オオハンゲ

オオハンゲ
オオハンゲ
オオハンゲ
オオハンゲ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: オモダカ目 Alismatales
: サトイモ科 Araceae
: ハンゲ属 Pinellia
: オオハンゲ P. tripartita
学名
Pinellia tripartita (Blume) Schott
和名
オオハンゲ

オオハンゲ Pinellia tripartitaサトイモ科の植物の1つ。カラスビシャクを一回り大きくしたような姿をしている。

特徴

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地下に球茎を持つ多年生の草本[1]。球茎は径3cm程度[2]の偏球形で、その上側から根を出す[3]。葉は1-4個あり、葉柄は長さ30cmほど[2]で、カラスビシャクとは違ってムカゴをつけない。また葉柄の基部には古い葉柄の下部が繊維状に残る[3]。葉身は3つに深く裂け、個々の裂片は長さ8-20cn、広卵形から狭卵形で先端は短く小さく突き出して尖っている。なお、時として3小葉に完全に裂けることがある[4]。また側小葉の基部、葉柄側は円く張りだしているため、葉身全体として見るとその基部は心形になっている[2]

花期は6-8月で、花茎は高さ20-50cmにまで伸びて、葉と同程度か、その上に伸び出す。苞は緑色か紫を帯び、長さ6-10cm。舷部卵形で先端は鈍く尖る。その内面には小さな突起を密生し、外側は滑らかになっている。花序はその下部2-4cmが雌花部になっており、背面で苞と癒合し、そのやや上部に雄花部がある。雄花部の下は長さ1mmほどの柄になっている[3]。そこから先に伸びる付属体は鞭状に伸びて直立し[2]、長さ15-25cmに達する。果実は淡い緑色で、外側に柔らかい層があり、水に浮くことが出来る[4]。果実の形は卵形[3]

和名は大半夏の意で、半夏に似て植物体全体が大きいことによる。また半夏はカラスビシャクの漢名で、ハンゲはこれの字音を採ったものである[5]

分布と生育環境

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林床に群生するオオハンゲ

本州中部から琉球列島に産する[6]。琉球では沖縄本島以北で知られる[2]

山地の森林内の、やや湿ったところに生育する[7]。石灰岩地に多く出現するが、それ以外の地にも見られる[3]

分類

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形態的にはテンナンショウ属に似ているが、花序の下部が苞と合着している点で別属とされる[8]。同属のものでは日本には他にカラスビシャク P. ternata があり、こちらは畑の雑草としてごく普通に見られる。本種はこの種よりやや大きく、また葉が完全に3小葉に分かれないこと、葉柄にムカゴを生じないことなどで区別される[6]

保護の状況

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環境省のレッドリストには取り上げられておらず、沖縄県と山陰、北関東などの県で指定を受けている[9]。分布域の端であるためのようである。

特に利用はないが、山野草として栽培される例はある。斑入り品も流通している。

出典

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  1. ^ 以下、主として佐竹他(1982),p.128
  2. ^ a b c d e 初島(1975),p.760
  3. ^ a b c d e 北村他(1987),p.196
  4. ^ a b 牧野原著(2008),p.986
  5. ^ 牧野原著(2008),p.985-986
  6. ^ a b 佐竹他(1982),p.128
  7. ^ 堀田(1978),p.2116
  8. ^ 佐竹他(1982),p.127
  9. ^ [1]

参考文献

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  • 北村四郎他、『原色日本植物図鑑・草本編 III』改訂49刷、(1987)、保育社
  • 牧野富太郎原著、『新牧野日本植物圖鑑』、(2008)、北隆館
  • 堀田満、「カラスビシャク」:『朝日百科 世界の植物』、(1978)、朝日新聞社:p.2116