S-CROSS(エスクロス)は、スズキが海外市場で展開するクロスオーバーSUVである。初代は日本市場において「SX4 S-CROSS」の車名で販売されていた。
スズキ・SX4 S-CROSS(2代目) YA22S/YB22S型 | |
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2型 フロント 日本国外仕様 | |
2型 リヤ 日本国外仕様 | |
パリモーターショー | |
概要 | |
製造国 |
ハンガリー 中国 インド |
販売期間 |
2013年 - (海外) 2015年2月19日 - 2020年12月25日(日本) |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 5ドアクロスオーバーSUV |
駆動方式 |
前輪駆動 四輪駆動(ALLGRIP) |
パワートレイン | |
エンジン |
M16A型: 1,586cc 直列4気筒DOHC |
最高出力 | 86kW (117PS)/6,000rpm |
最大トルク |
151Nm (15.4kgm)/ 4,400rpm |
変速機 |
CVT(7速マニュアルモード付)(2015年2月-2017年6月) 6速AT(2017年6月-2020年12月) 6速MT/5速MT[注釈 1] |
サスペンション | |
前 | マクファーソンストラット式 |
後 | トーションビーム式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,600mm |
全長 | 4,300mm |
全幅 |
1,765mm (2015年2月-2017年6月) 1,785mm (2017年6月-2020年12月) |
全高 |
1,575mm (2015年2月-2017年6月) 1,595mm (2017年6月-2020年12月) |
車両重量 |
1,140-1,210kg (2015年2月-2017年6月) 1,150-1,220kg (2017年6月-2020年12月) |
その他 | |
ブレーキ |
前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク |
海外市場での名称 |
スズキ・S-クロス スズキ・SX4クロスオーバー スズキ・SX4 |
系譜 | |
後継 |
日本: 既存の4代目エスクードに統合 |
2013年(平成25年)3月のジュネーブモーターショーで発表された[1]。2012年9月に開催されたパリモーターショーで発表されたコンセプトカー「S-Cross」[2]のエッセンスを色濃く受け継ぎながらも、より市販向けのデザインとされた。
SX4と比較して、車体寸法(全長 x 全幅 x 全高)とホイールベースを拡大(それぞれ165×10×10 mm、100 mm)してフルBセグメント(BCセグメント)からCセグメントへとクラスアップされ、カーゴスペースの容量も430Lに拡大。
なお、先代で設定されていた4ドアセダンはシアズを後継として当代では廃止された。
エンジンは改良された自社製の1.6Lガソリン仕様のM16A型とフィアットから供給を受ける1.6Lディーゼルターボエンジン仕様の[3]「D16AA型」の2種(共に直4)で、前者には5MTとCVTが、後者には6MTが用意される[4]。ただし、日本仕様車にはマニュアルトランスミッションもディーゼルターボエンジンも設定されなかった。
4WDシステムは「i-AWD」からさらに進化した新開発の「ALLGRIP(オールグリップ)」を採用。アクセルセンサー・操舵角センサー・車速センサーなどの情報を基に、車両の挙動変化後の対応だけでなく、挙動変化を予測して車両が不安定になる前に対処するフィードフォワード制御を備えた電子制御4WDシステムをベースに、通常は燃費を重視した2WD走行で、タイヤのスリップを検知した時に自動的に4WD走行に切り替わり、走行が安定すると再び2WD走行に戻る「AUTO」、直進加速時に4WDで走行し、アクセルオフで減速中にステアリングを切り始めると2WD走行に切り替えて旋回性を高める「SPORT」、雪道やアイスバーンの走行時に、低速クルーズ走行での直進時では2WDで走行し、この状態でコーナーに進入するとトラクションコントロールを作動することで不必要なタイヤの空転を抑え、ステアリング操舵に応じて後輪にトルク配分することで操舵安定性を高める「SNOW」、ぬかるみや雪でスタックした際に空転輪にブレーキをかけ、残りの接地しているタイヤにトルクを配分し、駆動力を直結に近い状態で固定して前後輪に駆動力を最大限に伝えることで緊急脱出する「LOCK」を切替できる4モード走行切替機能、操舵角センサーやヨーレイトセンサーなどで総合的に走行状態を監視し、4WDシステムと電動パワーステアリングを協調制御することで横滑り傾向を抑える車両運動協調制御システムで構成されている。併せて、車両運動協調制御システムが作動してもスリップや横滑りが発生する場合には安全装備の一つとして標準装備されているESPが作動する。
ホイールはPCDが114.3、穴数が5H、ハブ径が60mmである点は先代と共通であるが、固定方法はナット留めではなく欧州車流儀のボルト留めに変更されている。
生産はマジャールスズキで行われ、2013年秋からイギリスやイタリア、フランスをはじめとした欧州各国に輸出され、2014年(平成26年)5月からは子会社の金鈴汽車を通じて台湾市場でも販売を開始しており、2015年(平成27年)2月には日本市場でも発売を開始した。このほか、中南米や大洋州、アフリカにも輸出されている。中国市場については長安鈴木汽車を通じ、2013年12月から生産・発売している。また、インドではマルチ・スズキ・インディアを通じて2015年8月より生産・発売を開始した。
なお、名称はハンガリー・欧州各国・日本などでは「SX4 S-CROSS」の名称となるが、台湾では「SX4 CROSSOVER」(前期型)→「SX4」(後期型) 、中国・オーストラリア・インドでは「S-CROSS」(中国語表記:骁途)と地域ごとに名称が異なる。
スズキ・SX4 S-CROSS(3代目) | |
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フロント | |
リア | |
概要 | |
製造国 | ハンガリー |
販売期間 | 2021年- |
ボディ | |
乗車定員 | 5名 |
ボディタイプ | 5ドアクロスオーバーSUV |
駆動方式 | 四輪駆動(ALLGRIP) |
パワートレイン | |
エンジン | 1.4L 直噴ターボ |
最高出力 |
エンジン:95kW/5,500rpm モーター:10kW |
最大トルク |
エンジン:235Nm/ 2,000-3,000rpm モーター:50Nm |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,600mm |
全長 | 4,300mm |
全幅 | 1,785mm |
全高 | 1,585mm |
2021年11月25日にフルモデルチェンジモデルを世界初公開。車名は先代で中国・オーストラリア・インド向けに用いられていた「S-CROSS」へ改名された[17]。
フロントフェイスはグリルを大型化するとともに、3灯式LEDポジションランプが備わり、ボンネットと共に高く配置。タイヤハウスにはスクエア形状のモールディングが施され、ボディサイドにはショルダーラインが引かれた。リアもランプやバンパーの位置が高めに配置された。内装は立体的な造形となり、中央には9インチHDのディスプレイオーディオを採用。スマートフォンとの連携や車両情報・カメラ情報といった運転支援機能が備わる。
「ALLGRIP」は2代目のSX4 S-CROSSから引き続き搭載されるほか、欧州仕様では48V SHVSマイルドハイブリッドが採用され、燃費性能の向上のみならず、アクセル操作に応じてエンジンからのトルクだけでなくモーターからのトルクも上乗せされる加速補助も可能となった。機能面については、衝突被害軽減ブレーキに加え、標識認識機能、車線逸脱抑制機能が追加され、アダプティブクルーズコントロールは全車速追従機能付に強化。さらに、全方位モニターや後退時車両検知警報などの駐車支援機能も備わるようになった。
生産は2代目同様にマジャールスズキが担当し、同年末から欧州での発売を皮切りに、中南米・大洋州・アジアへも輸出。さらには、2022年後半には4代目スイフトなどにも採用されている駆動用モーターとオートギヤシフト(AGS)を組み合わせたストロングハイブリッドモデルを導入することも明らかにしている。
2022年10月24日、フルハイブリッド仕様を新たに設定した[18]。