『スーン・オーヴァー・ババルーマ』 | ||||
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カン の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 1974年 インナー・スペース・スタジオ | |||
ジャンル | クラウトロック、サイケデリック・ロック、プログレッシブ・ロック、実験音楽 | |||
時間 | ||||
レーベル |
ユナイテッド・アーティスツ・レコード スプーン・レコード(リイシュー) | |||
プロデュース | カン | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
カン アルバム 年表 | ||||
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『スーン・オーヴァー・ババルーマ』(Soon Over Babaluma)は、ドイツのロック・バンド、カンが1974年に発表したスタジオ・アルバム。専任ボーカリスト不在の4人編成となってからは、初のアルバムに当たる。
ダモ鈴木の脱退後、バンドは後任のボーカリストを探すが適切な人材が見つからず[1]、最終的にはミヒャエル・カローリとイルミン・シュミットがボーカル・パートを分け合った[2]。本作は、カンがマルチトラック・レコーダーを使わずに直接ステレオ録音を行った最後のアルバムである[1]。
「Dizzy Dizzy」はレゲエ、「Come Sta, La Luna」はタンゴ、「Splash」はラテンジャズの要素が取り入れられた曲で、「Chain Reaction」ではアフリカやキューバの音楽に影響を受けたパーカッションがフィーチャーされた[3]。また、ホルガー・シューカイは「Quantum Physics」に関して「ヤキ・リーベツァイトの驚異的なマシン・ドラムと、イルミン・シュミットが使用したアルファ77という初期のシンセサイザーのおかげで生まれた、テクノの要素も持つアンビエント・ミュージックとしては最初期の曲の一つ」と説明している[1]。なお、「Dizzy Dizzy」の作詞者としてクレジットされているダンカン・ファロウェルは、イギリス人としては最初にカンを取材したジャーナリストである[4]。
Ned Raggettはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「音楽的に『ババルーマ』は少々激しさに欠けるが、メンバーが個々の音楽的ポケットの中に住み、即座に反応し合えるというバンドの感覚は不変である」と評している[2]。また、Adrien BegrandはPopMattersにおいて「多くの批評家の注目は『タゴ・マゴ』、『エーゲ・バミヤージ』、『フューチャー・デイズ』という偉大な三部作に集中しているが、『スーン・オーヴァー・ババルーマ』も見過ごされるべきではない。リード・ボーカルに挑戦したカローリは、マルコム・ムーニーやダモ鈴木ほどのカリスマ性はないが、バンドはことごとく異なるサウンドのスタイルを見事に結合させ、カンの音楽としては最も大胆で、更に言えば最もタイトになった」と評している[3]。
1992年にイギリスの音楽雑誌『The Wire』が選出した「最も重要なレコード100」では、本作も挙げられている[5]。
特記なき楽曲はメンバー4人の共作。