キームガウアー(Chiemgauer)とは、ドイツ・バイエルン州のプリーン・アム・キームゼーを中心とした一帯で流通している地域通貨で、ドイツでREGIO(地方通貨)と呼ばれるものの一つ。地元のシュタイナー学校で高校の社会科の教師をしていたクリスティアン・ゲレーリが生徒とともに2003年に立ち上げた。ゲレーリは ルドルフ・シュタイナーとシルビオ・ゲゼルに影響を受けて着想した[1]。
このシステムでは、地産地消の推進と地元NPO(ドイツ語ではVerein)の活動支援が組み合わされている。具体的には以下の仕組みでキームガウアー紙幣は流通している。
2008年末現在、2000名近くの個人会員と500件 以上の企業会員が参加し、30万キームガウアーが流通している。キームガウアーでの売上は年間400万キームガウアー近く達し、2008年には3万5000ユーロ以上がNPOに寄付されている。また、現在ではキャッシュカードと提携した電子マネーとしてのキームガウアー・カードも使用されている(実際にはクレジットカードと同じようなものと考えてかまわない)。
キームガウアー紙幣の有効性を維持するためには、3ヶ月毎に額面の2%相当のスタンプを購入する必要がある。このシステムが「減価」であり、シルビオ・ゲゼルにより考案された、一種の通貨流通税である。減価により、利用者はこれを貯蓄せず消費するよう動機付けられる。ゲゼルは、貨幣の流通速度が上がるとデフレーションへの対抗に役立つと主張した[2]。