ダイダラボッチ
ダイダラボッチ
分類
学名
Alicella gigantea Chevreux, 1899
和名
ダイダラボッチ
ダイダラボッチ Alicella gigantea は、深海 に棲息するヨコエビ類 (端脚目 )の一種。端脚目における最大種である。1種のみでAlicella 属を構成する。かつてフトヒゲソコエビ科に含められていたが、科の細分化に伴いダイダラボッチ科に移された。
属名 Alicella は、タイプ標本の採集に寄与した調査船「プリンセス・アリス号」にちなむ。この船は海洋学者でもあるモナコ公アルベール1世 の所有で、配偶者であるアリス・エーヌ から命名された。
和名はヨコエビ研究者の石丸信一[ 3] による。「ダイダラボッチ 」は日本 の伝承に登場する巨人 の名である。
太平洋 および北大西洋 。主に水深 4,000 - 7,000 m(メートル ) の無光層 下部に棲息。1,720 mから発見されたこともある。日本では小笠原沖 から報告がある。
深海 域に棲み、腐肉食 性。捕食者としてはヨロイダラ Coryphaenoides armatus が知られる。また、海面に浮いてきた死骸をクロアシアホウドリ Diomedea nigripes が摂食することがある。
Alicella gigantea
タイプ標本 の体長は140 mm(ミリメートル ) 。体長340 mmに達する個体も報告がある。この巨大な体躯は主にクサウオ 類による捕食を回避するのに役立っているとされる。
目は黄色で固定 後には不明瞭となる。全身は淡褐色。第1咬脚 は単純形で第5節(腕節)および第6節(前節)は細長い。性的二形 はみとめられない。
胸脚 の各節は細長い。尾肢 は槍状に伸長する。
大顎 臼歯部は単純形。右大顎の可動葉は二股。第1小顎 の内葉に多数の剛毛を具える。第1咬脚は単純形。第1腹節の背面はやや隆起するがトゲ状にならない。
いくつもの大型種が知られる深海性ヨコエビの中でも、本種の体サイズは群を抜いて大きいことが知られている。
第2 - 7胸脚に鰓を具え、このうち第5および第6胸脚の鰓は表面に突起をもつ。これは溶存酸素に乏しい深海において効率的に酸素を採り入れるための適応とみられ、巨大化の要因とも考えられている。
ゲノムサイズは近縁の深海性ヨコエビより大きく34.79 pg(ピコグラム ) (34.02 Gb[ 注釈 1] )と見積もられており、これが巨大化に関係しているとの指摘がある。
消化酵素 や細胞の成長など身体の生育に関わる7つの領域において、他種にみられない塩基置換が指摘されており、これが巨大化に寄与しているものと推測されている。
有山啓之 『ヨコエビ ガイドブック』海文堂 、2022年6月1日、160頁。ISBN 9784303800611 。
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