スナヅル属(Cassytha)は、クスノキ科の属の一つである。17種を含む。寄生性のつる植物である。
3-5m程に達する寄生性のつる植物であるが、葉緑素を持ち光合成を行う(半寄生)。葉は鱗片葉で目立たない。根は他の植物に寄生するため吸着根になっている。花は穂状花序。果実は核果。
分布の中心はオーストラリアであるが、少数の種がアフリカや南アジアに分布し、スナヅル(C. filiformis)が東アジア、南・中央アメリカ、フロリダ、ハワイと広範囲に分布する。
本属は、ヒルガオ科のネナシカズラ属(Cuscuta)に外見が良く似ており、収斂進化の良い見本となっている。
また、Cassytha Mill. (1768) はホモニムであり、サボテンのRhipsalisのシノニムである。
世界に生育する17種のうち、日本には3種(2種3変種とする説もある)が分布しており、その全てが分布の北限となっている。また、イトスナヅルとケスナヅルは、琉球諸島の特定の島とオーストラリアに隔離分布しており、植物地理学上興味深い。
- Cassytha aurea - オーストラリア
- Cassytha candida - オーストラリア
- Cassytha capillaris - オーストラリア
- Cassytha ciliolata - 南アフリカ
- Cassytha flava - オーストラリア
- イトスナヅル Cassytha glabella - オーストラリア、日本(沖縄県)
- スナヅル Cassytha filiformis - ハワイ、南アメリカ、中央アメリカ、フロリダ、日本(東京都(小笠原)、鹿児島県及び沖縄県)、台湾、中国南部
- Cassytha melantha - オーストラリア
- Cassytha micrantha - オーストラリア
- Cassytha nodiflora - オーストラリア
- Cassytha pomiformis - オーストラリア
- ケスナヅル Cassytha pubescens - オーストラリア、日本(沖縄県):また、スナヅルの変種(C. filiformis var. duipraticola)とする説もある。
- Cassytha racemosa - オーストラリア東部
- 沖縄県文化環境部自然保護課編 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(菌類編・植物編)-レッドデータおきなわ-』、2006年。
- 鹿児島県環境生活部環境保護課編 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-鹿児島県レッドデータブック植物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年。
- 島袋敬一編著 『琉球列島維管束植物集覧』 九州大学出版会、1997年。
- Weber, J. Z.:A taxonomic revision of Cassytha (Lauraceae) in Australia.Journal of Adelaide Botanic Gardens 3:187-262, 1981