グラニセトロン
IUPAC命名法 による物質名
1-メチル-N -((1R ,3r ,5S )-9-メチル-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-イル)-1H -インダゾール-3-カルボキシアミド
臨床データ 胎児危険度分類
法的規制
S4 (Au) , POM (UK ) , ℞-only (U.S.) 薬物動態 データ生物学的利用能 60% 血漿タンパク結合 65% 半減期 3–14 時間 排泄 尿 11–12%, 糞便 38% データベースID CAS番号
109889-09-0 ATCコード
A04AA02 (WHO ) PubChem
CID: 3510 DrugBank
APRD01002 ChemSpider
10482033 UNII
WZG3J2MCOL KEGG
D04370 化学的データ 化学式 C 18 H 24 N 4 O 分子量 312.41 g/mol
CN4[C@@H]1CCC[C@H]4C[C@H](C1)NC(=O)c3nn(C)c2ccccc23
InChI=1S/C18H24N4O/c1-21-13-6-5-7-14(21)11-12(10-13)19-18(23)17-15-8-3-4-9-16(15)22(2)20-17/h3-4,8-9,12-14H,5-7,10-11H2,1-2H3,(H,19,23)/t12-,13+,14- Key:MFWNKCLOYSRHCJ-BTTYYORXSA-N
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グラニセトロン (Granisetron)は、5-HT3 受容体 拮抗薬の一つである。セロトニン と5-HT3 受容体との結合を選択的に阻害することで求心性迷走神経 の活性を低下させ、延髄 の化学受容器引き金帯 (CTZ)を抑制する事で嘔吐 を抑制するため、がん化学療法 や手術後に制吐薬 として使用される。ドーパミン受容体 やムスカリン受容体 には作用しない。商品名カイトリル 。
グラニセトロンはグラニセトロン塩酸塩 の形で市販されている。CAS登録番号 は[107007-99-8]で、IUPAC名は1-Methyl-N -(endo-9-methyl-9-azabicyclo[3.3.1]non-3-yl)-1H -imidazole-3-carboxamide hydrochrorideである。化学式はC18 H24 N4 O・HCl、分子量 は348.87 g/mol。
英国の製薬企業ビーチャム社(現在のグラクソ・スミスクライン 社)が1988年頃発見した。英国 で1991年、米国 で1994、日本 で1992年(注射薬)と1995年(経口薬)に承認された[ 1] :1 [ 2] :1 。日本では1995年8月より薬価収載され中外製薬 より販売されている。効能・効果は「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与および放射線照射に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」である。剤形として注射剤、錠剤、顆粒剤が販売されている。米国ではグラニセトロンの経皮吸収パッチ が販売されている[ 3] 。
グラニセトロンは肝臓でゆっくりと代謝されるので、半減期 が4〜9時間と長く、1日1回または2回投与で使用される。肝臓 と腎臓 から排泄される。主な排泄経路は腎臓である。
グラニセトロンはオンダンセトロン と同様に化学療法 -誘発性嘔気・嘔吐の治療に用いられる[ 4] [ 5] [ 6] 。がん化学療法の代表的な副作用の中に嘔気、嘔吐、下痢がある。これらは医師が予防・軽減・治療できる副作用である。
グラニセトロンを含む多くの薬剤が、術後悪心嘔吐 (PONV)の治療に有効である[ 7] が、グラニセトロンは日本では適応外であった。しかし、2021年8月30日付で保険適応追加となった[ 8] 。ドロペリドール 、メトクロプラミド 、オンダンセトロン 、シクリジン と比較した際のグラニセトロンの有効性の優劣は定かではない[ 7] 。
急性・慢性内科的疾患や急性胃腸炎 による悪心・嘔吐に有効性を示す。
周期性嘔吐症 (英語版 ) に対する有効性を確認する正式な臨床試験は実施されていない。
重大な副作用は、ショック 、アナフィラキシー である[ 5] [ 6] 。
グラニセトロンの忍容性は高く、副作用は少ない。頭痛、眩暈、便秘が代表的な副作用である。
肝臓 のシトクロムP450 で代謝され、薬効を失う。
APF530はグラニセトロンの持続性製剤であり、米国で2012年10月に承認申請(NDA)された[ 9] 。放射線療法・化学療法実施中の患者の制吐薬 として開発されている。Biochronomerと呼ばれるドラッグデリバリーシステム が採用されており、1回の皮下注射で効果が5日間持続する。
^ “カイトリル注1mg/カイトリル注3mg/カイトリル点滴静注バッグ3mg/50mL/カイトリル点滴静注バッグ3mg/100mL インタビューフォーム ”. 中外製薬 (2014年8月). 2016年4月5日 閲覧。
^ “カイトリル錠1mg/カイトリル錠2mg/カイトリル細粒0.4% インタビューフォーム ”. 中外製薬 (2014年8月). 2016年4月5日 閲覧。
^ PRNewswire. FDA Approves Sancuso, the First and Only Patch for Preventing Nausea and Vomiting in Cancer Patients Undergoing Chemotherapy . September 12, 2008.
^ Billio, A; Morello, E; Clarke, MJ (Jan 20, 2010). “Serotonin receptor antagonists for highly emetogenic chemotherapy in adults.”. The Cochrane database of systematic reviews (1): CD006272. doi :10.1002/14651858.CD006272.pub2 . PMID 20091591 .
^ a b “カイトリル注1mg/カイトリル注3mg/カイトリル点滴静注バッグ3mg/50mL/カイトリル点滴静注バッグ3mg/100mL 添付文書 ” (2014年8月). 2016年4月5日 閲覧。
^ a b “カイトリル錠1mg/カイトリル錠2mg/カイトリル細粒0.4% 添付文書 ” (2014年8月). 2016年4月5日 閲覧。
^ a b Carlisle, JB; Stevenson, CA (Jul 19, 2006). “Drugs for preventing postoperative nausea and vomiting.”. The Cochrane database of systematic reviews (3): CD004125. doi :10.1002/14651858.CD004125.pub2 . PMID 16856030 .
^ “【周知】オンダンセトロンとグラニセトロン「術後悪心嘔吐」の保険適用について(更新)|公益社団法人 日本麻酔科学会 ”. anesth.or.jp . 2023年10月13日 閲覧。
^ Drugs.com A.P. Pharma Announces PDUFA Action Date for APF530 New Drug Application Resubmission . October 16, 2012.
Granisetron data (English)