これらのうち、アルビオリックスは推定直径が 28.6 km であり、ガリア群の衛星の中では最大である[5]。S/2004 S 29 の発見者の一人であり、数多くの衛星を発見したスコット・S・シェパードは S/2004 S 29 と S/2020 S 4 の2つをイヌイット群(軌道傾斜角が45度前後)に分類しているが[2]、ジェット推進研究所 (JPL) の5,000年以上の時間スケールによる数値積分で平均化された軌道要素では両者の軌道傾斜角はそれぞれ38.6度と40.1度となっており、これはイヌイット群よりもガリア群に近い[4][注 1]。
このほか、2019年に報告された S/2004 S 24 と2023年に報告された S/2006 S 12 もガリア群に類似した軌道要素を持っている[4]。しかし、ガリア群に属する他の衛星と比べると、遥かに遠方を公転する軌道を持つ。そのため、かつては内側にあったものが外側に移動してきたものか、あるいはそもそもガリア群には属さない衛星である可能性もある[6]。
最近の観測では、ガリア群の最大の衛星であるアルビオリックスの表面は異なる2つの色を示すことが分かっている[1]。片方の色はエリアポとタルボスの表面と似ているが、もう片方はあまり赤みの無い色をしている。このことから、エリアポとタルボスはアルビオリックスへの天体衝突によって発生した破片であり、衝突の際に赤みの薄いクレーターを形成した結果としてアルビオリックスの模様が出来た可能性が示唆されている[1]。このような衝突を起こすためには、アルビオリックスに衝突した天体はサイズが 1 km 以上、相対速度は 5 km/s である必要があり、その結果として半径 12 km の大きなクレーターを形成する。同じ土星の衛星であるフェーベの表面には多数の大きなクレーターが発見されており、土星周辺では過去にこのような天体衝突が頻発していたことを示している。
^ abJacobson, Robert A.; Brozović, Marina; Mastrodemos, Nickolaos; Riedel, Joseph E.; Sheppard, Scott S. (2022). “Ephemerides of the Irregular Saturnian Satellites from Earth-based Astrometry and Cassini Imaging”. The Astronomical Journal164 (6): 10. Bibcode: 2022AJ....164..240J. doi:10.3847/1538-3881/ac98c7. 240.
^Gladman, Brett; Kavelaars, J. J.; Holman, Matthew; Nicholson, Philip D.; Burns, Joseph A.; Hergenrother, Carl W.; Petit, Jean-Marc; Marsden, Brian G. et al. (2001). “Discovery of 12 satellites of Saturn exhibiting orbital clustering”. Nature412 (6843): 163–166. doi:10.1038/35084032. ISSN0028-0836.
^Grav, Tommy; Holman, Matthew J. (2004). “Near-Infrared Photometry of the Irregular Satellites of Jupiter and Saturn”. The Astrophysical Journal605 (2): L141–L144. arXiv:astro-ph/0312571. doi:10.1086/420881. ISSN0004-637X.