire Forces Cruise Ship Back to Port”. Chicago Tribune. http://articles.chicagotribune.com/2014-06-29/news/chi-cruise-ship-fire-20140629_1_boiler-ship-seven-day-cruise 1 July 2014閲覧。 
  8. ^ Associated Press (29 June 2014). “Boiler room fire forces cruise ship back to port”. New York Post. https://nypost.com/2014/06/29/boiler-room-fire-forces-cruise-ship-back-to-port/ 30 June 2014閲覧。 
  9. ^ Cruise ship that visited Hong Kong searches for a port after Philippines, Japan deny entry”. USA Today (6 February 2020). 6 February 2020閲覧。
  10. ^ 日本などが入港拒否のクルーズ船、カンボジアに到着」『Reuters』2020年2月13日。2020年2月13日閲覧。
  11. ^ a b What's in a Name: Vista Ships Reflect Tradition”. Holland America Lines (January 2006). 11 June 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。29 July 2008閲覧。
  12. ^ The History of Holland America’s Westerdam Ships”. ships of the past. shipsandcruises.com. 1 April 2010閲覧。

外部リンク

[編集]