ダルムシュタット市電 | |||
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基本情報 | |||
国 |
ドイツ ヘッセン州 | ||
所在地 | ダルムシュタット | ||
種類 | 路面電車[1] | ||
路線網 | 9系統[2] | ||
開業 |
1886年(スチームトラム) 1897年(路面電車)[3] | ||
運営者 | HEAGモビーロ[1] | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 42 km(2019年現在)[1] | ||
軌間 | 1,000 mm[4] | ||
電化区間 | 全区間 | ||
電化方式 |
直流600 V (架空電車線方式)[4] | ||
最高速度 | 70 km/h[4] | ||
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ダルムシュタット市電(ドイツ語: Straßenbahn Darmstadt)は、ドイツの都市・ダルムシュタット市内に存在する路面電車。2021年現在はダルムシュタット市内の交通機関を運営するHEAGモビーロによって運営される[1][3]。
ダルムシュタットにおける最初の軌道交通が開通したのは1886年8月30日で、ダルムシュタット市から委託された民間企業や銀行によるコンソーシアムによって運営されるスチームトラムを用いた路線であった。エバーシュタット(Eberstadt)やグリスハイム(Griesheim)へ向かう2つの路線に続き、1890年にアルハイルゲン(Arheilgen)方面の路線が開通し、総延長は17.8 kmとなった。だが、これらの路線は主に市内中心部と郊外を結ぶ路線網であり、市内中心部に路線の建設にあたってはスチームトラムの煤煙や騒音が課題となった。そこで、1895年、ダルムシュタット市は中心部に路面電車を建設する事を決定し、1897年11月23日から営業運転を開始した[3][5][6]。
この2つの路線網はそれぞれ別の事業者によって運営されていたが、今後の開発における障害となる事が懸念された事で、1912年にヘッセン鉄道株式会社(Hessische Eisenbahn-Aktiengesellschaft、HEAG)が設立され、両事業者の路線網が統合された。その後は第一次世界大戦中の中断を経て郊外路線の電化工事が進み、1922年3月31日をもってスチームトラムの営業運転は終了した[注釈 1]。以降はインフレーションの影響による一部系統の運行停止などの事態が起きたものの情勢が落ち着いて以降は延伸が積極的に実施され、1938年時点の総延長は43 km、車両数は64両を記録した[3]。
だが、第二次世界大戦の勃発により延伸計画は中断し、事業者についても発電部門が重要視された事で企業名がヘッセン電気事業(Hessische Elektrizitäts-Aktiengesellschaft、HEAG)に変更された。そして1944年9月11日の空襲によりダルムシュタット市内は甚大な被害を受け、路面電車も運行休止を余儀なくされた。全ての系統が復興したのは翌1946年であった[3]。
西ドイツの路面電車となったダルムシュタット市電はモータリーゼーションに直面し、1960年にハインハイマー通り(Heinheimer Straße)への路線が、1970年代初頭にはオーバーヴァルトハウス(Oberwaldhaus)への路線が廃止された。だが、その一方で新規路線の建設や経由区間の変更といった改良工事が積極的に行われたほか、1960年代以降は輸送力が高い連接車の導入が実施された。また、1977年には路線バスと共にコンピュータを用いた管理体制が導入された他、1980年代以降運賃の支払い方法が信用乗車方式へ転換された[5][7][3]。
運営体制については長らくヘッセン電気事業による運営が続いたが、1989年にHEAGから路面電車や路線バスなどを運営する輸送部門が分離され、HEAG交通(HEAG Verkehrs-GmbH)が設立されている[3]。
ドイツ再統一後、1991年からダルムシュタット市電では一部の電停を通過する急行運転が行われており、2021年現在は1991年に登場した最初の急行系統である6号線が運行を続けている。更に2000年代以降は廃止区間の復活も含めたダルムシュタット北部の延伸が実施されており、最新の路線は2011年8月に開通したローウェンプラッツ(Löwenplatz) - アルハイルゲン(Arheilgen/Dreieichweg)間である。車両についても1994年以降バリアフリーに適した超低床電車の導入が継続して実施され、旧型電車の置き換えが進行している[3]。
運営組織については2004年に再度再編が実施され、HEAGモビーロ(HEAG mobilo GmbH)が設立されたのに合わせて路面電車運営部門にあたるHEAGモビトラム(HEAG mobiTram)へと運営権が移管されたが、同社は2019年11月にHEAGモビーロと合併している[3][1]。
2021年現在、ダルムシュタット市電では以下の9つの系統が運行している。そのうち6号線は途中の電停を通過する急行系統である。これら以外にも1993年から2001年までは同じく急行系統の10号線が存在した[2][3][8]。
運賃については、HEAGモビーロが加盟しているライン=マイン運輸連合(RMV)が制定したゾーンに基づいて設定されており、大半の区間はダルムシュタット中心部(ゾーン4001)に位置するが、郊外へ向かう系統は2つのゾーンを超えて運行する。基本料金は1つのゾーンのみの場合は2.1ユーロ、2つのゾーンを跨ぐ場合は2.75ユーロに設定されている[3][9]。
系統番号 | 経路 | 参考・備考 |
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1 | Eberstadt Frankenstein - Wartehalle - Rhein-/Neckarstraße - Hauptbahnhof | |
2 | Böllenfalltor - Schloß - Luisenplatz - Rhein-/Neckarstraße - Hauptbahnhof | |
3 | Lichtenbergschule - Schulstraße - Schloß - Luisenplatz - Willy-Brandt-Platz - Klinikum - Hauptbahnhof | |
4 | Kranichstein Bhf - Rhönring - Luisenplatz - Rhein-/Neckarstraße - Griesheim Platz Bar-le-Duc | |
5 | Kranichstein Bhf - Rhönring - Luisenplatz - Rhein-/Neckarstraße - Hauptbahnhof | |
6 | Alsbach Am Hinkelstein - Eberstadt Frankenstein - Wartehalle - Rhein-/Neckarstraße - Luisenplatz - Nordbahnhof - Arheilgen Dreieichweg | Wartehalle - Rhein-/Neckarstraße間は一部電停を通過(急行運転) |
7 | Eberstadt Frankenstein - Wartehalle - Rhein-/Neckarstraße - Luisenplatz - Nordbahnhof - Arheilgen Dreieichweg | |
8 | Alsbach Am Hinkelstein - Eberstadt Frankenstein - Wartehalle - Rhein-/Neckarstraße - Luisenplatz - Nordbahnhof - Arheilgen Dreieichweg | |
9 | Böllenfalltor - Schulstraße - Schloß - Luisenplatz - Rhein-/Neckarstraße - Berliner Allee - Maria-Goeppert-Straße - Griesheim Platz Bar-le-Duc |
ダルムシュタット市電に在籍する車両には独自の形式名が与えられており、「ST」は「動力車(Straßenbahn Triebwagen)」、「SB」は「付随車(Straßenbahn Beiwagen)」を示す。また、コンピュータによる車両管理体制が開始された1970年代後半以降に導入された車両の番号の上2桁は製造初年の下2桁の数値である[4][7]。
1997年の電化100周年を記念して実施された動態保存運転が好評だったことを受け、1998年以降ダルムシュタット市電では特定日の週末に一部区間で蒸気機関車が牽引する客車列車「燃えるエリアス号(Feuriger Elias)」の運行が実施されている。使用される車両は以下の通り[7][5][6]。
過去にダルムシュタット市電で使用された車両の一部はダルムシュタット=クラニヒシュタイン鉄道博物館協会(Eisenbahnmuseum Darmstadt-Kranichstein e. V.)による動態保存が実施されている他、1990年代以降に引退した車両の大半はルーマニアのヤシ市電(ヤシ)への譲渡が実施されている[5][7]。
2020年1月、HEAGモビーロはスイスのシュタッドラー・レールとの間に5車体連接式の超低床電車であるST15を導入する契約を交わした。これは老朽化したST12の置き換えに加えて輸送力の増強を目的としており、全長は43 m、定員は284人(着席103人)を予定している。また、既存の車両と比べて二酸化炭素の排出量を抑えた空調システムが搭載されている他、運転支援システムやメンテナンス面や快適席の向上が図られた台車などの導入も実施される。2023年時点で25両が発注されており、同年以降営業運転が始まる予定になっている[4][22][23][24]。