TV7-117(露:Климов ТВ7-117)は、ロシアのクリーモフが開発したターボプロップエンジンである。
Il-114向けに開発され、1997年に認定された。TV7-117は、それまでに生産されてきたエンジンと比べ高い信頼性と燃費、長寿命を備えている[1]。エンジンは、モジュラーデザインを採用しており、9つのモジュールで構成される。モジュールは現場で交換することができ、修理やメンテナンス性が向上したほか、劇的にコストを削減した。制御系には、電子系を2系統とバックアップ用の油圧系統を備えており、電子機器に異常が起きた場合でもエンジンを動作し続けられる[1]。製造は、クリモフ(サンクトペテルブルク)、シェルニーショフ(ロシア語版)(モスクワ)、バラノフ(オムスク)で行われている。ターボシャフト型のTV7-117V(VM)とTV7-117VKは、VK-3000とも呼ばれる。
最新型であるTV7-117STはIl-112Vのために開発がスタートし2016年よりベンチテストを開始[2][3]、2017年9月からはIl-76LLに搭載しての飛行試験を開始して[4]、12月に第1段階を完了した[5]。認証は2020年を計画している[6]。
- TV7-117S
- 基本型。出力2,500馬力[7]。最初のオーバーホールまで2,275時間/1,500サイクル、寿命は9,100時間/6,000サイクル。Il-114に搭載。
- TV7-117SD
- An-140用として提案されたエンジン。計画のみ。
- TV7-117SV
- MiG-110用として提案されたエンジン。計画のみ。
- TV7-117SM
- 2002年に公表された改良型。製造性や保守性、信頼性の向上のほかBARK-12またはBARK-57エンジン用電子制御ユニットに基づいたFADECを装備した。また、クリモフが、デザインの特許や製造権を有する他の性能パラメータを維持しつつ、出力を10%増加させる遠心ホイールを備えている[7]。Il-114-300に搭載。
- TV7-117ST
- TV7-117SMの出力向上型で、2,800馬力を有する[7]。Il-112に搭載され、2018年よりサリュートの一部であるオムスクのエンジン工場で量産を開始する予定[8]。アエロジラ(英語版)によって開発された推進力を増加させるAV112プロペラと共同して動作する[3]。BARK-65STMとよばれるFADECを搭載[6]。
- TV7-117ST-01
- TV7-117STの民間型[6]。ロシア産業貿易省により生産再開分のIl-114-300に強力でないTV7-117SMに代わって装備する決定がなされている[9]。
- TV7-117V(VM)
- ターボシャフト型。Mi-38に搭載され、出力は2,800馬力[10]。2016年6月より量産が開始された[11]。BARK-6VとよばれるFADECを搭載[6]。
- TV7-117VK
- Mi-28、Ka-50/52のアップグレード用エンジン。出力は2,500馬力[10]。
- ターボプロップ型(TV7-117SM、TV7-117ST)
一般的特性
- 形式: ターボプロップ
- 全長: 2,136mm
- 直径: 940mm
- 乾燥重量: 530kg(SM)、450kg(ST)※プレスリリースでは500kg[4]
構成要素
- 圧縮機: 単軸シャフトの軸流遠心圧縮機、5段軸流 + 1段遠心
- 燃焼器: アニュラ型
- タービン: 2段軸流
性能
- 出力:
- 緊急出力:3,500 hp(ST)※プレスリリースでは3,600 hp[4]
- 最大出力:3,000 hp(ST)
- 離陸時出力:2,500 hp(SM)、2,800 hp(ST)
- 巡航出力:1,800 hp(SM)、2,000 hp(ST)
- 全圧縮比(英語版): 16 (離陸時)
- タービン入口温度: 1,500K
- 燃料流量: (巡航時)
- 180 g/hp/hr (SM)
- 175 g/hp/hr (ST)
- 出力重量比:
出典: [7]
- ターボシャフト型(TV7-117V(VM)、TV7-117(VK)
一般的特性
- 形式: ターボシャフト
- 全長: 1,614mm(V(VM))、2,077mm(VK)
- 直径:
- 幅:640mm(V(VM))、685mm(VK)
- 高さ:820mm
- 乾燥重量: 360kg(V(VM))、380kg(VK)
構成要素
- 圧縮機: 単軸シャフトの軸流遠心圧縮機、5段軸流 + 1段遠心
- 燃焼器: アニュラ型
- タービン: 2段軸流
性能
- 出力:
- 緊急出力(30秒):3,750 hp(V(VM))
- 緊急出力(2-5分間持続):3,500 hp(V(VM))
- 緊急出力(30分間持続):3,000 hp(V(VM))、2,800 hp(VK)
- 離陸時出力:2,800 hp(V(VM))、2,500 hp(VK)
- 巡航出力:2,000 hp(V(VM))、1,800 hp(VK)
- 全圧縮比(英語版): 16 (離陸時)
- タービン入口温度: 1,500K
- 燃料流量:
- 離陸時:199 g/hp/hr(V(VM))、201 g/hp/hr(VK)
- 巡航時:220 g/hp/hr(V(VM))、230 g/hp/hr(VK)
- 出力重量比:
出典: [10]
- 関連の開発
- 同等のエンジン
- 関連リスト