カレリアントレインズ(Oy Karelian Trains Ltd)はフィンランドのVRグループとロシアのロシア鉄道(RZhD)により設立された合弁事業会社である。両社各50%の出資で設立され、2006年9月23日ヘルシンキで登記されている[1] 。2007年9月、同社はフィンランドのヘルシンキ(ヘルシンキ中央駅)とロシア・サンクトペテルブルク(フィンリャンツキー駅)を結ぶ国際列車用にアルストムのペンドリーノ編成を発注し[2]、2010年より2022年まで運行していた。国際列車は、音楽用語で「早い」を意味するアレグロ(Allegro)と命名されている[3]。従来、両国都市間の所要時間は5時間程度を要していたが、新車両導入後は3時間台へ大幅に短縮されている[3]。運行開始は2010年12月12日で、一日あたり2往復しているが2011年5月には増発された[4][5] 。ヘルシンキ、モスクワ間の夜行列車「トルストイ」号の運行は以前のように継続されていた。
フィンランド、ロシア間の往来では査証が必要となるが、列車の速達化のためパスポートや税関のチェックは列車内で行われる。従来の方法では、時刻表上チェックのため30分余計にかかる。
運行初年度には28万人の乗車があり、その後も増加が期待され、2019年には初年度の倍となる56万人が利用していた。同年時点では一日あたり4往復が運行されていた[6]。
しかし、2019年から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行が両国で顕在化した2020年3月に「アレグロ」の運行は停止された。運行開始から12周年となる2021年12月12日に2往復での運行が再開された。乗客は両国いずれかの国籍所有者に限定され、相手国に親戚がいる、あるいは不動産を持っているなどの理由が必要とされた[6]。
2022年2月24日にロシアのウクライナ侵攻が開始されると、フィンランドは他の欧州連合(EU)諸国と共にロシアへの経済制裁を科し、両国関係は悪化した。ただ、ロシアからの出国手段が次々と閉じられる中、VRグループはフィンランド国民の帰国を理由に「アレグロ」の運行を続け[7]、戦争の拡大や動員による徴兵を嫌ったロシア人の出国手段としても利用されたが[8]、VRの株式を100%所有するフィンランド政府は同年3月24日に大規模な対ロシア制裁を理由に鉄道運行の停止をVRに通告し、VRは3月25日に受け入れたため[7]、「アレグロ」の運行は3月27日が最後となり、3月28日から運行が停止された。これにより、EU諸国とロシアを結ぶ旅客鉄道の運行は事実上なくなった[8]。
導入される車両は現在、フィンランド国内で運用されているペンドリーノシリーズであるVR Sm3と似た編成であるが、新型のペンドリーノ(イタリア国鉄ETR600電車)をベースとしたSm6が使用され、VRグループの交流25kVに加えてロシア鉄道の直流3kVに対応した交流直流両用仕様である。新ブランドに対応した車体の配色がされている[9]。