グリーゼ86 A / B Gliese 86 A / B | ||
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仮符号・別名 | HD 13445 | |
星座 | エリダヌス座 | |
見かけの等級 (mv) | 6.12[1] | |
位置 元期:J2000.0 | ||
赤経 (RA, α) | 02h 10m 25.9190575041s[2] | |
赤緯 (Dec, δ) | −50° 49′ 25.467227759″[2] | |
視線速度 (Rv) | 55.23 km/s[2] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 2124.853 ± 0.075 ミリ秒/年[2] 赤緯: 638.092 ± 0.063[2] | |
年周視差 (π) | 92.7042 ± 0.0454ミリ秒[2] (誤差0%) | |
距離 | 35.18 ± 0.02 光年[注 1] (10.787 ± 0.005 パーセク[注 1]) | |
絶対等級 (MV) | 6.0[注 2] | |
グリーゼ86の位置(丸印)
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物理的性質 | ||
半径 | 0.77[3] + 0.01245[4] R☉ | |
質量 | 0.80 / 0.59 M☉[4] | |
表面重力 | 4.63[3] / 8.02[4] | |
自転速度 | 2.0 ± 1.0 km/s | |
スペクトル分類 | K0 V[1] + DQ6[4] | |
表面温度 | 5,182[3] / 8,180[4] K | |
色指数 (B-V) | 0.812[1] | |
色指数 (V-I) | 0.88[1] | |
金属量[Fe/H] | -0.22[3] | |
年齢 | 2.65 ×109[4] 又は 10 ± 1 ×109[5] 年 | |
軌道要素と性質 | ||
軌道長半径 (a) | 2.57 - 6.47 秒[4] | |
離心率 (e) | 0.00 - 0.61[4] | |
公転周期 (P) | 120 - 461 年[4] | |
軌道傾斜角 (i) | 114.7 - 122.6 度[4] | |
他のカタログでの名称 | ||
LHS 13, CD-51 532, GJ 86, HIP 10138, HR 637, SAO 232658 | ||
■Template (■ノート ■解説) ■Project |
グリーゼ86(Gliese 86)またはHD 13445は、エリダヌス座の方角に約35光年離れた位置にある連星系である[6]。グリーゼ86系は、K型主系列星と白色矮星からなる[7]。1998年、ヨーロッパ南天天文台は、グリーゼ86の周りに太陽系外惑星が存在する、と発表した[8]。
太陽 | グリーゼ86 A |
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元からグリーゼ86として知られていた恒星グリーゼ86 Aは、スペクトル型がK0 VのK型主系列星である[1]。質量、半径は、太陽の8割程度、光度は太陽の4割程度と推定される[5][8]。グリーゼ86には、木星型惑星が発見されているが、それはグリーゼ86 Aの周りを公転している[9][7]。
2001年、グリーゼ86 Aの東、およそ2秒離れた位置に、暗い天体グリーゼ86 Bが発見され、固有運動がグリーゼ86 Aと共通していることから、連星であることがわかった[6]。発見当初は、色から推定されるスペクトル型が褐色矮星のものであったので、褐色矮星だと予想されていたが、グリーゼ86 Aで観測される視線速度の変化から要求されるグリーゼ86 Bの質量は、褐色矮星の上限よりかなり大きいものであり、スペクトルにも褐色矮星で特徴的な成分がみられないことから、グリーゼ86 Bは白色矮星と結論付けられた[6][7]。惑星を持つ星系に、白色矮星の伴星が発見されたのは、これが初めてである[7]。
グリーゼ86 Aとグリーゼ86 Bは、発見から12年の位置関係の変化から軌道を予測すると、120年から460年の周期で公転していると考えられる[4]。
グリーゼ86系の年齢は、観測量に基づく推定では、複数の報告で数十億年と求められているが、一方で、グリーゼ86の空間速度は非常に古い種族であることを示し、それを踏まえて理論から求めた値は100億年となっている[4][5]。
1998年、ジュネーヴ天文台などのグループによる系外惑星捜索計画において、ラ・シヤ天文台の1.2m望遠鏡を用いた視線速度法での惑星探しが始まって間もなく、グリーゼ86において惑星によるとみられる視線速度変化が検出された[8]。翌年、この惑星の存在は確定し、木星の4倍以上の質量の巨大ガス惑星が、15.8日周期で公転していると推定された[9]。併せて、発見された惑星とは別の伴天体によるとみられる、長期的な視線速度の変化も検出され、これが伴星グリーゼ86 Bの発見につながった[9][6]。視線速度法の観測だけでは、惑星の質量の下限値しかわからないので、ヒッパルコス衛星による予備的な観測データを用いて軌道を制限し、質量が木星の15倍と求められたが、このデータ処理では多くの系外惑星が、褐色矮星か赤色矮星の質量と見積もられており、検証の結果、ヒッパルコスの初期データは多くの場合、惑星の質量を決められるだけの精度はなかったと評価された[10][11]。
名称 (恒星に近い順) |
質量 | 軌道長半径 (天文単位) |
公転周期 (日) |
軌道離心率 | 軌道傾斜角 | 半径 |
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b | > 4.42 ± 0.20 MJ | 0.11 ± 0.00 | 15.76491 ± 0.00039 | 0.04 ± 0.01 | — | — |