ソコ J-20
ソコ J-20(Soko J-20 Kraguj)は、1964年に初飛行を行ったユーゴスラビアの単座小型地上攻撃機、COIN機である。
J-20は長方形の翼平面形を持つ古典的なセミモノコックの全金属製構造の機体で、パイロットは暖房/空調付の密閉式コクピットの中の調節式座席に搭乗する。キャノピーは後方スライド開閉式で、固定尾輪式の降着装置には衝撃を緩和するゴム製ダンパー、主車輪には油圧式ブレーキを備えている。
エンジンの1つには出力245 kW のライカミング製GSO-480-B1A6 レシプロエンジンがあり、ハーツェル・プロペラ社製の3枚可変ピッチプロペラHC-B3Z20-1/10151C-5を駆動し、2本の特別設計の放熱管によりエンジンの冷却が図られている。164 kg 容量のゴム製燃料タンク2個により完全武装状態で623 km の航続距離を実現している。直流27 Vの電力が 1,5 kW の発電機とバッテリーから供給され、風防の曇り止めと防氷は温風と燃料の噴射によりなされている。
J-20は昼夜間に広範囲の目視可能な地上目標に対する低空作戦任務に特化して設計された。特に山間部の特別な設備の無い臨時の飛行場でも臨機応変に兵装や補給品を簡単に搭載できるように考えられており、短距離の不整地滑走路やスキーを取り付ければ積雪地からでさえも運用が可能であった。本機は「パルチザンの飛行機」とも呼ばれた。
Kraguj P-2は近接支援任務を主目的にしていたが、操縦士の昼夜間の目視飛行訓練、地上目標に対する照準、ミサイル発射、爆撃訓練にも使用された。
固定武装は各650発の弾倉を持つ2丁の7.7 mm コルト・ブローニングMk.II 機関銃とコックピット内の光学式照準器で、戦闘任務用に爆弾と2基の57 mm と2基の 128 mm (HVAR-5) 空対地ロケット弾発射器を機外に搭載することができる。主翼下面のパイロンのアダプターは無誘導爆弾から12連装57 mm空対地ロケット弾発射器へ使用する兵装構成を切り替えることができる。クラスター爆弾や128 mm 空対地ロケット弾を搭載することも可能である。
(J-20) Jane's All the World's Aircraft 1969-70 [1]