キンク(英語: kink)とは一般に、
を表す英語である。専門用語としては以下の項目を参照。
気象学において、キンクとは、主に停滞前線において、前線上に低気圧が発生する前触れとしてみられる、前線のねじれのこと。主に温帯低気圧の発生時に見られる現象。
ふつう、停滞前線は東西方向に伸びていて直線に近い。しかし、前線のある部分が北に少し盛り上がり、これが次第に大きくなってやがて前線自体が折れ曲がって、東側は温暖前線、西側は寒冷前線に変わることがある。この初期状態を「キンクができた」などという。
停滞前線ではなく、直線的に接している温暖前線と寒冷前線の間にできることもある。 停滞前線の上空では、傾圧不安定波による気圧の谷と気圧の尾根が存在し、これらに対応して上空ではジェット気流の南北へのうねりが生じている。このうねりが大きくなると、気圧の谷と共に寒気の渦が分離される。この上空での一連の変化に対応して、地上で前線の変形と低気圧の発達が起きる。 うねりが大きくなり始めた段階で、気圧の谷の東側地上にキンクができる。キンクが成長すると共に、天気図上にも低気圧が現れ発達する。
建設・土木、医療、釣りにおいて、糸・ロープ・ケーブル・ホース・チューブなど、主に細長い物を巻き上げているとき、解いてるとき、または引き延ばすときに、折れ、よれ、潰れが発生することにより元の形状に戻りにくくなることを「キンクする」という。
この現象が起こると、そのもの本来の役目を果たさなくなることも多々あり(登山用や牽引用ロープで起これば、ほつれ・断裂。医療用カテーテルでは薬剤の搬送・外科術式遅延)、事故に繋がる可能性もあり、前兆を監視しなければならないし(カメラケーブルなどのいわゆる「ケーブルさばき」という作業は、これを行なっていると言える)、軽いよじれのうちに速やかなよじれ解消を行わない場合、キンクが発生し当該部位の交換が必須になる場合もある。
キンク防止の工夫がなされた抗キンク性製品(カテーテル内に復元性の高い素材を網目に組んだ繊維が埋め込まれたものなど)も開発されている。
材料工学において、主に細長い物を巻き上げているとき、解いてるとき、または引き延ばすときに、折れ、よれ、潰れが発生することにより元の形状に戻りにくくなることを「キンクする」という。
キンク試験という、キンクが生じない最小半径を求める試験がある。フリーの状態でループを作り、試料の両端を引っ張り、キンクを故意に発生させるように行われ、結果は、損傷の発生状況や損傷なくループを解放できる程度により相対的な延性として示される。
キンク加工は電子工学で使われる言葉で、はんだ付け作業を容易に進めるため抵抗やダイオードなどの電子部品の足(端子)に施された曲げ加工のことで、基板への仮固定が容易になり、取付けた時の部品の浮き上がりを低減する効果がある。
半導体や絶縁体が発生させる衝突電離という現象中にキンク現象と呼ばれる不安定現象が発生する。
キンクバンド(キンク帯)とは地質学で使われる言葉で、結晶に見られる変形構造のひとつ。滑り面が局所的に屈曲した変形帯状領域や、岩石の劈開面に見られるシャープな屈曲で示される帯状部分を指す。キンクバンドと通常の領域との境界を「キンク面」という。
自動車のデザインにおいてキンクとは、Cピラー(後席ドア、あるいはリアクォーターガラス)の折り返されている部分を指し、自動車をスタイリッシュに見せる重要なデザインのひとつとなっている[1]。