クール・エイド (Kool-Aid)は、アメリカ合衆国 を発祥とする粉末ジュース のブランドである。現在はクラフト・ハインツ がこのブランドを保有している。
クール・エイドが発明されたネブラスカ州 ヘイスティングズ の建物
クール・エイドは、ネブラスカ州 ヘイスティングズ に住むエドウィン・パーキンス (英語版 ) が発明した。パーキンスは、自宅の台所で実験を行っていた[ 1] 。最初に作ったのは、ジュースを濃縮した液体状の「フルーツ・スマック」(Fruit Smack)だった。1927年、輸送しやすくするために、パーキンスはフルーツ・スマックを粉末状にする方法を開発し、この粉末を「クール・エイド」と命名した。1931年、パーキンスは生産拠点をシカゴ に移した。1953年、パーキンスはクール・エイドの製造会社をゼネラルフーヅ に売却した[ 2] 。ゼネラルフーヅはクラフトフーヅ との合併などを経て、現在はクラフト・ハインツ となっている。
クール・エイド発祥の地のヘイスティングズでは、毎年8月に「クール・エイド・デイズ」という祭りが開催されている。ネブラスカ州はクール・エイドを「州のソフトドリンク 」に制定している[ 3] [ 4] 。
クール・エイドには、古いパッケージのコレクターが存在し、そのコミュニティの活動は活発である。稀少なパッケージは、オークションサイトで数百ドルの値が付くことがある[ 5] 。
クール・エイドは通常、粉末状で容器に入れられて販売されており、水で薄めて供される。ほとんどの製品は砂糖が入っていないので、好みに応じて砂糖を入れる。また、1杯分のクール・エイドが入っていて、水を入れるだけでそのまま飲めるようにした容器や、既に水で薄めた状態でボトルに詰めたものも売られている。この他、クール・エイドで作ったアイスクリームや発泡タブレット (英語版 ) もある。
クール・エイドを溶かした水に髪や羊毛を付けると色が染まるため、染料としても使用される[ 6] [ 7] 。
1950年代にゼネラルフーヅがこのブランドを買収した後、同社は宣伝のためにクール・エイド・マン (英語版 ) (Kool-Aid Man)というマスコットを作った。これは、クール・エイドが入ったピッチャー を擬人化 したものである。
2011年から、クラフト社は、クール・エイドのマーケティングのターゲットを、ラテン系住民を中心にするようになった。同社によれば、クール・エイドを愛飲する人の約20%がヒスパニックであり、20%強がアフリカ系アメリカ人である[ 8] 。
クール・エイドはアメリカにおいて粉末ドリンクの代名詞のようになっており、クール・エイド以外の粉末ドリンクについても「クール・エイド」と呼ばれることがある(商標の普通名称化 )。
「クール=エイドを飲む 」(drinking the Kool-Aid)というスラング は、「同調圧力に屈して誤った選択をしてしまうこと」や「盲信」を意味する。これは、1978年にアメリカのカルト教団である人民寺院 が、教祖のジム・ジョーンズ の指示により集団自殺をした際に、クール・エイドと毒物を混ぜて飲んだとされていることによる。しかし実際には、クール・エイドだけでなく競合商品のフレーバー・エイド (英語版 ) も使われていた[ 9] 。クール・エイドを販売するクラフトフーヅも同様の説明をした[ 10] [ 11] 。
トム・ウルフ のノンフィクション作品"The Electric Kool-Aid Acid Test "(日本語訳題『クール・クール LSD交感テスト』)は、ケン・キージー と、彼が率いるサイケデリック 集団「メリー・プランクスターズ 」を描いたものである。このタイトルは、1960年代にメリー・プランクスターズがカリフォルニア州 ワッツ (英語版 ) で行っていたLSD の体験イベント「アシッド・テスト (英語版 ) 」で、クール・エイドにLSDを混ぜていたことによる[ 12] 。
^ The History of Kool-Aid and Edwin Perkins .
^ “History of Kool-Aid ”. Hastings Museum of Culture and History. June 15, 2008時点のオリジナル よりアーカイブ。May 16, 2008 閲覧。
^ “Nebraska takes sweet turn, names Kool-Aid state drink” . Deseret News . (May 22, 1998). http://www.deseretnews.com/article/631464/Nebraska-takes-sweet-turn-names-Kool-Aid-state-drink.html
^ Gustafson, Angela (August 9, 2011). “Nebraska's official soft drink celebrated at the 14th Annual Kool-Aid Days on Aug. 12-14” . The Fence Post . オリジナル のMay 26, 2013時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130526175356/http://www.thefencepost.com/article/20110809/NEWS/110809900/1032%26ParentProfile%3D1001 February 19, 2020 閲覧。
^ Hodge, Will (6 June 2019). “Inside the black (cherry) market of vintage Kool-Aid packet collectors” . The Takeout . https://thetakeout.com/inside-black-market-vintage-kool-aid-packet-collectors-1835123510 13 June 2019 閲覧。
^ “How to dip dye your hair with kool-aid ”. Wiki how . Wiki How. October 30, 2014 閲覧。
^ “Dyed in the wool ”. knitty . 2022年4月22日 閲覧。
^ Newman, Andrew Adam (May 27, 2011). “ADVERTISING; Kraft Aims Kool-Aid Ads at a Growing Hispanic Market” . The New York Times . https://www.nytimes.com/2011/05/27/business/media/27adco.html May 27, 2011 閲覧。
^ Eric Zorn (November 18, 2008). “Change of Subject , "Have you drunk the 'Kool Aid' Kool Aid ”. Chicago Tribune, www.chicagotribune.com. August 27, 2009 閲覧。
^ Martin Khin (December 19, 2007). “Don't Drink the Grape-Flavored Sugar Water... ”. Fast Company, www.fastcompany.com. April 7, 2005時点のオリジナル よりアーカイブ。August 27, 2009 閲覧。
^ Al Thomkins (November 13, 2003). “Al's Morning Meeting , "Thursday Edition: Clearing Kool-Aid's Name" ”. The Poynter Institute, www.poynter.org. December 4, 2003時点のオリジナル よりアーカイブ。August 27, 2009 閲覧。
^ “The Electric Kool' Aid Acid Test ” (英語). www.thecrimson.com . The Harvard Crimson (October 19, 1968). 4 June 2018 閲覧。