ケプラー1625b I はまだ存在が確定しているわけではないが、確認されれば、史上初めて発見された太陽系外衛星となる。ケプラー1625b I は2017年に初めて検出の兆候が報告され[2]、2017年10月からハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測が行われた。2018年10月初旬に『サイエンス・アドバンシス』誌で観測結果を報告する論文が発表された[3]。
また、2019年4月のハッブル宇宙望遠鏡を用いた研究では、衛星の存在を示す信号がアーティファクトである可能性が指摘された。この研究結果では、ケプラー1625b I は実在しない天体である可能性があることが指摘されている。また、検出されているケプラー1625b のトランジット時刻の変動は、ケプラー1625b I ではなくケプラー1625系の別の惑星の引力によって引き起こされている可能性がある。ケプラーによる観測ではそのような惑星は検出されていないが、ケプラーの観測技術では検出できなかった可能性もある[8]。
2020年8月、別に発見されていた6つの太陽系外衛星候補の分析が行われ、ケプラー1625bについても行われた。その結果、ケプラー1625b I が改めて衛星候補であることが判明した[9]。
主星であるケプラー1625bは、木星程度かそれ以上の質量を持つ太陽系外惑星であるが、ケプラー1625b I は、海王星程度の質量(地球質量の10倍[10])を持つとされる巨大な衛星であると推測されている[11]。ケプラー1625b I の公転周期は約22日である[3]。また、ケプラー1625b I はケプラー1625b から平均300万km 離れて公転しているとされる。ケプラー1625b は木星の10倍の質量で、衛星はその1.5%程の質量と推測されている[12]。ケプラー1625b I の半径は地球の4.9倍である[3]。また、衛星はガスが主成分とみられ、太陽系内の衛星とは異なった方法で形成されたと考えられている。
ケプラー1625b I は巨大な衛星であるため、孫衛星を持っている可能性もある[13]。主星であるケプラー1625b の平衡温度が253 K (−20 °C; −4 °F)であるため、孫衛星が存在している場合は居住可能であると推測されている[14][4][15][16]。
^Heller, Rene; Rodenbeck, Kai; Giovanni, Bruno (2019). “An alternative interpretation of the exomoon candidate signal in the combined Kepler and Hubble data of Kepler-1625”. Astronomy and Astrophysics624: 95. arXiv:1902.06018. Bibcode: 2019A&A...624A..95H. doi:10.1051/0004-6361/201834913.