スペンサー・ウェルズ(Spencer Wells, 1969年4月6日 - )は、アメリカ合衆国の人類学者・遺伝学者。ナショナルジオグラフィック協会のジェノグラフィック・プロジェクトのプロジェクト・ディレクターである。
彼が2002年に著した『The Journey of Man: A Genetic Odyssey[2]』では、現生人類が最初に出アフリカを果たした時から、約5万年にも及ぶ人類の移動経路を明らかにするために遺伝子のデータを用いて説明を行ったドキュメンタリー。
その内容は、最初に出アフリカを果たしたホモ・サピエンスの集団は、アラビア半島の南東部からインド南部を通る南方経由のルートを辿って東南アジアからオーストラリアまで進出した。
そして、世界の非アフリカ系の人々の約9割[3]にあたる、もう一つの集団は、北方経由のルートを辿りユーラシア大陸・北アフリカ(出アフリカ後に再びアフリカに戻った集団)・南北アメリカ大陸に進出したという説を唱えた。これは、現在アフリカ単一起源説を語る上では最も基本となる定説となっている[4]。
彼はまた、世界中のあらゆる地域に住む人々からDNAを採取・分析することによって、現在、全世界を網羅する総ての人類は、6万~9万年前に東アフリカに住んでいた一人の男性の子孫にあたるとの結論に達した[5][6] 。これは、現在Y染色体アダムと呼ばれている概念にあたる[7]。
2005年以降、彼はナショナル・ジオグラフィック協会とIBMが共同で進めるジェノグラフィック・プロジェクト[8]のプロジェクト・ディレクターとして活動を行っている[9]。
2007年、人間社会と人類遺伝学とのつながりを研究した人物に贈られるキスラー賞を受賞。
2009年8月5日、来日し日本科学未来館7階(みらいCANホール)にて『私たちは、どこから来たのか?』という講演会を開催し、日本で初めて研究成果を公開した。
- ^ Wells, Spencer The Journey of Man: A Genetic Odyssey (Random House, 2003), p. 93; originally published by Princeton University Press, 2002.
- ^ The journey of man: a genetic odyssey – by Spencer Wells – Princeton University Press, 2002 (Digitised online by Google Books), ISBN 0-8129-7146-9
- ^ 2006年後半の時点では約5億人
- ^ “Documentary Redraws Humans' Family Tree”. News.nationalgeographic.com. October 12, 2010閲覧。
- ^ Wells, Spencer (July 2007). “Out of Africa”. ヴァニティ・フェア. http://www.vanityfair.com/culture/features/2007/07/genographic200707 October 12, 2010閲覧。
- ^ “Spencer Wells builds a family tree for humanity”. TED (conference). October 12, 2010閲覧。
- ^ “Geneticist Searches for DNA of "Adam," the First Human”. ナショナルジオグラフィック協会 (June 24, 2005). October 12, 2010閲覧。
- ^ “Waitt Foundation”. Waitt Foundation. 2010年10月12日閲覧。
- ^ Rincon, Paul (2008年4月24日). “Human line 'nearly split in two'”. BBC. http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/7358868.stm
- ^ ""Charlie Rose - Henry Louis Gates, Jr. / Spencer Wells / Major Gen. Douglas Lute"". "Charlie Rose".
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