エクスパンション・ドラフト (expansion draft) または拡張ドラフトは、プロスポーツにおいて、球団増設が行われた場合、新規参入チームにおける戦力確保のために行う既存チーム所属選手の分配システムである。「ドラフト」と付くものの、いわゆるドラフト会議(新人選択会議)とは異なる。
分配ドラフトと称される場合もあるが[1][2]、日本においては球団数の拡張を伴わないケース(例として、日本プロ野球におけるプロ野球再編問題 (2004年))でもこの用語が使用されるため、必ずしもエクスパンション・ドラフトと同義ではない。
日本では、bjリーグや四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)、ベースボール・チャレンジ・リーグで、チーム数増加に伴い行われている。
2006年は富山グラウジーズと高松ファイブアローズの2球団が加盟したが、両球団ともエクスパンション・ドラフトでは1人も指名しなかった。
なお、エクスパンション・ドラフトではないものの、大阪エヴェッサのプロテクトから外れた竹田智史が高松に移籍した。
2007年はライジング福岡と琉球ゴールデンキングス(以下沖縄)の2球団が加盟。福岡は高松のディアン・ティエルノ・セイデゥ・ヌロ(契約には至らず)と富山の陰承民を指名。沖縄は1人も指名しなかった。
福岡はさらに母体クラブである福岡BBボーイズの川面剛とプロテクト契約を交わした。
2008年は浜松・東三河フェニックスと滋賀レイクスターズの2球団が加盟。JBLから転籍した浜松はエクスパンション・ドラフトでは1人も指名せず6人をプロテクト。滋賀は新潟アルビレックスBBの藤原隆充、大阪の佐藤浩貴、富山の小川伸也を指名した。
2009年は京都ハンナリーズ1球団のみ加盟。沖縄の澤岻直人と東京アパッチの岩佐潤を指名した。
2010年は秋田ノーザンハピネッツ、島根スサノオマジック、宮崎シャイニングサンズの3球団が加盟。秋田は大阪の仲西淳と新潟の水町亮介、島根は東京アパッチの仲西翔自、宮崎は滋賀の小島佑太を指名。
2011年は岩手ビッグブルズ、千葉ジェッツ、横浜ビー・コルセアーズ、信州ブレイブウォリアーズ(以下長野)の4球団が加盟。岩手は東京の板倉令奈、千葉は大分ヒートデビルズの佐藤博紀と東京の田中健介、長野は新潟の齋藤崇人をそれぞれ指名。横浜は一人も指名しなかった。
2012年は群馬クレインサンダーズと東京サンレーヴスの2球団が加盟。群馬は浜松の友利健哉と高松の堤啓士朗、東京は宮崎の伊藤拓郎、大阪の高田紘久、富山の加藤真をそれぞれ指名した。
2013年は青森ワッツとバンビシャス奈良の2球団が加盟。青森は仙台の高岡大輔と岩手の澤口誠、奈良は埼玉の山城拓馬と滋賀の本多純平をそれぞれ指名した。
2008年から福岡レッドワーブラーズと長崎セインツが加入するのに際して、2007年11月1日に「分配ドラフト」を実施し、福岡は西村悟(徳島)ら10人、長崎は7人を指名した[1]。なお、この両球団はいずれもその後活動を休止したためその際に救済ドラフトが実施されており、角野雅俊(徳島→福岡)と國信貴裕(高知→福岡)はエクスパンション・ドラフトと救済ドラフトの両方で指名を受けている[3]。
2014年・2016年・2018年・2019年・2024年の5回実施されており、地元出身者を対象とする「地元移籍枠」とそれ以外の「分配ドラフト指名」がある[4]。
2015年から福島ホープスと武蔵ヒートベアーズが加入するのに際して2014年10月24日に実施し、福島は分配ドラフト指名のみで7人、武蔵は地元移籍枠で矢島陽平(福井)ら3人と分配ドラフト指名で小林大誠(富山)ら3人の合計6人を指名した[5]。
2017年から栃木ゴールデンブレーブスと滋賀ユナイテッドベースボールクラブが加入するのに際して2016年10月21日に実施し、栃木は分配ドラフト指名のみで吉田えり(石川)ら5人、滋賀は地元枠移籍のみで西野颯(信濃)1人をそれぞれ指名した[2]。
2019年から茨城アストロプラネッツが加入するのに際して、2018年10月30日に実施され、地元枠ではすでに選手兼任コーチの就任が発表されていた小野瀬将紀(福井)を含め3人、分配ドラフトで2人を指名した[6]。
2020年から神奈川フューチャードリームスが加入するのに際して、2019年10月22日に実施され、地元枠は6人、分配ドラフトで3人が指名された(そのほか、ドラフト外での移籍者4人も決定)[7]。
2025年から山梨ファイアーウィンズが加入するのに際して、2024年10月29日に実施されたが、地元枠・分配ドラフト指名ともに該当者はなかった[8]。
移籍選手は高昌成、趙煐勲、牟昌民、金泰君、李太陽、金宗鎬、李承浩、宋臣永。
移籍選手は鄭大鉉、李大炯、金相賢、裵秉玉、張施晥、鄭炫、龍德韓、尹根永、李星民。