確率論 におけるスラッシュ分布 (スラッシュぶんぷ、英 : slash distribution )は、標準正規分布 に従う確率変数 を、それとは独立 に一様分布 に従う確率変数で割った商が従う確率分布 である[ 1] 。言い換えると、確率変数 Z が平均0、分散1の正規分布に従い、確率変数 U が [0,1] 上の一様分布に従い、Z と U が独立であるとき、X = Z / U はスラッシュ分布に従う。スラッシュ分布は 比分布 (英語版 ) の一例である。この分布はウィリアム・H・ロジャースとジョン・テューキー の1972年の論文において命名された[ 2] 。
確率密度関数 f (x )は
f
(
x
)
=
φ
(
0
)
−
φ
(
x
)
x
2
=
1
2
π
1
−
exp
(
−
x
2
/
2
)
x
2
{\displaystyle f(x)={\frac {\varphi (0)-\varphi (x)}{x^{2}}}={\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}{\frac {1-\exp(-x^{2}/2)}{x^{2}}}}
ここで φ (x ) は標準正規分布の確率密度関数である[ 3] 。
特異点 x = 0 は除去可能 である:
lim
x
→
0
f
(
x
)
=
φ
(
0
)
2
=
1
2
2
π
{\displaystyle \lim _{x\to 0}f(x)={\frac {\varphi (0)}{2}}={\frac {1}{2{\sqrt {2\pi }}}}}
累積分布関数 F (x )は
F
(
x
)
=
Φ
(
x
)
−
φ
(
0
)
−
φ
(
x
)
x
=
1
2
erfc
(
−
x
/
2
)
−
1
2
π
1
−
exp
(
−
x
2
/
2
)
x
{\displaystyle F(x)=\Phi (x)-{\frac {\varphi (0)-\varphi (x)}{x}}={\frac {1}{2}}\operatorname {erfc} (-x/{\sqrt {2}})-{\frac {1}{\sqrt {2\pi }}}{\frac {1-\exp(-x^{2}/2)}{x}}}
ここでΦ (x )は標準正規分布の累積分布関数、erfcは相補誤差関数 である。確率密度関数と同様に特異点 x = 0 は除去可能である:
F
(
0
)
=
1
2
{\displaystyle F(0)={\frac {1}{2}}}
スラッシュ分布の期待値 や分散 、モーメント は存在しない。
スラッシュ分布の最もありふれた使途はシミュレーション の研究におけるものである。この分布は正規分布よりは裾が重く 、コーシー分布 ほどは病的 でないという点で便利である[ 3] 。
^ Davison, Anthony Christopher; Hinkley, D. V. (1997). Bootstrap methods and their application . Cambridge University Press. p. 484. ISBN 978-0-521-57471-6 . http://www.cambridge.org/us/knowledge/isbn/item1154176/?site_locale=en_US 24 September 2012 閲覧。
^ Rogers, W. H.; Tukey, J. W. (1972). “Understanding some long-tailed symmetrical distributions”. Statistica Neerlandica 26 (3): 211–226. doi :10.1111/j.1467-9574.1972.tb00191.x .
^ a b “SLAPDF ”. Statistical Engineering Division, National Institute of Science and Technology. 2009年7月2日 閲覧。
この記事にはパブリックドメイン である、アメリカ合衆国連邦政府 が作成した次の文書本文を含む。アメリカ国立標準技術研究所 .
離散単変量で 有限台 離散単変量で 無限台 連続単変量で 有界区間に台を持つ 連続単変量で 半無限区間に台を持つ 連続単変量で 実数直線全体に台を持つ 連続単変量で タイプの変わる台を持つ 混連続-離散単変量 多変量 (結合) 方向 退化 と特異 族 サンプリング法 (英語版 )