コリン作動薬(コリンさどうやく、英: cholinergic agent)は、アセチルコリンを模倣してコリン作動性線維に作用する薬物である[1]。コリン作動薬には、ムスカリン作用とニコチン作用があるが、副交感神経作用薬としての働きは前者に相当する。代表的な薬物としては、受容体に直接作用するアセチルコリン、カルバコール、ムスカリンや、コリンエステラーゼを阻害するフィゾスチグミン、ネオスチグミンがある。逆にコリン作動性線維を抑制する薬物は、抗コリン薬という。
一般的に「コリン」とは、N,N,N-トリメチルエタノールアンモニウムカチオンを含むさまざまな第4級アンモニウム塩を指す。コリンはほとんどの動物組織に存在し、神経伝達物質であるアセチルコリンの主要な要素であり、イノシトールと共にレシチンの基本成分として機能している。また、肝臓への脂肪の沈着を防ぎ、細胞内への脂肪の移動を容易にする。
アセチルコリンを使って信号を送る副交感神経系は、ほとんどコリン作動性であると言われている。神経筋接合部、交感神経系の節前ニューロン、前脳基底部、脳幹複合体などもコリン作動性であり、エクリン汗腺の受容体もコリン作動性である。
サリンやVXガスなどの一部の化学兵器、催涙ガスなどの非殺傷性の暴動鎮圧剤、ダイアジノンなどの殺虫剤などがこれに該当する。
神経科学および関連分野では、コリン作動性という用語は、以下の文脈で使用される。
コリン作動薬の構造活性相関[2]
ムスカリン受容体は、自律神経系において抑制性シナプス後電位を担う他、エクリン汗腺の神経支配、神経筋接合部の体性神経シナプス前膜、local nervous systemのシナプス前後にも存在する。
ニコチン受容体は、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)と呼ばれる受容体イオンチャネルで、自律神経系においても節後ニューロンの興奮性シナプス後電位を担っている。
ニコチン受容体やムスカリン受容体を作動させる。
間接型副交感神経作動薬は、可逆的コリンエステラーゼ阻害薬、不可逆的コリンエステラーゼ阻害薬、アセチルコリン放出促進物質、抗アドレナリン薬のいずれかである。抗アドレナリン薬は拮抗するシステムである交感神経系を抑制する。