ジーヴァカ(耆婆、ぎば、名称については後述)は、古代インドのマガダ国・ラージャグリハの医者である。
阿闍世(あじゃせ、アジャータシャトル)が、父王・頻婆娑羅(ビンビサーラ)を殺害した後に悔恨の念を懐き悪瘡を生じたことから、釈迦仏に会いに行くよう勧めて仏教に帰依させた人として知られる。『沙門果経』などにその様子が描かれている。
タイ古式マッサージの創始者ともされている
彼の出身には異説がある。
彼は得叉尸羅(タキシラ)の賓迦羅(ピンガラ)に就いて医法を7年間学び、本国マガダに帰り諸人に施薬して、南方の大国の残虐なる王の病を治癒せしめて仏に帰依せしめたと記されている。
また釈迦仏の風疾、アヌルッダの失明、アーナンダの瘡などを治療し、名医・医王と尊称され崇敬されるようになった。彼は仏教に深く帰依したと伝えられる。阿闍世が父王を殺し王位に就くと、彼は大臣として阿闍世に仕えた。しかし阿闍世が母のヴァイデーヒー(韋提希)を幽閉し、また父王と同じく殺さんとすると、月光大臣とともに諌めた(『観無量寿経』)。その後阿闍世は、これらの行為から気を病んで身体に悪い疱瘡ができたので、彼が治癒にあたった。他の大臣から六師外道などを勧められるが、その症状が改善されることを得ず、ジーヴァカは、これは釈迦仏でないと治癒できないとして、すみやかに釈迦のもとへ赴くよう進言した。大乗の涅槃経では、その模様が物語として詳しく説かれている。
中国や日本では、彼と戦国時代の名医扁鵲とをあわせ、〈耆婆扁鵲〉と並べて呼称することがある。