エゾハコベ

エゾハコベ
青森県下北半島 2021年6月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ナデシコ科 Caryophyllaceae
: ハコベ属 Stellaria
: エゾハコベ S. humifusa
学名
Stellaria humifusa Rottb. (1770)[1]
和名
エゾハコベ(蝦夷繁縷)[2][3]

エゾハコベ(蝦夷繁縷、学名Stellaria humifusa)は、ナデシコ科ハコベ属多年草[3][4][5][6][7]

特徴

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の基部は横に這い、上部は直立して、高さは5-20cmになる。ややまばらに分枝し、細長く緑色で、無毛。は対生し、葉身は線状楕円形から披針形で、長さ1-2cm、幅2-4mmになり、先端はあまりとがらず、基部に葉柄がない。葉はやや多肉質で両面とも無毛[3][4][5][6][7]

花期は6月中旬-8月。は白色で、径は約1cm、上部の葉腋に単生するか、茎先に数個を集散花序につけ、長さ1-3cmになる細長い無毛で緑色の花柄の先につく。片は5個、長卵形から広披針形になり、長さは4-5mm、先端が鈍頭、縁は膜質になり、毛はない。花弁は5個、萼片と同じ長さかまたはやや長く、深く2裂する。雄蕊は10個あり、葯は黄色になる。子房の上に3個の花柱がある。果実は卵形で長さ4-5mmの蒴果となり、宿存する萼片と同じ長さになる。種子は淡褐色で円形、径約0.8mmになり、表面は平滑。染色体数2n=26[3][4][5][6][7]

分布と生育環境

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日本では、南千島、北海道の中部から東部、青森県の太平洋側沿岸部に分布し、海岸湿地や海岸に近い塩湿地に生育する[3][5][6][7]。世界では、千島列島サハリンカムチャツカ半島の他、北半球の北部に広く分布する、周北極要素の植物である[4][6]

名前の由来

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和名エゾハコベは、「蝦夷繁縷」の意[2][3]、北海道の根室でみられることからで、矢田部良吉 (1892) による命名である[8]

種小名(種形容語)humifusa は、「地上に蔓延する」「地面に広がった」の意味[9]

種の保全状況評価

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絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

(2020年、環境省)

都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[10]

北海道-絶滅危急種(Vu)、青森県-最重要希少野生生物(Aランク)

ギャラリー

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分類

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千島列島やサハリンにも分布するが、サハリンのものは花が大きく、萼片が長さ5-6mmになる[5]。また、日本全土でふつうに見られる、水田雑草のひとつであるノミノフスマ(蚤の衾)Stellaria alsine var. undulata に似る。同種は、エゾハコベと比べて、萼片が長さが3-3.5mmと小さく、花はより多数が集散花序につく[5][6]

脚注

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  1. ^ エゾハコベ「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b 牧野富太郎 (1940)、「えぞはこべ」、『牧野日本植物図鑑(初版・増補版)インターネット版』p.599
  3. ^ a b c d e f 『新北海道の花』p.185
  4. ^ a b c d 『原色日本植物図鑑・草本編II(改訂53刷)』p.275
  5. ^ a b c d e f 高橋英樹 (2015)「エゾハコベ」『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプタンツ(増補改訂新版)』p.417
  6. ^ a b c d e f 門田裕一 (2017)「ナデシコ科」『改訂新版 日本の野生植物4』p.126
  7. ^ a b c d 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.868
  8. ^ 矢田部良吉、日本植物新名、The botanical magazine、『植物学雑誌』第6巻第61号、p.132, (1892).
  9. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1496
  10. ^ エゾハコベ、日本のレッドデータ検索システム、2021年12月20日閲覧

参考文献

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