ギンコトキシン
5-(hydroxymethyl)-4-(methoxymethyl)-2-methylpyridin-3-ol
別称
4'-O-methylpyridoxine; 4-O-methylpyridoxine
識別情報
略称
MPN
日化辞 番号
J351.197I
InChI=1/C9H13NO3/c1-6-9(12)8(5-13-2)7(4-11)3-10-6/h3,11-12H,4-5H2,1-2H3
Key: SVINQHQHARVZFF-UHFFFAOYAE
特性
化学式
C9 H13 O3 N
モル質量
183 g/mol
特記なき場合、データは常温 (25 °C )・常圧 (100 kPa) におけるものである。
ギンコトキシン (英語 : Ginkgotoxin )とは、4'-O-メチルピリドキシンとも呼ばれ、イチョウ によって生合成される神経毒 である[ 1] [ 2] 。ギンコトキシンは、ビタミンB6 (ピリドキシン)と構造的に拮抗する抗ビタミンで、てんかん 発作を誘発し得る。
ギンコトキシンは、イチョウ の種子、即ち、銀杏に含まれるが、イチョウの葉にも微量、含まれる。イチョウの種子はそのまま摂取できるのに対して、イチョウの葉は栄養補助食品の原材料として使用される。
日本国内の8つの異なる場所から採取されたイチョウの種子について液体クロマトグラフィーで分析したところ、1グラムの種子中に0.173mgから0.4mg のギンコトキシンが観測された[ 3] 。種子中のギンコトキシン濃度は季節によって変動し、8月に最大となる[ 4] 。
ギンコトキシンは、アルビジア属の植物も産生する[ 3] 。しかし、アルビジア属の植物は人間の食用に供されていないため、ギンコトキシンの生成は問題とされていない。
生合成の第1段階では、Pdx1とPdx2とからなるシンターゼ複合体の存在下でリブロース5-リン酸 とジヒドロキシアセトンリン酸 とが反応し、ピリドキサールリン酸 を生成する。第2段階では、脱水素酵素 の存在下でヒドリドを除去してピリドキシン を生成する。最終段階では、ピリドキシンをO-メチル化して4'-O-メチルピリドキシン(ギンコトキシン)を生成する[ 5] 。
市販品による食中毒 のいくつかの事例が報告されている。ただ、銀杏 の摂取による中毒の方が、より懸念される。実際、特に子供が銀杏を食べ過ぎると、意識不明 、痙攣 が起こる事が有り、死に至る場合も有り得る[ 6] 。ギンコトキシンは、構造的にビタミンB6 に良く似ている。ギンコトキシンは、哺乳類のピリドキサールキナーゼ の活性を減少させる事によって、ビタミンB6 の活性化を阻害する事が示唆されている[ 7] 。活性化ビタミンB6の減少は、グルタミン酸脱炭酸酵素 の活性の低下につながり、GABA の生合成を阻害する。次に、神経伝達物質 の興奮と抑制の間に不均衡が発生する。これが、てんかんの発作を引き起こす[ 7] 。ギンコトキシンの毒性は、ビタミンB6 のサプリメントを摂取することによって緩和できる。
^ https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902276940042752
^ http://www.linkdediet.org/hn/modules/weblogD3/index.php?date=20100416
^ a b van Beek, Teris A.; Montoro, Paola (2009-03-13). “Chemical analysis and quality control of Ginkgo biloba leaves, extracts, and phytopharmaceuticals” (英語). Journal of Chromatography A 1216 (11): 2002–2032. doi :10.1016/j.chroma.2009.01.013 . ISSN 0021-9673 . https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S002196730900051X .
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^ Leistner, Eckhard; Drewke, Christel (2010-01-22). “Ginkgo biloba and Ginkgotoxin” . Journal of Natural Products 73 (1): 86–92. doi :10.1021/np9005019 . ISSN 0163-3864 . https://doi.org/10.1021/np9005019 .
^ Yoshimura T., Udaka N., Morita J., Jinyu Z., Sazaki K., Kobayashi D., Wada K. (2006). “High performance liquid chromatographic determination of ginkgotoxin and ginkgotoxin-5'-glucoside in Ginkgo biloba seeds”. Journal of Liquid Chromatography & Related Technologies 29 : 605-616. doi :10.1080/10826070500531466 .
^ a b Kästner U., Hallmen C., Wiese M., Leistner E., Drewke C. (2007). “The human pyridoxal kinase, a plausible target for ginkgotoxin from Ginkgo biloba ”. The FEBS Journal 274 (4): 1036-1045. doi :10.1111/j.1742-4658.2007.05654.x . PMID 17250738 .