キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法

キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法
The Old Possum's Book of Practical Cats
著者 T・S・エリオット
訳者 池田雅之
イラスト ニコラス・ベントリー
発行日 1995年
発行元 ちくま文庫
イギリス
言語 英語
コード ISBN 978-4480031372
ウィキポータル 文学
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(ポッサムおじさんのねことつきあうほう : The Old Possum's Book of Practical Cats)は、イギリス詩人T・S・エリオットによる子供向けの詩集である。1939年に発表された。ポッサムはオポッサムのことであり、死んだ振りをすることから「臆病者」という意味がある。エリオットはエズラ・パウンドの詩に“Possum”という渾名で登場することが多く、ポッサムおじさんとは自身の渾名にちなんだタイトルである。

日本語訳

[編集]

当記事の記事名に用いている題名は、ちくま文庫から刊行された日本語版に付けられたものである。日本語訳は他にも様々な題名で出版されている。

  • おとぼけおじさんの猫行状記 (二宮尊道訳、中央公論社「エリオット全集(1)」、1960年、改訂版1971年)
  • キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法池田雅之訳、ちくま文庫 1995年)
  • 袋鼠ポサム親爺の手練猫名簿柳瀬尚紀訳、評論社 2009年)
  • キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科小山太一訳、河出書房新社 2015年)
  • オールド・ポッサムの抜け目なき猫たちの詩集(佐藤亨訳、球形書房 2023年)

以下はいずれも部分訳である。

  • キャッツ ボス猫・グロウルタイガー絶体絶命田村隆一訳、海外秀作絵本・ほるぷ出版 1988年、新版2018年)
  • 魔術師キャッツ 大魔術師ミストフェリーズ マンゴとランプルの悪ガキコンビ(同上、1991年) 絵はエロール・ル・カイン

登場猫

[編集]
  • ジェニエニドッツ (Jennyanydots, The Old Gambie Cat)
    温和なおばさん猫。ねずみからゴキブリまで教育しようとする。名前のGambieはgumから派生した言葉で、「ガムのようにくっついたら離れない様子」の意味。
  • グロールタイガー (Growl tiger)
    やくざな海賊猫。グリドルボーン嬢とデートしているところを敵に強襲され、海のもくずと消える。名前のGrowlは「唸る」の意味で、tigerはもちろん「虎」。
  • ラム・タム・タガー (Rum Tum Tugger)
    あまのじゃくなわがまま猫。名前のrumは「風変わりな」もしくは「ラム酒」の意。tumは「ポン(打楽器)」や「ポロン(弦楽器)」といった音を表す擬音語。TuggerはTug(ひっぱる)とTiger(虎)をかけている。
  • マンゴジェリー (Mungojerrie)
    悪名高い泥棒猫。ランペルティーザとコンビを組む。
  • ランペルティーザ (Rumpelteazer)
    悪名高い泥棒猫。マンゴジェリーとコンビを組む。名前のteazerはteaserのことで、「苛める人、厄介者」を表す。
  • デュトロノミー (Old Deuteronomy)
    長生きの長老猫。9人の女房の死を看取ったとも、99人の女房の死を看取ったとも言われる。名前は旧約聖書申命記(Book of Deuteronomy)から。
  • ランパスキャット (Rumpuscat)
    いかつい大親分猫。やくざな犬の一家でさえ恐れる。名前のRumpasは「騒動、激論」の意味。
  • ミストフェリーズ (Mr.Mistoffelees)
    偉大な魔術猫。無口で小柄な黒猫。名前の由来は「ファウスト」の悪魔メフィストフェレス (Mephistopheles)。
  • マキャヴィティ (Macavity)
    猫の犯罪界におけるナポレオン。スコットランドヤードも手を焼いている。名前はシャーロック・ホームズシリーズに登場するジェームズ・モリアーティイタリア政治思想家ニッコロ・マキャヴェッリに由来する。
  • アスパラガス (Gus)
    落ちぶれた芝居猫。かつては魔王ファイヤーフローフィードル役で一世を風靡した。
  • バストファー・ジョーンズ (Bustopher Jones)
    太った貴族猫。行きつけのクラブは8軒も9軒もある。
  • スキンブルシャンクス (Skimbleshanks)
    有能な鉄道猫。夜行列車「メイル」号の運行は彼にかかっている。

ミュージカル

[編集]

アンドリュー・ロイド=ウェバーの作曲で、この詩集を元に音楽とストーリーを加えミュージカル化された。ミュージカルには、詩集には登場しないオリジナルの猫や、詩集とは違った設定を与えられている猫もいる。

関連書籍

[編集]
  • 池田雅之『猫たちの舞踏会 エリオットとミュージカル「キャッツ」』(角川ソフィア文庫、2009年) - ちくま文庫版の訳者による解説書

関連項目

[編集]