サイモン・ブレンドル(Simon Brendle、1981年6月 - )は、ドイツ出身のアメリカ合衆国の数学者である。微分幾何学と非線形偏微分方程式について研究している。
1981年にテュービンゲンで生まれた[1]。1995年から3年連続で、ドイツ数学コンテストで優勝した[1]。2001年、19歳のときに、テュービンゲン大学にてゲルハルト・フイスケン(英語版)の指導の下で博士号(Dr. rer. nat.)を取得した[1]。博士論文のタイトルは"Krümmungsflüsse auf Mannigfaltigkeiten mit Rand"(境界付き多様体上の曲率フロー)である。
大学卒業後はテュービンゲン大学でポスドクとして短期間研究した後、2002年にプリンストン高等研究所、2003年にプリンストン大学に移った[1]。2005年にスタンフォード大学の助教授に就任し、2008年に教授に昇進した[1]。2015年にコロンビア大学客員教授となった後、翌2016年に同大学の教授となった[1]。そのほか、マサチューセッツ工科大学、チューリッヒ工科大学、プリンストン大学、ケンブリッジ大学の客員研究員を務める。
ブレンドルは、共形幾何学(英語版)における山辺方程式に関する主な未解決問題を解決した。これには、山辺問題のコンパクト性予想に対する反例や、リチャード・S・ハミルトンが予想した全ての次元における山辺フロー(英語版)の収束の証明などが含まれる。2007年、リチャード・シェーンと共同で、大域的微分幾何学の基本問題である微分可能球面定理(英語版)を証明した。2012年、極小曲面理論における長年の問題であるローソン予想(英語版)を証明した。また、平均曲率フロー(英語版)とリッチフローにおける特異点形成の研究に取り組み、グリゴリー・ペレルマンの研究で生じたリッチフローの自己相似解の一意性に関する問題を解決した。
- "Blow-up phenomena for the Yamabe equation", Journal of the AMS 21, pp. 951–979, 2008 doi:10.1090/S0894-0347-07-00575-9
- "Convergence of the Yamabe flow in dimension 6 and higher", Inventiones Mathematicae 170, pp. 541–576, 2007 doi:10.1007/s00222-007-0074-x
- (joint with R. Schoen) "Manifolds with 1/4 pinched curvature are space forms", Journal of the AMS, 22, 2009, pp. 287 (Differentiable Sphere Theorem) doi:10.1090/S0894-0347-08-00613-9
- Ricci Flow and the Sphere Theorem, American Mathematical Society, Graduate Studies in Mathematics, vol. 111, 2010
- (joint with R. Schoen) "Curvature, sphere theorem and the Ricci flow", Bulletin of the AMS, 48, 2011, pp. 1–32, Online
- (joint with R. Schoen) Riemannian manifolds of positive curvature, Proceedings of the International Congress of Mathematicians (ICM 2010), Hyderabad, India, August 19–27, 2010. Vol. I, pp. 449–475, 2011
- (joint with F. C. Marques, A. Neves) "Deformations of the hemisphere that increase scalar curvature", Inventiones Mathematicae 185, 2011, pp. 175–197, Preprint (Min-Oo Conjecture)
- "Rotational symmetry of self-similar solutions to the Ricci flow" Inventiones Mathematicae 194, 2013, pp. 731–764 doi:10.1007/s00222-013-0457-0
- "Embedded minimal tori in and the Lawson conjecture", Acta Mathematica 211, 2013, pp. 177–190, Preprint (Lawson Conjecture)
- "Embedded self-similar shrinkers of genus 0", Annals of Mathematics 183, 715-728 (2016) Preprint