サークレット(circlet)とは、冠のうち、アーチやキャップなどの内部被覆が無いものいう。 ギリシア語名のステパノ(stephanos)、ラテン語名コロナ・オペルタ(corona operta)、または単にオープン・クラウン(open crown)としても知られる。
古代の冠の多くは、流行のサークレットであった。とりわけ最初の英国君主の戴冠式用の冠である聖エドワード王冠もサークレットだったが、これはイングランド共和国期にオリバー・クロムウェルによって破壊された。 おとぎ話の中では、冠はしばしばサークレットの形に描かれ続けている。
20世紀には、メアリー・オブ・テックが使用したメアリー妃冠と、エリザベス・ボーズ=ライアンが使用したエリザベス妃冠の2つのコンソート・クラウン(配偶者冠)が、ハーフアーチをクロス・パティーから着脱出来るよう考慮されたため、フープ・クラウンとしてもサークレットとしても身に着けることが出来た。
かつて王妃は、夫の死後コンソート・クラウンとしてサークレットだけ着用する場合があった。 アレクサンドラ・オブ・デンマーク(アレクサンドラ王妃、エドワード7世の未亡人)、メアリー・オブ・テック(メアリー王妃、ジョージ5世の未亡人)、エリザベス・ボーズ=ライアン(エリザベス王妃、エリザベス2世母、ジョージ6世の未亡人)も皆この慣習に倣った。