クイーン・アン様式(クイーン・アンようしき)とは、イギリスのアン女王(1665~1714)の在位時代(1702~14)のイギリス・ロココ様式を指す。オランダの影響も強く受けていることから、この時代以前のウィリアム&メアリ様式と合わせて、アングロダッチ期とも呼ばれる。[1]
この時代はイギリスの海外進出が行われ、国内では経済的成長が見られた安定期だった。その時代背景のもとに、中産階級の生活水準が高まり、快適な座り心地と見た目の優雅さを兼ね備えた椅子が広まっていった。[1]
美しい花瓶形の背もたれは、座る人の背中にフィットするように曲面加工されている。装飾面だけではなく、人間の座る姿勢を考えた機能的な椅子が作られるようになった。脚はゆったりS字形カーブを描くねこ脚。座は前部が広く後部は狭くなるタイプが多い。材はウォルナットが主流。[1]