カイム (Caym または Caim[1]) は、悪魔学における悪魔の一人。
カミオ (Camio)[2]とも呼ばれる。
『ゴエティア』によると72人の魔神の一人で、30の軍団を従える序列53番の大総裁。元は天使の階級であったとされる。
ツグミまたはクロウタドリ[3](きわめて近縁)の姿で現れるが、鋭い剣を持った人間の姿もとるとされる。『地獄の辞典』には「羽飾りをかぶって、孔雀の尾をつけた人間の姿で現れることもある」とあり、剣を持った鳥の姿と鳥の着ぐるみを着た男のような姿の2種類の挿絵が付けられている[4]。
人間の姿では、燃え盛る灰もしくは石炭の中で答えるという。
鳥、牡牛、犬、その他の動物の言葉、さらには水の音までも理解できるようにする力を持つ。また、未来の出来事に対する最良の対応を教えてもくれる。
優れた弁論家であり、コラン・ド・プランシーによれば、ルターの論争の相手はカイムだったという[4]。
- ^ ヨーハン・ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』では Caym であるが、レジナルド・スコットの英訳、および『ゴエティア』ではCaim となっている。
- ^ The Lesser Key of Solomon, p39
- ^ ヨーハン・ヴァイヤーによる『悪魔の偽王国』のラテン語版では merulae(クロウタドリ)とされる。
- ^ a b 『地獄の辞典』 p.88
- 草野巧『幻想動物事典』新紀元社、1997年、78頁。
- 山北篤、佐藤俊之『悪魔事典』新紀元社、2000年、94-95頁。
- グスタフ・ディヴィッドスン著、吉永進一訳『天使事典』創元社、2004年 ISBN 4-422-20229-4
- フレッド・ゲティングズ著、大瀧啓裕訳『悪魔の事典』青土社、1992年 ISBN 4-7917-5185-X
- コラン・ド・プランシー著、床鍋剛彦訳『地獄の辞典』講談社、1990年 ISBN 4-06-201297-9
- Mathers, S.L. MacGregor and Crowley, Aleister, The Lesser Key of Solomon(1904), The Internet Sacred Text Archive 内の文書(英文)
- Waite, A.E., The Book of Ceremonial Magic(1913), The Internet Sacred Text Archive 内の文書(英文)
- Weyer, Johann, Pseudomonarchia Daemonum, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書(ジョゼフ・H・ピーターソン編集・解題・注釈、ラテン語原文、レジナルド・スコットの英訳)
- Goetia, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書(ジョゼフ・H・ピーターソン編集、英文)