『ソラニン』は、浅野いにおによる日本の青年漫画作品、および2010年に実写化された映画。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONによる同映画の主題歌については、ソラニンを参照。この楽曲の作詞は浅野いにおによるもので、漫画作品中にも登場する。
種田成男と井上芽衣子の小さな恋や人間模様を描いたストーリー漫画作品である。舞台は、東京都狛江市の小田急小田原線和泉多摩川駅周辺[1]。タイトルの「ソラニン」は、作者が当時交際していた彼女が「アジカンの新しいアルバム、ソラニンって言うんだって」という一言がきっかけ。ただし、実際に出たのは『ソルファ』である。「ソラニン」の音感が気に入ったのと、意味を調べたらじゃかいもの芽の毒のことであったことも気に入りタイトルにした[2]。
2005年から2006年まで『週刊ヤングサンデー』にて連載された。単行本は全2巻。単行本の売り上げは90万部を超えており、2009年にはアイズナー賞の候補に選ばれた[3]。
2010年に実写映画化された(後述)。 2017年10月30日には新装版(全1巻)が浅野の最新作「零落」と同時に発売された。新装版には本編の11年後を描いた後日談が追加された。
社会人2年目の井上芽衣子は、将来に希望を感じられずにいた。社会や大人に対し不平不満がありつつ、しかしどうすればいいのかわからないまま、ついに勢いで会社を辞めてしまう。
芽衣子の同棲相手であり恋人の種田成男は、大学時代のバンド仲間である加藤、ビリーと定期的に会い、デザイン事務所のアルバイトの合間を縫ってバンド活動を細々と続けていた。喧嘩し、互いに励まし合いながら、先の見えない生活を続けていく芽衣子と種田。やがて、自身の音楽の才能は平凡と言い張り、逃げの姿勢である種田に対し芽衣子は苛立ちを隠せなくなり「バンドをやってほしい」と自分の思いをぶつける。その芽衣子の一言から種田はアルバイトを辞め、再びバンド活動に熱を入れることを決めた。そして加藤、ビリーらに声をかけ、自身の新曲である「ソラニン」をレコーディングする。
そのデモCDを送ったレコード会社のうち1社から反応があり、種田、芽衣子、ビリーの3人は会社を訪れ冴木という人物に会う。話の内容は、これからアーティスト活動で売りに出す新人グラビアアイドルのバックバンドの依頼だった。
冴木を前に黙っている種田の気持ちを代弁するかのように、芽衣子はその話を断った。以降デモCDの反応はなく、夏が過ぎ去り秋が訪れようとしていた頃、種田は芽衣子に対し突然別れ話を持ち出す。その場は和解したものの、種田は散歩に行くと言ったきり帰って来なかった。種田から連絡があったのは5日後で、彼は以前辞めたデザイン事務所でもう一度働き始めた事、そしてこれまでの思いを芽衣子に伝える。「これからは2人で幸せになろう」と、互いの思いを再確認した帰り道、種田は交通事故で他界してしまう。
それから2か月、芽衣子は心にぽっかりと穴が空いてしまったようであった。そんな中、種田の父親が芽衣子の元を訪れる。自分を責め続けている芽衣子に対し、種田の父は「彼を忘れないでやって欲しい」という事、そして「彼が居た事を証明し続けるのが、あなたの役割なのかもしれない」と言い残す。その言葉を聞き、芽衣子は種田のギターを手に取る。ビリーたちとともにバンドを再開させた芽衣子はギターの練習を重ね、ライブハウスのステージに立ち、芽衣子のボーカルで種田の残した曲「ソラニン」を歌うのだった。
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ソラニン | |
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監督 | 三木孝浩 |
脚本 | 髙橋泉 |
原作 | 浅野いにお |
製作 |
今村景子 田中美幸 久保田修 |
製作総指揮 | 豊島雅郎 |
出演者 |
宮﨑あおい 高良健吾 桐谷健太 近藤洋一 伊藤歩 |
音楽 | ent |
主題歌 | ASIAN KUNG-FU GENERATION「ソラニン」 |
撮影 | 近藤龍人 |
編集 | 上野聡一 |
制作会社 | IMJエンタテインメント |
製作会社 | 「ソラニン」製作委員会 |
配給 | アスミック・エース |
公開 | 2010年4月3日 |
上映時間 | 126分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 5.8億円[4] |
『ソラニン』は、三木孝浩が監督を務めた2010年4月3日公開の日本映画。浅野いにおによって2005年から2006年まで『週刊ヤングサンデー』にて連載された同名の漫画を原作としている。映画化は、漫画の連載が既に終わっていた2007年に週刊ヤングサンデー誌上で公表された。その後しばらく進展・追加発表はなかったが、2009年春にアスミック・エース制作・配給、三木孝浩監督、宮崎あおいと高良健吾のダブル主演で実写映画化されることが発表され、公開された。脚本は原作のセリフに忠実に再現されている。
作中に歌詞のみ登場する楽曲「ソラニン」は、新たにASIAN KUNG-FU GENERATIONがメロディをつけ、宮崎あおい、高良健吾に提供、実際に劇中で演奏された。エンディングテーマには、以前ASIAN KUNG-FU GENERATIONが制作した楽曲「ムスタング」のリミックス・バージョン「ムスタング(mix for 芽衣子)」が使用された。また、劇中音楽はストレイテナーのVo.であるホリエアツシのソロプロジェクト「ent」[5]が担当した。ロケは多摩川周辺、スタジオシーンは青葉台スタジオ、ライブシーンは新宿Marz、町田Actである。楽器提供はフェンダー、パール楽器製造による。
全国108館で公開され、2010年4月6日付の興行成績ランキング(興行通信社調べ)では6位、初日2日間の成績は動員が6万4,444人、興収が9,315万3,190円であった[6]。
2010年9月3日発売のDVDソフト『ソラニン メモリアル・エディション』は9月3日付オリコンDVD映画週間ランキングで第1位となる好セールスとなっている。
発売元はアスミック・エース / 小学館 、販売元はTCエンタテインメント。