ジャンル | 縦スクロールアクション |
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対応機種 |
アーケード (AC) 対応機種一覧
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開発元 |
日物レジャーシステム[要出典] ジョルダン |
運営元 | 日本物産 |
デザイナー | 藤原茂樹 |
シリーズ | クレイジークライマーシリーズ |
人数 | 1 - 2人(交互プレイ) |
メディア |
業務用基板 (40.09キロバイト) |
稼働時期 |
1980年11月10日 |
対象年齢 |
CERO:A(全年齢対象) ESRB:E(6歳以上) |
デバイス | 8方向レバー×2 |
CPU | Z80 (@ 3.072 MHz) |
サウンド |
AY-3-8910A (@ 1.536 MHz) ディスクリート |
ディスプレイ |
ラスタースキャン 横モニター 256×224ピクセル 60.00Hz パレット96色 |
その他 | 型式:CCA-7001 |
『クレージー・クライマー』 (Crazy Climber) とは、1980年11月に日本物産から発売された業務用縦スクロールアクションゲームである[1][注釈 1]。なお、現在は『クレイジー・クライマー』の表記が一般的だが、AC版発売当時の広告やインスレーションカードの表記は『クレイジー』ではなく『クレージー』となっており、当ページもこれに倣う。
クライマーが命綱なしで超高層ビルを登るというゲーム内容で、レバー2本使用という操作形態をとっている。2周目の難易度も同じ完全4面ループ制。2本の8方向レバーは、それぞれが両腕の動作に対応している。上下に倒せばそれぞれの腕を上げ下ろしし、左右に動くには両方のレバーを同じ方向に倒す。両レバーを外側に倒すことで、腕を広げることもできる。
日本物産の子会社である日物レジャーシステム[要出典][注釈 2]とジョルダンの共同開発作品であり[4]、ゲーム・デザインおよびグラフィックは藤原茂樹が担当している。後に本作を含む日本物産の権利はハムスターが権利を受け継いでいる[5][6]。
アップライト筐体の定価は68万円、テーブル筐体の定価は58万円[7]。
当初日本物産から発売された後、国内ではセガ、オルカに製造許諾され、タイトーにはPCボード販売が行われた[8]。
北米ではAtari 2600、アルカディアなどの家庭用ゲーム機に移植された他、日本ではファミリーコンピュータ、X68000、ワンダースワンなどパソコンや携帯型ゲーム機にも移植された。アーケード版は後にスーパーファミコンおよびPlayStation用ソフト『ニチブツアーケードクラシックス』(1995年)などのオムニバスソフトに収録された他、2010年にはWii用ソフトとしてバーチャルコンソールアーケードにて、2014年にはPlayStation 4用ソフトとしてアーケードアーカイブスにて、2018年にはNintendo Switch用ソフトとしてアーケードアーカイブスにて配信された。ファミリーコンピュータ版は2014年にWindows用ソフトとしてプロジェクトEGGにて配信された。また、携帯電話用アプリゲームとしても2001年にJフォン用として配信された。
2本のレバーを用いてクライマーの両腕を操作する。左レバーが左腕、右レバーが右腕に対応し、レバーを倒した方向に腕を伸ばす。クライマーが登るビルは窓が格子状に並んでおり、開いている窓枠に手をかけることによって、左右および上方向に移動ができる。
ビルの1階の高さはクライマーの身長の半分ぐらいであり、窓に手をかけた状態で腕を下ろしきると、身体が持ち上がって上の階の窓枠に片手が届くようになる。腕を下ろして身体を持ち上げて、どちらかの片腕で上の階の窓枠に手をかけてさらに身体を持ち上げる、という動作の繰り返しでビルを登っていく。肩叩きのように、リズミカルに左右交互のレバーを上げ下げすることですばやく登ることができる。しかし動作には若干のタイムラグがあり、腕が充分に伸びきってから上げた腕を下ろさないと、ジタバタするばかりでうまく登ることはできない。また、窓枠に両手をかけているときに両方のレバーを左や右に倒すことによって、左右に移動が可能。
一列の窓枠に沿って上っていくのが基本だが、両腕を広げることで二列の窓枠にまたいで登ることもできる。ビルの窓はランダムに開け閉めされていくので、閉じている窓や閉まろうとしている窓を避けるために臨機応変に登り方を変える必要がある。
プレイヤーは開いている窓にしか手をかけられない。手がかかっている窓が閉められても手を挟まれることはないが、手をかけている状態が解除されてしまう。窓が閉められたことによってどこにも手をかけていない状態になると、支えを失い転落してミスとなってしまう。登る動作の最中は片手しか手をかけない瞬間があるため、閉まろうとしている窓を使って登るのはもっとも危険である。
道中ではビルの住人から物が落とされるほか、さまざまな妨害がなされる。詳細は#フィーチャーを参照。植木鉢や鳥のフンなどの落下障害物や、キングゴリラのパンチがクライマーにぶつかったとき、片手しか窓枠に手をかけていなかった場合は落下してミスとなってしまう。両手を窓枠にかけている場合(俗に「耐えのポーズ」「踏ん張りポーズ」と呼ばれる)は落下せず耐えることができるが、ひるんでしまい、どちらかの手が窓枠から外れてしまう。両方のレバーを窓枠の方向に倒しているとすぐに手をかけ直すため連続で当たっても耐えられるが、2つ以上が当たったタイミングがほぼ同時だった場合は、手をかけ直すのが間に合わず落下してしまうことがある。
ステージのスタート時(BGMは「子象の行進」)は1万点(1面)~4万点(4面)の「ボーナスレート」を持っており、一定間隔、および落下物に当たって1回耐えるごとに、100点(1・2面)または200点(3・4面)ずつ減っていく。ただし下限があり、一定得点(1面の場合は3000点)以上は減らず、下限まで減ってもミスになるなどのペナルティはない。
200階建てのビルを登りきり、屋上で待っているヘリコプターに手を掛けるとステージクリアとなる(2面クリア時のBGMは「ジ・エンターテイナー」、3面は「天使のセレナーデ」)。クリア時には、残りのボーナスレートがボーナス点として点数に加算される。しかし、屋上到達後一定時間ヘリコプターに手をかけずに飛び去った場合は、クリアとして次のステージには進めるものの、登頂失敗と見なされてボーナスレートの下限分のボーナス点しか得られない(このとき、ミス時と同じジングルが流れる)。
サンプリングボイスによる合成音声が使用されており、落下物に当たったときの「イテッ」、一定時間登らずにいる際に掛けられる「ガンバレ」や転落時の「アーッ」などが用いられている。
ビルの玄関には社名が書かれており、1面から順に日本物産 (Nichibutsu)、日物レジャーシステム (Nichibutsu Leasure)、ニチブツUSA (Nichibutsu USA Co. Ltd)、ニチブツUK (Nichibutsu UK. Limited) となっている。
以下の状態となった場合、クライマーがビルから転落してミスとなる。
このゲームには多数のバグ技が存在する。
本作は多種多様なプラットフォームに移植された。 オリジナルとなるアーケード版では、開始直後に流れるBGM「子象の行進」を始め、さまざまな既存曲が使われているが、著作権料を払っていない[9]。 このため、移植板ではX68000版のようにJASRACから楽曲使用許諾を受けることもあれば、スーパーファミコン版のニチブツアーケードクラシックスのように曲そのものを似た曲に差し替えられることもあった。
No. | タイトル | 発売日 | 対応機種 | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 備考 |
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1 | Crazy Climber | 1982年 |
Atari 2600 | アタリ | アタリ | ロムカセット | CX2683 | |
2 | Crazy Climber | 1982年 |
アルカディア | UA Limited | Grandstand Leisure | ロムカセット | - | |
3 | クレイジー・クライマー | 1986年12月26日 |
ファミリーコンピュータ | 日本物産 | 日本物産 | 1メガビット+64キロRAMロムカセット[10] | NBF-CY | アレンジ移植
クライマースティック同梱 |
4 | ビデオゲームアンソロジー Vol.5 クレイジー・クライマー I & II |
1993年8月27日 |
X68000 | 電波新聞社 | マイコンソフト | フロッピーディスク | - | アーケード版の移植 |
5 | ニチブツアーケードクラシックス | 1995年5月26日 |
スーパーファミコン | 日本物産 | 日本物産 | ロムカセット | SHVC-AACJ-JPN | アーケード版の移植 |
6 | ニチブツアーケードクラシックス | 1995年12月29日 |
PlayStation | 日本物産 | 日本物産 | CD-ROM | SLPS-00184 | アーケード版の移植
『クレイジークライマー'85』収録 |
7 | ハイパークレイジークライマー | 1996年2月23日 |
PlayStation | 日本物産 | 日本物産 | CD-ROM | SLPS-00248 | アレンジ移植 |
8 | ハイパークレイジークライマー | 1996年11月30日 |
Windows | 日本物産 | 日本物産 | CD-ROM | - | アレンジ移植 |
9 | クレイジー・クライマー | 1999年7月29日 |
ワンダースワン | 日本物産 | 日本物産 | ロムカセット | SWJ-NHB001 | アレンジ移植 |
10 | クレイジークライマー2000 | 2000年2月3日 |
PlayStation | 日本物産 | 日本物産 | CD-ROM | SLPS-02582 | アレンジ移植 |
11 | Ultra2000 クレイジー・クライマー |
2001年3月9日[11] |
Windows | 日本物産 | メディアカイト | CD-ROM | - | アーケード版の移植 |
12 | クレイジー・クライマー | 2001年8月15日[12] |
Jフォン (Javaアプリ) |
日本物産 | イートレックジャパン | ダウンロード (ニチブツコレクション) |
- | |
13 | Major Wave シリーズ アーケードヒッツ クレイジー・クライマー |
2002年5月23日 |
PlayStation | 日本物産 | ハムスター | CD-ROM | SLPM-87067 | アーケード版の移植
『クレイジークライマー'85』収録 |
14 | 遊遊 クレイジー・クライマー |
2004年4月9日 |
Windows | 日本物産 | メディアカイト | CD-ROM | - | アーケード版の移植 |
15 | オレたちゲーセン族 クレイジー・クライマー |
2005年7月21日 |
PlayStation 2 | 日本物産 | ハムスター | CD-ROM | SLPM-62627 | アーケード版の移植 |
16 | ニチブツ・アーリーコレクション | 2010年1月 |
Windows | 日本物産 | D4エンタープライズ | CD-ROM | - | ファミリーコンピュータ版の移植 |
17 | クレイジー・クライマー | 2010年2月23日 |
Wii | 日本物産 | ハムスター | ダウンロード (バーチャルコンソールアーケード) |
- | アーケード版の移植 |
18 | クレイジー・クライマー | 2011年12月19日[13] |
Android | 日本物産 | ハムスター | ダウンロード | - | アーケード版の移植 |
19 | クレイジー・クライマー | 2014年5月15日[14] 2015年5月26日[15] 2015年7月19日 |
PlayStation 4 (PlayStation Network) |
日本物産 | ハムスター | ダウンロード (アーケードアーカイブス) |
CUSA-00390 CUSA-00974 CUSA-02489 |
アーケード版の移植 |
20 | クレイジー・クライマー | 2014年9月16日[16][17] |
Windows | 日本物産 | D4エンタープライズ | ダウンロード (プロジェクトEGG) |
- | ファミリーコンピュータ版の移植 |
21 | クレイジー・クライマー | 2018年2月8日[18][19][20] |
Nintendo Switch (ニンテンドーeショップ) |
日本物産 | ハムスター | ダウンロード (アーケードアーカイブス) |
- | アーケード版の移植 |
評価 | ||||||||||
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1991年にそれまで稼働されていたアーケードゲーム全てを対象に行われたゲーメスト読者の人気投票によるゲーメストムック『ザ・ベストゲーム』では44位を獲得した[25]。また、1998年にそれまで発売されていたアーケードゲーム全てを対象に行われたゲーメストムック『ザ・ベストゲーム2』では、『名作・秀作・天才的タイトル』と認定された「ザ・ベストゲーム」に選定され、同書ではツインレバーでの操作方法が画期的であった事に触れ、「スムーズな人間的な動きをするとゾッとするほどであった」とキャラクター動作に関して肯定的に評価した他、同じ場所に居続けると発生する『ガンバレ』というかけ声や、落下する際の『アー』という声に関して「非常に印象的」と述べた[26]。また、登っている際の効果音や鳥が飛来する際やゴリラの出現、風前に捕まった際の曲に関して「じつにいい味を出していた」と音楽や効果音に関して肯定的に評価した[26]。 ライターの鴫原盛之は、ゲーム文化保存研究所のウェブサイトに寄せた記事の中で、クリア時のジングルに工夫を凝らした例として本作のアーケード版を挙げており、全4ステージで異なるジングルを用意したことで、プレイヤーが次のステージをクリアした時の達成感がさらに高まる、粋な演出だと評価している[27]。
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計25点(満40点)[23]、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、15.53点(満30点)となっている[10]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | 操作性 | 熱中度 | お買得度 | オリジナリティ | 総合 |
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得点 | 2.76 | 2.58 | 2.13 | 2.69 | 2.35 | 3.02 | 15.53 |
ゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」では6、5、6、6の合計23点(満40点)[24]。レビュアーはワンダースワンのボタンはこのゲームの操作形態ために配置されたかのようだと述べた[24]。レビュアーは操作性の悪さや、新ステージのアレンジ度合いの低さを指摘しつつも、ACモードはほぼ再現されているため昔のゲームを楽しみたい人向けだとした[24]。
エポック EL-SPIRITS クレイジー・クライマー ミニゲーム