『クレイジーセクシークール』 | ||||
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TLC の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 1993年12月 - 1994年9月 | |||
ジャンル | R&B、ヒップホップ・ソウル、ニュージャックスウィング、エレクトロニカ | |||
時間 | ||||
レーベル | ラ・フェイス・レコード、アリスタ・レコード | |||
プロデュース |
総勢約13名
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専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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ゴールドディスク | ||||
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TLC アルバム 年表 | ||||
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『クレイジーセクシークール』収録のシングル | ||||
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『クレイジーセクシークール』(CrazySexyCool)は、1994年11月15日に発売されたTLCの2枚目のスタジオ・アルバム[10][11]。
1992年のデビュー・アルバム『エイント・2・プラウド・2・ベッグ』(Ooooooohhh... On the TLC Tip)よりもさらにロング・セールスとなったこの2ndアルバムは[注釈 1]、約2年にもわたってビルボード全米アルバムチャートの上位に居続け、最高順位3位(1995年7月29日付)、R&Bアルバムチャートで2位(1994年12月3日付)を記録[1][11]。シングルカットされた「クリープ」と「ウォーターフォールズ」も全米ホット・チャート連続第1位となり[13][14][11][15][16]、アルバムは第38回グラミー賞で「最優秀R&Bアルバム賞」を獲得した[15][11]。
『クレイジーセクシークール』はその後も売上げを伸ばし続け、全米だけでも累計1,200万枚以上を記録し、アメリカレコード協会(RIAA)からダイヤモンドディスクに認定され[13][14][17][11][5]、ガールズ・グループとしては史上初のダイヤモンド・ステータス授与となった[11]。世界中では2,300万枚以上を売上げ、アメリカのガールズ・グループのベストセラー・アルバムとなり、世界で2番目に売れたガールズ・グループのアルバムにもなった[11][注釈 2]。
2016年には、それまでダイヤモンドディスク認定されたアーティストの92作品のうち、7番目に優れたダイヤモンド・アルバムとしてビルボード誌でランク付けされた[18][注釈 3]。
2ndアルバム『クレイジーセクシークール』は、「女性」をテーマにした内容の楽曲が多く、おてんばでやんちゃ的だったデビュー・アルバムよりも大人の視点が加味されたアルバムに仕上げている[12][19]。レフト・アイはこのアルバムのタイトルの意味について、「全ての女性にあるものを表現している」と語っていた[12]。
どんな女の人でも、クレイジーな部分、セクシーな部分、そしてクールな部分があるの。多くのプロデューサー達がそのアイディアを勘違いしてクレイジーな曲をあたしに、セクシーな曲をCHILLIに、クールな曲をT-BOZに書いてきたわ。“CrazySexyCool”は、私達一人一人のことじゃなくて、全ての女性にあるものを表現しているの。—LEFT EYE
デビュー・アルバムのファンキーでワイルドな要素はそのまま保持したまま、繊細でセクシーな女性に成長した要素が加わると同時に[12]、3人の個性の違いも明確に打ち出され、グループとしての存在感が増した内容となっている[19]。全体的な傾向としては、低音のT-ボズの乾いたメイン・ボーカルが全面に押し出されたアルバムとなっている[19]。
デビュー・アルバムで駆使されていた判りやすいあからさまなラップは後退し、フィラデルフィア・ソウルとプリンスを彷彿させるような滑らかで魅惑的なコンテンポラリー・ソウルと、ニュージャックスウィングとヒップホップのビートを効かせたサウンドに仕上がっている[20]。
『クレイジーセクシークール』からシングルカットされた楽曲は全て、ビルボード全米ホット・チャートの5位圏内に入り、1枚目のシングル「クリープ」は1995年1月28日付から4週間連続1位を記録[13][14][17]。TLCにとっての初の全米ホット・チャート1位獲得曲となった[13][14][17]。「クリープ」はR&Bチャートでも1994年12月10日付から連続9週間1位を記録した[13][14][17]。
2枚目のシングル「レッド・ライト・スペシャル」は、1995年3月18日付の全米ホット・チャートで2位、R&Bチャートでは3位を記録した[13][14][17]。
3枚目のシングル「ウォーターフォールズ」は、1995年7月8日付から7週連続1位を記録し、TLCの最も成功した楽曲となった[13][14][17]。R&Bチャートでも同日付から3週連続4位を記録した[13][14]。SFXを駆使したミュージック・ビデオも話題となり、MTV ビデオ・ミュージック・アワードやソウル・トレイン・ミュージック・アワードなどで最優秀ビデオ賞を受賞した[13][14][17][19]。
4枚目のシングル「ディギン・オン・ユー」は、1996年1月6日付で全米ホット・チャートで5位となり、R&Bチャートで7位となった[13][14][17]。
「最優秀R&Bアルバム賞」を獲得したアルバム同様、シングル「クリープ」も第38回グラミー賞において「最優秀R&Bパフォーマンス賞-デュオ・グループ部門」を受賞し、「ウォーターフォールズ」のビデオも各賞で最優秀ビデオ賞を総なめするなど、それらを生み出したアルバム『クレイジーセクシークール』は、ガールズ・グループとしてのTLCの地位を不動のものにした作品と位置づけられている[19][17]。
R&B評論家の出田圭は、そうした収録楽曲の大ヒットにより、R&Bアクトのままでも全米中のガールズ・アイドルになれることが証明され、音楽的・人種的な壁を打ち破った画期的な作品と評価しており[19]、アメリカにおいてR&Bがメインストリームであることを決定づけた作品と位置づけている[19]。
ローリング・ストーン誌は、「オールタイム・グレイテストアルバム500」(The 500 Greatest Albums of All Time)の寸評の中で、スプリームス以来、誰も目にしたことのなかった「最も熱狂的でソウルフルなR&Bガールズ・グループ」が『クレイジーセクシークール』によって世に送り出されたと評価している[21]。
# | タイトル | 作詞・作曲 | プロデューサー | 時間 |
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1. | 「イントロ・ルード feat. ファイフ・ドッグ」(Intro-lude feat. Phife Dawg) | ジャーメイン・デュプリ、 ファイフ・ドッグ | ジャーメイン・デュプリ | |
2. | 「クリープ」(Creep) | ダラス・オースティン | ダラス・オースティン | |
3. | 「キック・ユア・ゲーム」(Kick Your Game) | ジャーメイン・デュプリ、 マニュエル・シール、 リサ・レフトアイ・ロペス | ジャーメイン・デュプリ、 マニュエル・シール | |
4. | 「ディギン・オン・ユー」(Diggin' on You) | ベイビーフェイス | ベイビーフェイス | |
5. | 「フェイク・ピープル」(Case of the Fake People) | ダラス・オースティン | ダラス・オースティン | |
6. | 「クレイジーセクシークール (インタールード)」(CrazySexyCool - Interlude) | ティオンヌ・ワトキンス、 ショーン・パフィ・コムズ、 チャッキー・トンプソン | ショーン・パフィ・コムズ、 チャッキー・トンプソン | |
7. | 「レッド・ライト・スペシャル」(Red Light Special) | ベイビーフェイス | ベイビーフェイス | |
8. | 「ウォーターフォールズ」(Waterfalls) | マルケス・エスリッジ (Marqueze Etheridge)、 リサ・レフトアイ・ロペス、 オーガナイズド・ノイズ (リコ・ウェイド、スリーピー・ブラウン、レイ・マーレイ (Ray Murray)) | オーガナイズド・ノイズ | |
9. | 「インターミッション・ルード」(Intermission-lude) | ジャーメイン・デュプリ | ||
10. | 「レッツ・ドゥ・イット・アゲイン」(Let's Do It Again) | ベイビーフェイス、 ジョン・ジョン・ロビンソン | ベイビーフェイス、 ジョン・ジョン・ロビンソン | |
11. | 「イフ・アイ・ウォズ・ユア・ガールフレンド」(If I Was Your Girlfriend) | プリンス | ショーン・パフィ・コムズ、 チャッキー・トンプソン、 ダラス・オースティン | |
12. | 「セクシー (インタールード) feat. ディディ」(Sexy - Interlude feat. Diddy) | ロゾンダ・トーマス、 ショーン・パフィ・コムズ | ロゾンダ・トーマス、 ショーン・パフィ・コムズ | |
13. | 「テイク・アワー・タイム」(Take Our Time) | アーノルド・ヘニングス (Arnold Hennings)、 デブラ・キリングス | ダラス・オースティン、 アーノルド・ヘニングス | |
14. | 「キャン・アイ・ゲット・ア・ウイットネス (インタールード) feat. バスタ・ライムス」(Can I Get a Witness - Interlude feat. Busta Rhymes) | トレバー・ティーメ・スミス・ジュニア、 ショーン・パフィ・コムズ、 チャッキー・トンプソン | ショーン・パフィ・コムズ、 チャッキー・トンプソン | |
15. | 「スイッチ」(Switch) | ジャーメイン・デュプリ、 マニュエル・シール、 リサ・レフトアイ・ロペス | ジャーメイン・デュプリ、 マニュエル・シール | |
16. | 「サムシン・ウィキッド feat. アンドレ・3000」(Sumthin' Wicked This Way Comes feat. André 3000) | オーガナイズド・ノイズ、 マルケス・エスリッジ、 リサ・レフトアイ・ロペス、 アンドレ・ローレン・ベンジャミン | オーガナイズド・ノイズ | |
合計時間: |
チャート(1994-1996) | 最高位 |
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アメリカ「ビルボード200・アルバムチャート」(Billboard 200) | 3 |
アメリカ「トップR&B/ヒップホップ・アルバムチャート」(Top R&B/Hip-Hop Albums) | 2 |
イギリス「UKアルバムチャート」(UK Albums Chart) | 4 |
イギリス「UK R&Bアルバムチャート」(UK Albums Chart) | 1 |
カナダ「カナディアン・アルバムチャート」(Canadian Albums Chart) | 6 |
オランダ「アルバム・トップ100」(Dutch Album Top 100) | 4 |
オーストラリア「アルバム・ARIAチャート」(ARIA Charts) | 5 |
ニュージーランド「アルバム・オフィシャル・チャート」(Official New Zealand Music Chart) | 1 |
ドイツ「アルバム・GfKエンターテインメント・チャート」(GfK Entertainment charts) | 4 |
出版媒体(国) | ランキング名称 | 位 | 発表年度 |
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ベンダー誌(米) (Blender) |
オールタイム・グレイテスト・アメリカンアルバム100 (The 100 Greatest American Albums of All time) |
68[45] | 2008 |
エンターテインメント・ウィークリー誌(米) (Entertainment Weekly) |
1983年-2008年・ベストアルバム100 (The 100 Best Albums from 1983 to 2008) |
36[46] | 2008 |
ローリング・ストーン誌(米) (Rolling Stone) |
90年代・グレイテストアルバム100 (The 100 Greatest Albums of the 90s) |
43[47] | 2019 |
ローリング・ストーン誌(米) (Rolling Stone) |
オールタイム・グレイテストアルバム500 (The 500 Greatest Albums of All Time) |
218[48] | 2020 |
ザ・ニュートン誌(英) (New Nation) |
黒人アーティスト・トップ100アルバム (Top 100 Albums by Black Artists) |
95[49] | 2012 |
ビルボード200(米) (Billboard 200) |
グレイテスト・オールタイム・ビルボード200アルバム (Greatest of All Time Billboard 200 Albums) |
126[50] | 2019 |
ビルボード200(米) (Billboard 200) |
グレイテスト・オールタイム・ビルボード200女性アルバム (Greatest of All Time Billboard 200 Albums by Women) |
35[51] | 2019 |
ビルボード200(米) (Billboard 200) |
オール92ダイヤモンド認定アルバム・批評ランキング (All 92 Diamond-Certified Albums Ranked from Worst to Best: Critic's Take) |
7[18] | 2016 |
コンプレックス(米) (Complex) |
90年代・ベストR&Bアルバム50 (The 50 Best R&B Albums of '90s) |
4[52] | 2007 |
NPR(米) (NPR) |
グレイテスト・女性アルバム150 (The 150 Greatest Albums Made by Women) |
26[53] | 2007 |