エリック・プリンス

エリック・プリンス

Erik Prince
エリック・プリンス
生誕 Erik Dean Prince
(1969-06-06) 1969年6月6日(55歳)
ミシガン州ホランド
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身校 海軍兵学校
ヒルズデール大学(学士)
活動拠点 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦
純資産 16億ドル(2018年)[1]
肩書き ブラックウォーターUSA 創業者
政党 共和党
宗教 キリスト教カトリック
配偶者 Joan Prince(1991 - 2003)
Joanna Houck(2004 - 2012)
Stacy DeLuke(不明 - 現在)
子供 7人
エドガー・プリンス(父)
親戚 ベッツィ・デヴォス(姉)
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エリック・ディーン・プリンス(Erik Dean Prince、1969年6月6日 - )は、アメリカ海軍の元軍人で、アメリカの実業家投資家ブラックウォーターUSAの創業者として知られている。

略歴

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エリック・プリンスは、ミシガン州ホランドにて出生した。父親は実業家として知られるエドガー・D・プリンスであり、4人兄弟の末っ子として育った。青年時代から保守的なロビイスト団体ファミリー・リサーチ・カウンシルの見習いをするなど社会奉仕に積極的な若者であり、1990年にはホワイトハウス実習生としてジョージ・H・W・ブッシュ政権下のホワイトハウスで6ヶ月勤務していた。

海軍兵学校を中退してヒルズデール大学を卒業、アメリカ海軍に入隊して特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、チーム8の一員としてハイチ中東ボスニアなどで任務に参加した[2]。しかし、父エドガーが交通事故で死亡したことにより、海軍を除隊する[3][4]

ブラックウォーターの設立

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1997年、エリック・プリンスはシールズ時代の仲間と共にブラック・ウォーターUSAを設立した。ブラックウォーターは、エリック・プリンスがシールズ時代にルワンダ内戦での虐殺に衝撃を受け、特殊部隊向けに効率的な訓練を行える施設を提供するために設立された[5]

対テロ戦争が勃発した2001年から2010年にかけて、ブラック・ウォーターは中央情報局(CIA)と最大6億ドルの秘密契約を結び[6]、海外の大使館と基地の警備業務を担当するようになった[7]。プリンスはバージニア州ラングレーのCIA本部近くに訓練施設を設置した[8]。ブラックウォーターはアフガニスタンパキスタン無人攻撃機によるテロリストの暗殺などCIAの秘密任務を請け負った[2][8][9]

ブラックウォーター社員たちは、業務の優秀さに定評がある一方で攻撃的で荒っぽいとされ、ブラックウォーターに長期にわたって取材を続けたロバート・ヤング・ペルトンによる著作『現代の傭兵』では、エリックが古参のPMC経営者らと会談し「攻撃は最小限でいい」と助言を受ける場面が記載されている。

2007年、ブラックウォーター社員によるイラクにおける民間人への殺傷事件が発覚すると、アメリカ議会の「イラクとアフガニスタンにおける民間警備契約に関する公聴会」の重要証人として召喚された。

2009年、エリックは主な経営陣らと共にブラックウォーターUSAのCEOを辞任し、同社を2010年には売却した[10]

社長辞任後

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2010年、エリック・プリンスはアブダビに移住してアラブ首長国連邦と密接な繋がりを持ち、2011年に「リフレックス・レポンセズ(通称R2社)」という新会社を設立する。アブダビ皇太子のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーンとの契約でエグゼクティブ・アウトカムズコロンビア国家警察英語版特殊空挺部隊(SAS)、フランス外人部隊の元メンバーなどから成る800人の部隊を構成し[11]アラブの春で必要となった暴動鎮圧やテロ対策といった業務を請け負った。イスラム教徒は市民への発砲や殺害に躊躇するという理由で雇用されることはなかった[12]。プリンスはアブダビのムハンマド皇太子やサウジアラビア皇太子のムハンマド・ビン・サルマーン中東の王族関係者と米国政府の仲介役にもなってるとされる[13]アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプの支援者でもあり、サウジなどアラブ諸国と敵対するイランの孤立を狙ってロシアウラジーミル・プーチン大統領との橋渡し役も担ったとも報じられ[14]ロシアゲートFBIの捜査対象にもなった[15]。また、エリック・プリンスの姉ベッツィ・デヴォスはトランプ政権でアメリカ合衆国教育長官を務めており[16]、トランプ大統領はイラクで市民を射殺したブラックウォーターの元社員4人に恩赦を与えている[17]

2013年、アフリカ中国政府系の中信集団英語版に所有された香港の警備・流通会社「フロンティア・サービス・グループ」(FSG)の会長に就任した[18]。この企業は中国の一帯一路戦略を支援しており[19]、プリンスは中国の情報機関との繋がりも米国当局に捜査された[20]。FSGは北京で治安要員養成学校の運営に協力しており[21]新疆ウイグル自治区での対テロ訓練施設の建設契約の報道で物議を醸した際は関与を否定した[22]

2020年、リビア内戦にFSGを通じて関与していることが国連で報告され[23][24]、同様にハリファ・ハフタル側を支援するロシアの民間軍事会社であるワグネル・グループの責任者と接触して傭兵部隊の提供を申し入れたことも報道された[25]

信仰

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エリックは敬虔なキリスト教徒として知られている。両親はカルヴァン派だったが、エリック本人は成人してからカトリックに改宗している。

また、主にリベラル派のジャーナリストからキリスト教右派の1人として扱われることもある。

私生活

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前との妻との間に4人、現在の妻との間に3人の子を儲けている。

関連項目

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出典

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  1. ^ https://www.celebsnetworthtoday.com/bio-wiki-2018-2019-2020-2021/businessperson/erik-prince-net-worth-5153/ Erik Prince Net Worth 2018
  2. ^ a b Civilian Warriors: The Inside Story of Blackwater and the Unsung Heroes of the War on Terror Hardcover by Erik Prince.Portfolio Hardcover (November 18, 2013) ISBN 978-1591847212
  3. ^ Robert Young Pelton (November 30, 2010). "An American Commando in Exile". Men's Journal.
  4. ^ Pelton, Robert Young (2006). Licensed to Kill: Hired Guns in the War on Terror. New York: Three Rivers Press. ISBN 1400097819. p. 291
  5. ^ Photos by Mark Copier (May 5, 2010). “Protests outside, cheers inside as Blackwater founder Erik Prince speaks in Holland”. MLive.com. August 25, 2013閲覧。
  6. ^ Prince's business covertly won U.S.contracts”. Grand Rapids Gazette (April 9, 2010). 3 March 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月28日閲覧。
  7. ^ Sengupta, Kim (June 9, 2010). "Blackwater founder to sell up as criticism takes its toll". The Independent.
  8. ^ a b Blackwater founder works on next chapter.By Dion Nissenbaum. The Wall Street Journal, page B4, Nov 18, 2013.
  9. ^ Ciralsky, Adam (2009-12-02). “January 2010: Adam Ciralsky on Blackwater”. Vanity Fair. http://www.vanityfair.com/politics/features/2010/01/blackwater-201001?currentPage=1 2019年7月28日閲覧。. 
  10. ^ "Blackwater Founder in Deal to Sell Company". The New York Times. December 16, 2010.
  11. ^ Blackwater founder 'setting up mercenary army for UAE'”. インディペンデント (2011年5月16日). 2019年7月28日閲覧。
  12. ^ Mazzetti, Mark; Hager, Emily B. (May 14, 2011). "Secret Desert Force Set Up by Blackwater's Founder. Erik Prince, the founder of Blackwater, has a new project". The New York Times.
  13. ^ "Trump Jr. and Other Aides Met With Gulf Emissary Offering Help to Win Election". The New York Times. 19 May 2018.
  14. ^ トランプ氏とプーチン氏を橋渡し? 米傭兵企業ブラックウオーター創設者がロシア大統領側近と接触
  15. ^ Entous, Adam; Miller, Greg; Sieff, Kevin; DeYoung, Karen (April 3, 2017). "Blackwater founder held secret Seychelles meeting to establish Trump-Putin back channel". The Washington Post. Retrieved April 4, 2017.
  16. ^ Scahill, Jeremy (2008). Blackwater: The Rise of the World's Most Powerful Mercenary Arm. Nation Books. ASIN B0097CYTYA.Prince, Erik (2014). Civilian Warriors: The Inside Story of Blackwater and the Unsung Heroes of the War on Terror. Portfolio. ISBN 978-1-59184-745-8.
  17. ^ トランプ氏の恩赦に怒りの声 イラク市民射殺の元軍人ら対象”. AFPBB (2020年12月24日). 2020年12月24日閲覧。
  18. ^ ERIK PRINCE IN THE HOT SEAT”. The Intercept. 2017年12月10日閲覧。
  19. ^ “Blackwater founder's FSG buys stake in Chinese security school”. ロイター. (2017年5月30日). https://www.reuters.com/article/us-china-silkroad-companies-idUSKBN18Q0WR 2019年7月28日閲覧。 
  20. ^ “Erik Prince in the Hot Seat”. ザ・インターセプト. (2016年3月24日). https://theintercept.com/2016/03/24/blackwater-founder-erik-prince-under-federal-investigation/ 2019年7月28日閲覧。 
  21. ^ “Blackwater founder's FSG buys stake in Chinese security school”. ロイター. (2017年5月30日). https://www.reuters.com/article/us-china-silkroad-companies-idUSKBN18Q0WR 2019年2月2日閲覧。 
  22. ^ Erik Prince had 'no knowledge' of training agreement in China's Xinjiang: spokesman”. ロイター. 2019年2月2日閲覧。
  23. ^ Erik Prince's Private Wars” (英語). Rolling Stone (2020年10月25日). 2020年11月1日閲覧。
  24. ^ Erik Prince Libya Contract: Privatizing UAE and Haftar’s Offensives” (英語). Arab Unreported (2020年9月20日). 2021年1月5日閲覧。
  25. ^ Cole, Matthew; Emmons, Alex (13 April 2020). “Erik Prince Offered Lethal Services to Sanctioned Russian Mercenary Firm Wagner”. The Intercept. https://theintercept.com/2020/04/13/erik-prince-russia-mercenary-wagner-libya-mozambique/