スペイン岬の謎 The Spanish Cape Mystery | ||
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著者 | エラリー・クイーン | |
発行日 | 1935年 | |
ジャンル | 推理小説 | |
国 | アメリカ合衆国 | |
言語 | 英語 | |
形態 | 著作物 | |
前作 | チャイナ橙の謎 | |
次作 | 中途の家 | |
コード | OCLC 4414051 | |
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『スペイン岬の謎』(スペインみさきのなぞ、The Spanish Cape Mystery )は、1935年に発表されたエラリー・クイーンの長編推理小説。
エラリー・クイーン(作者と同名の探偵)が登場する作品であり、タイトルに国名が含まれる、いわゆる「国名シリーズ」の最後の作品である[1]。
北大西洋に面して、大きな花崗岩の岩塊のような岬が突出し、本土とは狭い狭路でしかつながっていない。岬は、スペイン岬とあだ名されている。岬の両側には公開の海水浴場がある。岬の上には、ゴッドフリー家のスペインの農園屋敷(アシエンダ)風の夏の別荘がある。夏の間、ゴッドフリー夫妻とその娘ローザ。妻ステラの弟もデーヴィッド・カマーが毎年のように滞在している。この夏は、ゲストが数人。 ローザは伯父のデーヴィッドと散歩していて、大男に襲われる。襲撃者は、デーヴィッドを客人の一人、女たらしで山師のジョン・マーコと勘違いしたまま、暴力をふるい、ローザを連れ去る。 エラリー・クイーンは、父の親友マクリン判事と休暇を過ごすため、この地を訪れ、友人の別荘で過ごす予定。二人は、海岸の小屋の前に放置されている車を見つけて、そばの小屋を覗いて、椅子に縛られて、気を失っているローザを発見する。伯父のデーヴィットの消息は分からない。殺害されたのではないかと憶測される。しかし、死体は発見されない。
さこへ謎の電話の指示に従い、ローザの婚約者のアール・コートが駆けつけてきて、女たらしのジゴロ、ジョン・マーコが殺害されたことを知らせる。クイーンは地元警察のモリー警視の要請で捜査に協力することになる。 ジョン・マーコは、テラスの椅子に腰を下ろしたまま死んでいた。黒の中折れ帽をかぶり、右手にステッキを持ち、オペラマントを肩にはおり、ただしそれ以外は真っ裸だったのだ。水着もなしで。着衣はない。彼は左手で手書きを書いていたようだ。しかも、足の裏には砂の痕跡がないことから、泳いでいたわけではなさそうだ。
屋敷の住人たちとゲストは前夜ブリッジをしていた。途中、コートとマーコはローザのことで争い、マーコは怪しい手紙を受け取り、深夜正装してでかけていった。 エラリーたちは、マーコの部屋を捜査して、呼び出しの手紙が、暖炉の燃えカスの中から拾い出されて、元のように復元されたのが洗面所に置かれているのを見出す。差出人はローザだった。誰が、手紙を燃えカスから拾い上げたのかは不明。
ゴッドフリー夫婦の密かな会話の中で、夫人は、マーコが夫人ステラの愛人で、今いる怪しげなゲストたちは誰一人もステラはこれまで知らなかった人たちで、マーコがステラに招待させたものと打ち明ける。ゲストたちはいずれ怪しすぎで、何を企んでいたのか、どうしてマーコが殺される羽目になったのかが、捜査の鍵になってくる。 マーコは、強請屋だったようで、ゲストたちはその被害者であったことが判明、ところがマーコの死後もお金の請求は続き、それをやっていたのがマーコの死後、失踪していたステラ付きの小間使ピッツによるものだと分かる。彼女は、マーコの口利きでここで働くようになった女で、のちにこれがマーコの妻だった事がわかる。彼女の口から、殺害された直後のマーコの状態がわかり、エラリーはこれで推理のための材料が揃ったと宣言する。
capeはケープ(マント)と岬のダブルミーニング。