シュリ

シュリ
쉬리
監督 カン・ジェギュ
脚本 カン・ジェギュ
製作 イ・グァナク
ピョン・ムリム
出演者 ハン・ソッキュ
キム・ユンジン
チェ・ミンシク
ソン・ガンホ
パク・ヨンウ
キム・スロ朝鮮語版
音楽 イ・ドンジュン
撮影 キム・ソンボク
編集 パク・コクチ朝鮮語版
配給 大韓民国の旗 サムスンピクチャーズ
日本の旗 シネカノン/アミューズ
公開 大韓民国の旗 1999年2月13日
日本の旗 2000年1月22日
上映時間 124分
製作国 大韓民国の旗 韓国
言語 朝鮮語
興行収入 日本の旗 18億5000万円[1]
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シュリ
各種表記
ハングル 쉬리
漢字 -
発音 シュィリ
英題 Shiri
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シュリ』(: 쉬리)は、1999年韓国スパイアクション映画。 監督はカン・ジェギュ、出演はハン・ソッキュキム・ユンジンチェ・ミンシクソン・ガンホなど。

韓国に潜入した北朝鮮工作員と、韓国諜報部員との悲恋を描く。男と女の悲恋を美しく描く演出と、北朝鮮工作員と韓国諜報部員との壮絶なアクションシーンが高く評価された[要出典]

韓国では1999年2月13日に公開され、韓国国内で観客動員数621万人(うちソウルで244万人)という当時の記録を樹立、一種の社会現象を巻き起こした[2]。日本では、1999年秋の東京国際映画祭にて主演のハン・ソッキュの舞台挨拶つきで渋谷公会堂で上映されたのち、2000年1月22日に公開され18億円の興行収入をあげ、後の韓流ブームの原点にもなった[3]

題名について

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題名の「シュリ(쉬리[注 1])」とは、朝鮮半島のみに住むといわれる固有種の魚のことである。日本語では「ヤガタムギツク」。この魚は、南北朝鮮の国境地帯の河川にも生息し、自由に南北を行き来している。この映画では、北朝鮮から韓国に潜入した武装集団による、南北統一のためのテロ作戦およびスパイのコードネームに使われている[4][5]

なお、本編にたびたび登場し、象徴的な役割を果たす熱帯魚のキッシンググラミーは、東南アジア原産の魚であり、この魚とはまったく関係がない。

ストーリー

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韓国秘密情報機関OPの特殊要員ユ・ジュンウォン(ハン・ソッキュ)と相棒のイ・ジャンギル(ソン・ガンホ)は、最近相次ぐ要人暗殺事件の捜査中である。彼らに情報を提供する予定であった武器密売商が射殺されたことによって、ジュンウォンはこの事件に北朝鮮の特殊第8軍団が関係している事を知る。そして、ジュンウォンとジャンギルは暗殺犯の行跡を追跡する中で、特殊第8軍団が国防科学技術研究所の開発した新素材である液体爆薬CTXを奪取しようと画策していることが分かった。彼らはCTXの移送現場に急行するが、現場に着いたときには、既に車列が襲われCTXが強奪された後であった。おまけに、武器密売商と関係が有ったと思われる国防科学研究所の主任も殺される。ジュンウォンはその奪取犯がかつて航空機テロ鎮圧作戦の際にすれ違いながら取り逃がした、パク・ムヨン(チェ・ミンシク)が率いる特殊第8軍団の工作員チームであることに気が付く。

恐ろしい破壊力を持つCTXの脅威にOPは非常事態へと突入するが、特殊第8軍団の目標が一体なんであるかは分かってはいない。ムヨンの行跡を追っていたジュンウォンとジャンギルは何回も目の前で敵を逃してしまい、OP内部から情報が漏れていることに気が付く。

一体誰が裏切り者であるか。どこから情報が漏れているのか。それは意外なところからであった。

キャスト

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役名 俳優 日本語吹替
ソフト版 テレビ朝日
ユ・ジュンウォン ハン・ソッキュ 池田秀一 小山力也
イ・ミョンヒョン キム・ユンジン 本田貴子 深見梨加
パク・ムヨン チェ・ミンシク 磯部勉 菅生隆之
イ・ジャンギル ソン・ガンホ 山路和弘
オ・ソンシク パク・ヨンウ 土田大 落合弘治
イ・バンヒ パク・ウンスク セリフなし
コ・ジャンソク(OP局長) ユン・ジュサン 有本欽隆
イム・ボンジュ(武器密売組織のボス) ソン・ホギュン 立木文彦
イ・グァノ(ユ・ジュンウォンの友人) ナム・ミョンニョル 中村秀利
ミン・スンウォン博士(OP科学者) ハ・ドクソン 鈴木清信
リ・ウォンドゥ(特殊8軍団 工作員) チョ・ドッキョン 安井邦彦
ペ・ウォンソク(特殊8軍団 工作員) パク・チョンムン 檀臣幸
パク・ヨンサン(特殊8軍団 工作員) チョン・ジノ 堀之紀
アン・ヒョンチョル(特殊8軍団 工作員) キム・スロ朝鮮語版 青山穣
ス(特殊8軍団 工作員) キム・サンミ 彩木香里
チャン・チョルミン(特殊8軍団 軍団長) パク・キサン 小室正幸
キム・ジュング(韓国大統領) チョン・ジンス
リ・ミョンファン(北朝鮮主席) ソン・ヨンテ 西村知道
キム・ドンソク(国防科学研究所 首席研究員) キム・ジョンミン 樫井笙人
国防科学研究所チーム長 パク・チイル 西村知道
パク・ミンソン(サッカー競技場 中央変電室職員) チェ・ウジョン
パク室長 チェ・ソンウ すずき紀子
ユ室長 ホ・ギホ 堀之紀
イ室長 チョン・ギルムク
OP特別調査班 チャン・ヒョンソン 青山穣
OP特別調査班 ファン・ジョンミン 堀之紀
OP特別調査班 イ・チャニョン
OP特別調査班 チェ・セフン
その他 河相智哉
山川亜弥
金尾哲夫
仲野裕
佐々木敏
後藤敦
加藤亮夫
田中正彦
中田和宏
井上文彦
入江崇史
津田英三
秋元羊介
滝沢久美子
伊藤和晃
後藤哲夫
本田貴子
幸田夏穂
清水敏孝
花田光
演出 戸田清二郎 福永莞爾
翻訳 根本理恵 徐賀世子
荒島浩
調整 山田利陽 山田太平
効果 リレーション
台本 松田海
録音 東京テレビセンター
プロデューサー 中嶋唯雄 清水祐美
圓井一夫
編集協力 IMAGICA
永吉敬文
制作協力 ViViA
清宮正希
制作 ACクリエイト ムービーテレビジョン
初回放送 2001年2月18日
日曜洋画劇場

製作

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本格的なCG合成(日本のイマジカが担当)や、ハリウッドから取り寄せたステージガンを使うなど、当時としては韓国映画史上過去最高額の製作費がかけられた。

リアルな銃撃戦を描くために、主要な出演者は撮影前に、実弾射撃やサバイバル・ゲームクレー射撃など徹底したトレーニングを行っている[6]。演技指導には元北朝鮮工作員で、拉致被害者横田めぐみの目撃証言でも知られる安明進も携わった[7]。安が北朝鮮当局によって召喚されたのち入校した工作員養成学校、金正日政治軍事大学では、入校時にそれまでの写真が全て処分されることになっているが、『シュリ』では安自身が経験したそのことも描かれている[7]

監督のカン・シュギュは「既存の韓国映画の銃撃戦の限界を我々はよく知っていた。それをどう克服するのか」とし、「『シュリ』で視覚的に楽しめるような銃撃戦を作り観客に満足してもらえるのかが課題だった」と語っている。劇中で使われたステージガンは、アメリカのGIBBONS社から取り寄せたものである[6]が、一部は東京マルイなど日本のモデルガンメーカーのものも使用されている。貸与料の2万ドルは製作費のウェイトを大きく占めたが、質感を高めるために実行に踏み切ったとプロデューサーのピョン・ムリムは語っている。

撮影

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物語前半でのソウル市内での銃撃戦の屋外ロケでは、ステージガンの発砲音に驚いた市民が通報する事態になった[6]。主演のハン・ソッキュも「考えたこともない銃声だった」と振り返り、また通報が新聞記事(見出しは「都心の銃声、本物ではありません」)で取り上げられたことに関しては「良い宣伝になった」と語っている[6]

劇中、CTXで爆破されるビルはミニチュアで撮影され、衝撃で砕けるガラスは液晶画面などで使用されるセラミックガラスが使われている。

受賞とノミネート

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賞名 部門 選考対象 結果
1999
アジア太平洋映画祭
最高賞 ピョン・ムリム ノミネート[8]
編集賞 パク・コクチ 受賞[8]
特別賞 カン・ジェギュ 受賞[8]
韓国映画評論家協会賞
新人女優賞 キム・ユンジン 受賞[8]
技術賞 パク・コクチ 受賞[8]
企画賞 カン・ジェギュ 受賞[8]
Cine21
年間最優秀男優賞 チェ・ミンシク 受賞[8]
青龍映画賞
作品賞 カン・ジェギュ ノミネート[8]
ディレクターズカットアワード
監督賞 カン・ジェギュ 受賞[8]
百想芸術大賞
映画部門最優秀男優演技賞 ハン・ソッキュ ノミネート[8]
大鐘賞
作品賞 シュリ ノミネート[8]
監督賞 カン・ジェギュ ノミネート[8]
男優主演賞 チェ・ミンシク 受賞[8]
男優助演賞 ソン・ガンホ ノミネート[8]
新人女優賞 キム・ユンジン 受賞[8]
脚本賞 カン・ジェギュ ノミネート[8]
撮影賞 キム・ソンボク ノミネート[8]
編集賞 パク・コクチ 受賞[8]
美術賞 オ・サンマン ノミネート[8]
音響技術賞 イ・ビョンハ&キム・ソグォン 受賞[8]
企画賞 カン・ジェギュ&ピョン・ムリム 受賞[8]
2001
第24回日本アカデミー賞
最優秀外国作品賞 シュリ ノミネート[8]

DVD

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DVDのメニューにGUN INDEXという項目がある。劇中で使われた銃器類の説明を見ることができる上、実際に登場する場面へすぐジャンプできる。 発売元 カルチュア・パブリッシャーズ、販売元 アミューズビデオ、アミューズソフト。

続編の打ち切り

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  • 2006年3月29日、韓国MKピクチャーズと日本GDHは日本での『シュリ』テレビドラマ化へ向けた開発契約を結んだと発表した[9]。総制作費は日本円で約6億円、全20回の作品になると発表されたが、結局制作されなかった。
  • 『シュリ2』製作に向けて、日本でも投資者の募集が行われたが、実現しなかった。「前作のキャストが全員、再出演する」とプレゼンテーションが行われたという[要出典]

パロディ

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2002年に韓国で公開された『재밌는 영화』は『シュリ』のパロディ映画である。この作品では、韓国に上陸した日本人極右テロリストたちが、訪韓中の天皇の暗殺を試みる、という日本人的常識からすれば過激な内容だった。テロリストのリーダーを『シュリ』で北の工作員を演じたキム・スロ朝鮮語版が演じている。[要出典]

その他

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  • 韓国のマスコミでは「日本東映シネカノンと共同で、配給権を100億ウォンで購入した」と報道されたことがあった[要出典]
  • 韓国映画の歴史を塗り替え、後の韓流ブームに繋がる作品でありながら、権利関係が複雑であったことから、長年に渡って再上映や動画配信サービスでの公開が出来ない状態が続いており、「幻の傑作」と称されていた。しかし、2024年に監督のカン・ジェギュの努力により、権利問題が解消されたことから、同年9月に4Kデジタルリマスター版として再上映されるほか、Amazon Prime Videoでも見放題配信されることが発表された[3][10]

脚注

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注釈

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  1. ^ 「쉬리(swiri)」を「シュリ」とカナに転写したものが定着しているが、「슈리(syuri)」ではない。「シュイリ」でもなく、実際の発音をカナで正確に書き表すのは困難である。

出典

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参考文献 

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  • 『横田めぐみは生きている―北朝鮮元工作員安明進が暴いた「日本人拉致」の陰謀』講談社〈講談社MOOK〉、2003年3月。ISBN 978-4061793958 

関連項目

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  • 「シュリ」は南北の国境の流れる川に生息する淡水魚の一種。ヤガタムギツク参照。このことが影響してか中国語のタイトルは『』である。

外部リンク

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