ジェネレーションXは、マーベル・コミックのスーパーヒーローチームで、1990年代のX-メンの若年チームである。作者のスコット・ロブデルと画家のクリス・バチャロによって創られ、初出は1994年11月の「ジェネレーションX」#1。
ジェネレーションXは、ティーンエイジャーのミュータント達から構成されたチームで、シリーズと同じ名のデモグラフィックのシニシズムと複雑さを反映している。前身となるチーム「ニューミュータンツ」と違い、このチームはプロフェッサーX(チャールズ・エグゼビア)によってニューヨーク北部にある「恵まれし子らの学園」で指導されている訳ではなく、X-メンのひとり、バンシー(ショーン・キャシディ)とかつてのヴィラン、ホワイト・クイーンことエマ・フロストによって、マサチューセッツ州西部にある分校で指導を受けていた。
ジェネレーションXは最初の数年は最もユニークで歓迎されたX-メン関連タイトルだったが、オリジナルクリエイターが1997年に去っていってからは迷走し、2001年には打ち切られた。
「ティーンエイジのミュータントで構成されたスーパーヒーローチーム」という存在は、1994年の段階でもまったく目新しいものではなかった。そもそもオリジナルのX-メンが1960年代のティーンエイジャーによるチームであったし、1983年から1991年にかけてはまた別のティーンエイジャーのチーム、ニューミュータンツが存在していた。
作者はX-メン関連の他タイトルや他のコミックにありがちな、ウルヴァリン的なキャラ(反抗的な一匹狼)、サイクロップス的なキャラ(ストイックなリーダー)、コロッサス的なキャラ(心優しい力持ち)、その他、というメンバー構成を意図的に避けている。特にニューミュータンツにしばしば向けられる「キャラクターがステレオタイプである」という批判を、故意に民族的なステレオタイプを正反対にしたキャラクター(例えばアジア系の少女はクラスの問題児、ラテン系のギャングメンバーがナイスガイなど)を作り出す事で避けている。
歳若いジェネレーションXを教育するための教師たち。後に教師としてアデリーン・フロストが加わった。また、ミュータント能力の訓練のため、さまざまなX-メンのメンバーが講師として訪れる。
ジェネレーションXのほとんどのメンバーは1994年夏に、全てのX-メンタイトルで実施されたクロスオーバー、「ファランクス・カビナント」サーガでデビューした。
ファランクスは多くのミュータントを自らのマトリックスに吸収しようとして、幾人もの若いミュータントを捕獲した。ほぼ全てのXチームと彼ら自身の活躍、そして若きテレポーターブリンクの自己犠牲によって彼らは解放され、ファランクスの脅威は撃退された。
同年9月に「Generation X」#1が刊行され、エマ・フロストが校長を勤めるマサチューセッツ学園でチームが結成された。また同時に彼等の最大の敵であるエンプレートも初登場した。
シリーズが続くにつれて、バチャロの癖のある複雑なアートワークとロブデルのリアルなティーンエイジのキャラクターに対して、読者の好みが別れるようになったものの、シリーズはすぐに最も人気のあるXタイトルの1つとなった。
1997年にロブデルとバチャロがシリーズを離れ、ラリー・ハマとテリー・ドッドソンが後を継いだ。彼らは、M/ペナンス/エンプレートについての背景と謎を明らかにした。
Mとは一人の人間ではなく、実はモネ・サンクロワの双子の妹達(クローデットとニコル。一人は自閉症で、それがトランス状態の理由らしい)が融合した姿であり、エンプレートは彼女等の兄であったこと。またエンプレートは黒魔術の実験によって地獄の辺土(strange limbo)に捕われており、そこから脱出する為にミュータントの骨髄を必要としていたこと、ペナンスこそがモネ・サンクロワ本人でありエンプレートの呪文によって姿を変えられていた事が明らかになった。
これらは超現実的で神秘的な叙事詩となった「Generation X」35-40号 (1997-1998)で明かされており、この展開はほとんどのファンの反感を買うこととなった(ロブデルの元々の計画によれば、双子は巻き込むが、本物のモネのくだりはそこに含まれていなかった)。
この展開は、双子が分離し、本物のモネ・サンクロワ(元ペナンス)がMの役割を引き継いで終わったが、ファンのリアクションは良くならず、タイトルの売り上げは急降下を始めた。
ハマの後任になったジェイ・ファーバーはシリーズの行方を修正しようとし、「Generation X」50号(1999年)で、学園に非ミュータントの学生を入学させ、もう一人の教師としてエマ・フロストの妹であるエイドリアン・フロストを迎えた。だがこれは(白人と有色人種の対立と同様な)ミュータント/非ミュータントの深刻な対立関係をストーリーに持ち込むこととなり、ストーリーに暗鬱な底流をもたらすこととなった。
2000年になると、暗く皮肉を含んだ作風で知られる作者ウォーレン・エリスが幾つかのXタイトル(ジェネレーションX、Xフォース、X-マン)を新しいイメージで売り出そうという<カウンターX>戦略の一部として、ジェネレーションXを改造する為に雇われた。エリスはブライアン・ウッドが実際の脚本を書く上での雑用をこなす一方で(後に唯一のライターとなった。)プロットマスターとして活動した。この<カウンターX>によるテコ入れに対するファンの反応は良好であった。 これは主として、エリスとウッドがティーンエイジャーである登場人物たちをありきたりな方法に頼らずに取り扱った事に起因している。
しかし2001年初頭、マーベル・コミックのチーフエディタージョー・ケサーダは、ジェネレーションXを他のXタイトルと共に打ち切り、多くのミュータントたちを余剰人員とした。また、X-メンのライターだったグラント・モリソンは、X-メン本隊に新しい血としてティーンエイジのミュータントを加えたいと考えた。そのため「ジェネレーションX」75号で悲劇的な展開とともにチームは解散し、マサチューセッツ学園は閉鎖された。
「ジェネレーションX」タイトルの終了後、チェンバーとハスクは短期間だがX-メンのチームに所属し、M、ジュビリー、スキンもアンキャニィ・X-メンに登場した。しかし2003年、スキンはミュータントに憎しみを持つグループによって殺害された(恥ずべき事にチャック・オースティンは彼の墓石に間違った名前を記した)。
チェンバーはブライアン・K・ヴォーンがライターをつとめた4号からなるミニシリーズを持った。
その後、ウルヴァリンによる「指導」の一環として彼は、ウェポンX計画に潜入してその実態を掴むというミッションに参加した。この頃、チェンバーは自分の顔と身体のほとんどをウェポンX計画によって修復され、それはチェンバーが彼等に加わる要因となった。ローガンと'Neverland'について連絡を取ろうとしていた時、彼はウェポンXの残党と共に姿を消した。
その後、チェンバーは「ランナウェイズ」シリーズのエクセルシア支援グループの参加者として再登場した。彼の口と胸は(おそらくはバーでの戦闘によって)再び破壊されていた。しかしチェンバーには飲食する為の口が存在しないにもかかわらず「only there for the free pizza」と主張していた。これにより、彼は本物ではなく、チェンバーの振りをしている誰かである事が(他のエクセルシアにではなく読者に対して)明かされている。
『ジェネレーションM』と題されたミニシリーズが2005年11月に始まった。これは、スカーレット・ウィッチが自身のミュータントパワー(ヘックスパワー)を使って多くのミュータントからその能力を奪った「ハウス・オブ・M」事件の余波に焦点が当てられている。最初の号ではチェンバーがその能力を失い、顔と胸部のほとんどを失い、生命維持装置につながれている事が明かされた。また次の号ではジュビリーが能力を失った事が明かされた。
チェンバーは「ニューエクスカリバー」9号(2006年9月)にロンドン病院の患者として現れ、ハートレイと呼ばれる医者に対して、Mデイで彼の力が使い果たされる前に、スーパーノヴァに突入したことでふたたび顔と胸が破壊された経緯を詳しく話した。そこにピート・ウィズダムが割って入り、チェンバーに対してエクスカリバーからの援助を申し出た。しかしピートがタバコを吸う為に二人から離れると、ハートレイはチェンバーを誘拐した。
その後チェンバーは、自分が完全に回復したものの、治療の副作用として自分の外見がアポカリプスのよう(灰色の肌と赤い眼、口角が高く上がった青い唇)になっている事に気付いた。チェンバーはリミテッドシリーズ「X-Men:Apocalypse vs.Dracula」に登場したアポカリプスの崇拝者クラン・アッカバ(Clan Akkaba)の虜囚になっていたのだ。ハートレイ(本名はフレデリック・スレイド)とチェンバーの曾祖父ジョン・スタースモアは元々のクラン・アッカバのたった二人だけの生き残りだったのである。
ハートレイ/スレイドはチェンバーに対し、自分たちがアポカリプスの末裔であり、アポカリプスの血液がチェンバーを治したこと、しかし彼には何の力も残っていないと話した。チェンバーはそんなことには係わりたくないといい、自分を解放するように要求した。
開放されたチェンバーはエクスカリバーのチームに出会い、彼等の援助は不要であること、またX-メンとは係わりたくないということをはっきりと告げた。
その後、エクスカリバー・チームがクラン・アッカバの遺棄された本部を調査した結果、チェンバーは騙されており、彼にはまだ能力が残っている事が判明した。(このストーリーの結末は未解決である。)
Mは、X-ファクター調査会社の従業員として働いている。
ジュビリーはロバート・カークマンがライターをつとめる彼女自身のシリーズを(短期間ながら)持った。このシリーズは継続を意図されていたが、マーベル・コミックはこれを遡ってミニシリーズと位置づけ直し、6号で打ち切った。
ジュビリーは未だに能力を失ったままだが、「ウルヴァリン:オリジン」に登場した。彼女がこのタイトルで今後活躍するのかは不明だが、マーベルのチーフエディター・ジョー・ケサーダは彼女の未来は明るいとしている。
コミック情報誌「ウィザード」誌181号のプレビューによれば、ペナンスは別のティーン・ヒーローチーム「ランナウェイズ」のスピンオフ・タイトル「ロナーズ」の一員に加わるようである。ペナンスは「ロナーズ」2号の最終ページに登場し、3号でチームに加わり、ホロウと改名させられた。
1996年2月、フォックス・ネットワークはマーベル・エンターテイメントが製作したテレビ映画「ジェネレーションX」を放映した。
この映画では、バンシーとエマ・フロストが「恵まれし子らの学園」の校長として、M、スキン、モンド、ジュビリーに加え、バフとレフラックスという二人の新キャラクターを生徒として登場させた。
チェンバーとハスクは彼等の能力を表現するような特殊効果が(予算の都合上)使えないため、登場させられなかった。
敵役は、サイキックパワーを増幅させる機械を使うマッドサイエンティストであった。
この低予算の映画は失敗に終わり、このシリーズを「Xファイル」と同じ夜に放送する計画(フォックスはXナイトと呼ぶつもりだった。)は破棄された。