チョウジザクラ

チョウジザクラ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
: サクラ属 Cerasus
: チョウジザクラ C. apetala
変種 : チョウジザクラ var. tetsuyae
学名
Cerasus apetala (Siebold et Zucc.) Masam. et Shig.Suzuki var. tetsuyae H.Ohba (2007)[1][2]
シノニム
和名
チョウジザクラ
英名
Clove cherry

チョウジザクラ(丁字桜[5]学名: Cerasus apetala var. tetsuyae[2][6]バラ科サクラ属落葉低木から小高木。山地に生えるサクラの野生種の一つ。東北南部より南の太平洋側に見られる。和名の由来は、花の萼筒が長く、横から見ると丁字形や丁子(クローブ)のように見えることから名づけられている[5]。別名にメジロザクラ[1]。なお、チョウジザクラの名はフジモドキにも使われている。

分布

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本州の東北以南の太平洋側に見られる[5]。また、九州熊本県にも一部で見られる[5]。山地を好んで分布し、谷川の近くのような岩石の多い部分でも生育できる。石灰岩地にも生える。

特徴

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落葉広葉樹低木から小高木[5]。樹木の高さは大きくなってもせいぜい6 - 7メートル (m) 前後で、あまり大きくならない[5]。幹は下部からよく枝分かれする[5]。樹皮は灰褐色で横長の皮目がある[5]。枝は紫褐色で、一年枝は灰色を帯び毛が多く、皮目がある[5]。その樹皮を樺細工のような工芸品に使用したりする。

花期は3月下旬から4月[5]。花は白からやや薄紅色。五枚一重であり、花びらは小さく花全体で大きくても2センチメートル (cm) 前後。花は180度近くまで平たく開き、萼筒も長く、このとき横から見ると丁字のように見える。花は下向きに咲くことが多い。花を除くとマメザクラCerasus incisa var. incisa)に良く似ている。

は長い楕円形であり、葉縁は葉の端の鋸上の部分は切込みが深く(欠刻状重鋸葉)マメザクラに似る。葉には一面に毛が生える。時々葉の先端が長く伸びる。秋になると紅葉し落葉する。

冬芽は鱗芽で、サクラ類の中でも小さく、卵形で無毛で多数の芽鱗に包まれている[5]。枝の先に頂芽がつき、側芽が枝に互生する[5]。葉痕は三角形や三日月形で、維管束痕が3個つく[5]

観賞用の価値が低いために、植えられる事は稀である。その一方、この種は多種との雑種を作りやすく、品種改良に使われることも少なくない。

チョウジザクラ群

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チョウジザクラに似ていたり、変種だとされる桜はチョウジザクラ群に分類されている。チョウジザクラ自体は観賞用の価値が低いが、チョウジザクラ群には好んで植えられるものもある。

野生種

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  • チョウジサクラ(丁字桜・メジロザクラ) - Cerasus apetala
    • チョウジサクラ(丁字桜・メジロザクラ) - Cerasus apetala var. tetsuyae H.Ohba 種 (species)の下位分類の変種 (variety)としてのチョウジザクラ[2][6]
    • ミヤマチョウジザクラ(深山丁字桜) - Cerasus apetala var. apetala 種の下位分類の変種の深山型。中央アルプスから南アルプスにかけて分布する。
    • オクチョウジザクラ(奥丁字桜) - Cerasus apetala var. pilosa (Koidz.) H.Ohba 種の下位分類の変種[7]

種間雑種

  • オオミネザクラ(大峰桜) - Cerasus ×oneyamensis (Hayashi) H.Ohba nothovar. takasawana (H.Kubota & Funatsu) H.Ohba[8][9] オクチョウジザクラとオオヤマザクラの自然雑種。
  • チチブザクラ(秩父桜) - Cerasus ×chichibuensis (H.Kubota & Moriya) H.Ohba[7] チョウジザクラとエドヒガンの自然雑種。
  • ニッコウザクラ(日光桜) - Cerasus ×tschonoskii (Koehne) H.Ohba[10] チョウジザクラとカスミザクラの自然雑種。
  • ナルサワザクラ(鳴沢桜) - Cerasus ×yanashimana (H.Kubota & Moriya) H.Ohba[11][12] チョウジザクラとヤマザクラの自然雑種。ハナイシザクラ(花石桜)を含む。

園芸品種

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  • オオオクチョウジザクラ(大奥丁字桜)
  • キクザキオクチョウジザクラ(菊咲奥丁字桜) - Cerasus apetala (Sieb. & Zucc.) H.Ohba var. pilosa (Koidz.) H.Ohba f. multipentala (Kawas.) H.Ohba ヒナギクザクラ(雛菊桜)ともいう。チョウジザクラ群の園芸品種は、キクザキオクチョウジザクラを親に持っていることが多い。
  • シキザキチョウジザクラ(四季咲丁字桜)

脚注

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cerasus apetala (Siebold et Zucc.) Masam. et Shig.Suzuki var. tetsuyae H.Ohba チョウジザクラ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年5月11日閲覧。
  2. ^ a b c 大場・川崎・田中. 2007. 『新・日本の桜』(山と渓谷社) p. 253.
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Prunus apetala (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav. var. tetsuyae (H.Ohba) Oohara チョウジザクラ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年5月11日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Prunus apetala (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav. var. monticola T.Kawas. et H.Koyama チョウジザクラ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年5月11日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 175
  6. ^ a b 大場秀章 2007, p. 245
  7. ^ a b 大場秀章 1992, p. 277
  8. ^ 大場秀章 1998, p. 117
  9. ^ Ohashi, H. et al. 2001. Rosaceae. In Iwatsuki, K. et al. (eds.), Flora of Japan. 2b: 142.
  10. ^ 大場秀章 1992, p. 280.
  11. ^ 大場・川崎・田中. 2007. 『新・日本の桜』(山と渓谷社) p. 254.
  12. ^ 大場秀章 2007, p. 247.

参考文献

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関連項目

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  • タカサゴ - チョウジザクラとサトザクラを両親に持つ品種。