ジュークボックス・ミュージカル(英: jukebox musical)は、ミュージカル用に書き下ろされた新曲ではなく、既存の楽曲を使ったミュージカル、またはミュージカル映画のことをいう。一般に、楽曲は、特定のミュージシャンかグループに関連した(その人が作ったか、その人のために作られたか、アーティスト当人か、その人がカバーしたか)ものが使われる。楽曲は劇的な筋にはめこまれ、その筋は多くはフィーチャーされるアーティストの伝記であることが多い。
以前はジュークボックス・ミュージカルは成功まで長い時間がかかっていたが(たとえばバディ・ホリーの生涯を描いた『Buddy - The Buddy Holly Story』はウェストエンド(West End theatre)で1989年から2003年まで13年間上演した)、ABBAの音楽をベースにした『マンマ・ミーア!』の成功でジュークボックス・ミュージカルは大きな支持を得るにいたった。
ジュークボックス・ミュージカルの評価やヒットにはむらがある。『Lennon』のように短いシーズンで終了したものもあれば、『ムーヴィン・アウト』のように批評的にも興行的にも成功し、ロングランとツアーを行ったものもある。
新しい詞をつけるか、元の詞でいくかは別として、既存の曲を使うというアイディアは古くは1728年の『ベガーズ・オペラ(乞食オペラ)』までさかのぼることができ、そのために『ベガーズ・オペラ』は「最初のミュージカル」と呼ばれることがある。もっとも、「ジュークボックス・ミュージカル」の定義には、微妙なものがあることは否めない。作品の主要部分において、新曲ではなく、既存の曲を使った、という意味では、例えば『雨に唄えば』や『巴里のアメリカ人』なども、広い意味では、「ジュークボックス・ミュージカル」に含まれることになる。