エブリコ
エブリコの子実体
保全状況評価 [ 1]
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
学名
Laricifomes officinalis (Vill. ) Kotl. & Pouzar (1957)
シノニム
Agaricum officinale (Vill.) Donk (1971) [1974]
Boletus agaricum Pollini (1824)
Boletus laricis F.Rubel (1778)
Boletus officinalis Vill. (1789)
Boletus officinalis (Vill.) Batsch, (1783)
Boletus purgans J.F.Gmel. (1792)
Cladomeris officinalis (Vill.) Quél. (1886)
Fomes fuscatus Lázaro Ibiza (1916)
Fomes officinalis (Vill.) Bres. (1931)
Fomitopsis officinalis (Vill.) Bondartsev & Singer (1941)
Piptoporus officinalis (Vill.) P.Karst. (1882)
Polyporus officinalis (Vill.) Fr. (1821)
Ungulina officinalis (Vill.) Pat. (1900)
エブリコ (恵布里古[ 2] 、落葉松寄生[ 3] 、学名 : Laricifomes officinalis )は、タマチョレイタケ目 に属するキノコ の1種である。名称は、樺太アイヌ語 で本種を指す「エプリク」に由来する[ 4] 。木材腐朽菌 であり、針葉樹 に褐色の心材腐朽 を引き起こす。ヨーロッパ ・アジア ・北アメリカ ・モロッコ で確認されている[ 5] 。英名には"agarikon"、"quinine conk"などがある[ 6] [ 7] 。 かつてはツガサルノコシカケ属 に分類されていたが、分子系統 解析により分離された[ 8] 。
粉末は非常に苦いため、キニーネ を含んでいると考えられて広く採集されていたこともあったが、実際には含まれておらず、抗マラリア作用はない[ 9] 。成分としては、アガリシン酸 (Agaric acid 、2-ヒドロキシ-1,2,3-ノナデカントリカルボン酸)、エブリコ酸 (Eburicoic acid 、3β-ヒドロキシ-24-メチレン-5α-ラノスタ-8-エン-21-酸)などが発見されている。
通常、腐朽が発生するのは老木の中の少数の個体である。子実体は60cm程度まで成長し、馬蹄形か円柱状である。若い子実体は黄白色で柔らかいが、すぐに全体が白く固くなる。腐朽材は褐色で、方形の亀裂を生じ、広い亀裂からは太く白いフェルト状の菌糸が覗く。子実体と菌糸は苦く、これは本種の特徴である。子実体の発生は通常、木全体に感染が広がっていることを示す。感染した木は枯立木に営巣する鳥・哺乳類の棲家となる[ 10] 。
西暦65年のペダニウス・ディオスコリデス の記述によると、本種は結核 の治療に用いられており[ 7] 、土着の人々は天然痘 の治療に用いていたようである[ 11] 。墓所に本種の痕跡が存在することは、かつて本種の利用が一般的であったことを示すのかもしれない。
樺太アイヌ や北海道 の屈斜路湖 周辺のアイヌ は火打石 で火を起こす際、このキノコの粉末をほくち として用いた[ 4] 。
野生種は原生林 のみに自生し、特にトガサワラ属 ・カラマツ属 の木材に生える。原生林の減少により、野生個体の保全状況には懸念がある。実験室で栽培した株では遺伝的健全性を保持することが困難であるため、野生下での保護が必要である。
トリンギット ・ハイダ族 ・チムシアン族 のような北米太平洋沿岸の先住民にとって、本種は薬用キノコ としても、儀式の素材としても重要であった。現地語では "霊のパン" を意味する名が付けられ、彫刻された子実体がシャーマン の墓を飾るために用いられた[ 12] 。
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