カール・アイカーン(英語:Carl Icahn、1936年2月16日 - )は、アメリカ合衆国の投資家。持株会社アイカーン・エンタープライズの創業者。
2011年時点で総資産が125億ドルの資産家である。テキサコ、ウエスタンユニオン、バイアコム、サムソナイト、ハーバライフなどのほかに、原子力開発で有名なカーマギー社にも影響力を持つ。
東欧から移民したユダヤ教を信仰するユダヤ系カントルの父と、学校教師の母のもとにニューヨーク市クイーンズ区に生まれた。ニューヨークのファーロックアウェイ高校を経てプリンストン大学で哲学を専攻して卒業する。のちにニューヨーク大学で医学を専攻するも、中退している。1961年に25歳でドレフュス商会(1994年からメロン・フィナンシャル)で働きはじめた[1]。1968年[注釈 1]、自身のヘッジファンド、のちのアイカーン・エンタープライズとなるIcahn & Co.を設立した。
2015年9月末時点でアイカーンは投資総額約1兆7000億円のファンドを運営し、企業の経営権を取得する「乗っ取屋」として有名である[2]。たとえば1985年にトランス・ワールド航空を買収した。このころ、アイヴァン・ボウスキーやマイケル・ミルケンと並び、ガルフ・アンド・ウェスタンなどの買収をめぐりウォール街市場でのインサイダー取引を疑われていた[3][4][5][6]。トランス・ワールド航空が1992年にチャプター11申請した時、アイカーンは個人的損害が1億5000万~2億ドルであると記者会見で述べた[7]。
2000年以降、アイカーン・エンタープライズは年平均22%の運用成績を収めている[8]。2004年、マイラン株を買収して議決権を増やし、マイラン名義でKing Pharmaceuticals を買収した。2006年2月、ラザードCEO と作成した343ページに及ぶ企画書にタイムワーナー買収を盛り込んだ。また、2010年6月までブロックバスター (企業) の重役であった。同年7月にメンター・グラフィックスの14%を買収し、2011年2月に買収提案までした。2012年10月31日、ネットフリックスの10%を買収した。2015年11月23日、ゼロックス株の持分7.13%を公開した[9]。こうした例に見られるよう、近年は少数持分を取得した上で経営改革を迫る手法をとるようになった[10]。