エキセメスタン
IUPAC命名法 による物質名
6-Methylideneandrosta-1,4-diene-3,17-dione
臨床データ 販売名
アロマシン MedlinePlus
a607006 胎児危険度分類
法的規制
薬物動態 データ生物学的利用能 ~60% 血漿タンパク結合 90% 半減期 27 時間 データベースID CAS番号
107868-30-4 ATCコード
L02BG06 (WHO ) PubChem
CID: 60198 DrugBank
DB00990 ChemSpider
54278 UNII
NY22HMQ4BX KEGG
D00963 ChEMBL
CHEMBL1200374 化学的データ 化学式 C 20 H 24 O 2 分子量 296.403 g/mol
O=C\1\C=C/[C@]3(C(=C/1)/C(=C)C[C@H]4[C@@H]2CCC(=O)[C@]2(CC[C@H]34)C)C
InChI=1S/C20H24O2/c1-12-10-14-15-4-5-18(22)20(15,3)9-7-16(14)19(2)8-6-13(21)11-17(12)19/h6,8,11,14-16H,1,4-5,7,9-10H2,2-3H3/t14-,15-,16-,19+,20-/m0/s1 Key:BFYIZQONLCFLEV-DAELLWKTSA-N
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エキセメスタン は、第3世代アロマターゼ 阻害薬のひとつ。乳癌 の治療に用いられる。製品名はアロマシン錠(ファイザー 製造販売)。
エストロゲン は女性ホルモンであり、乳腺 の発育を促進する。また乳癌においては、癌の発育を促進する。閉経 後には女性ホルモンであるエストロゲン は、副腎 や脂肪 組織においてアロマターゼという酵素を介しアンドロゲン (男性ホルモン)から転化生成される。
エキセメスタンはI型のアロマターゼ阻害薬であり、エストロゲンを減少させる。構造的にはアンドロステンジオン に類似している。エキセメスタンはアロマターゼ酵素の偽基質として働き、酵素の活性部位に不可逆的 に結合して酵素を不活性化する(この様な基質は自殺基質 (Suicide substrate ) と呼ばれる)。エキセメスタンは、酵素の標的に構造的に類似しているため、酵素に永久的に結合し、酵素がアンドロゲンをエストロゲンに変換するのを阻止する[ 1] 。
一方、アナストロゾール やレトロゾール 等のII型アロマターゼ阻害薬はステロイド骨格を持たず、アロマターゼのヘム を阻害する[ 2] 。
閉経後ホルモン感受性乳癌において、標準薬のタモキシフェン と比較して、癌の再発が遅くなり延命効果があることが報告された。(IES試験)[ 3]
レトロゾール またはアナストロゾール に抵抗性の局所進行性または転移性の閉経後乳癌にエキセメスタンとエベロリムス の併用は有用であった。[ 4]
重大な副作用は、肝炎、肝機能障害、黄疸である[ 5] 。
最も一般的な副作用(患者の10%以上)は、エキセメスタンによるエストロゲン欠乏症の典型的な症状である火照りと発汗であり、その他、不眠症 、頭痛、関節痛 などが出る。嘔気や疲労感は、主に進行乳癌の患者に見られる[ 1] [ 6] 。
患者の約20%にリンパ球の減少が認められており、特に既存のリンパ球減少症のある患者では注意が必要である[ 7] 。
エキセメスタンはアンドロゲン 作用を持ち、にきび や体重増加 などのアンドロゲン性の副作用を引き起こす可能性があるが、これらは一般的に本剤の超高用量投与に伴うものである[ 8] 。
エキセメスタンは肝酵素CYP3A4 によって代謝される。CYP3A4阻害剤であるケトコナゾール は臨床試験においてエキセメスタン濃度に有意な影響を及ぼさなかったが、強力なCYP3A4誘導剤であるリファンピシン は、エキセメスタンの濃度を約半分に低下させ(単回投与でAUC:54%、Cmax:41%)、有効性を損なう可能性がある。カルバマゼピン やセイヨウオトギリソウ などの他の3A4誘導剤も同様の影響を与えると考えられる[ 1] [ 6] 。この効果の臨床的な関連性については検討されていない[ 2] 。
エキセメスタンは消化管から速やかに吸収されるが、肝臓で強い初回通過効果 を受ける。血漿中の最高濃度には、乳癌患者では1.2時間後、健常者では2.9時間後に到達する。最大のアロマターゼ阻害作用は2~3日後に発現する[ 2] 。吸収された物質の90%は血漿タンパク質に結合する。肝酵素CYP3A4は6位のメチリデン基 を酸化 し、17-ケト基 (5員環上)はアルド-ケト還元酵素 (英語版 ) によってアルコール に還元される。得られた代謝物のうち、40%が尿から、40%が便から1週間以内に排泄される。非代謝物質の尿中への排泄は僅か1%である。最終的な半減期は24時間である[ 1] [ 9] 。
^ a b c d Jasek, W, ed (2007) (German). Austria-Codex (62nd ed.). Vienna: Österreichischer Apothekerverlag. pp. 656–660. ISBN 978-3-85200-181-4
^ a b c (German) Arzneistoff-Profile . 4 (21 ed.). Eschborn, Germany: Govi Pharmazeutischer Verlag. (2007). ISBN 978-3-7741-9846-3
^ Coombes RC, et al. Survival and safety of exemestane versus tamoxifen after 2—3 years' tamoxifen treatment (Intergroup Exemestane Study): a randomised controlled trial. Lancet; 369(9561)559 - 570, 17 February 2007. doi:10.1016/S0140-6736(07)60200-1
^ Baselga J, et al. Everolimus in Postmenopausal Hormone-Receptor–Positive Advanced Breast Cancer. N Engl J Med 2012; 366:520-529. February 9, 2012. DOI: 10.1056/NEJMoa1109653
^ “アロマシン錠25mg 添付文書 ”. www.info.pmda.go.jp . PMDA. 2021年5月13日 閲覧。
^ a b Drugs.com: monograph on exemestane.
^ https://www.medicines.org.uk/emc/medicine/2484
^ “An overview of the pharmacology and pharmacokinetics of the newer generation aromatase inhibitors anastrozole, letrozole, and exemestane”. Cancer 95 (9): 2006–16. (November 2002). doi :10.1002/cncr.10908 . PMID 12404296 .
^ Mutschler, Ernst; Schäfer-Korting, Monika (2001) (German). Arzneimittelwirkungen (8 ed.). Stuttgart: Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft. p. 904. ISBN 3-8047-1763-2