数学 におけるチョウラ=セルバーグの公式 (チョウラ=セルバーグのこうしき、英 : Chowla–Selberg formula )とは、複素二次無理数でのデデキントのイータ関数 の値の意味での有理値におけるガンマ関数 の値の積を評価するものである。元々は1897年 にマティアス・レルヒ によって発見され、1949年 にサルバダマン・チョウラ 、1967年 にアトル・セルバーグ によって再発見された。
対数形式でのチョウラ=セルバーグの公式は、クロネッカーの極限公式 による次のような和の評価のことを言う。
w
4
∑
r
χ
(
r
)
log
Γ
(
r
D
)
=
h
2
log
(
4
π
|
D
|
)
+
∑
τ
log
(
ℑ
(
τ
)
|
η
(
τ
)
|
2
)
.
{\displaystyle {\frac {w}{4}}\sum _{r}\chi (r)\log \Gamma \left({\frac {r}{D}}\right)={\frac {h}{2}}\log(4\pi {\sqrt {|D|}})+\sum _{\tau }\log \left({\sqrt {\Im (\tau )}}|\eta (\tau )|^{2}\right).}
ここで χ は D を法とする平方剰余記号 で、−D はある複素二次体 の判別式 である。和は 0 < r < D について取られ、通例に従い r と D が共通因子を持つなら χ(r ) = 0 となる。関数 η はデデキントのイータ関数 で、h は類数(class number)、w は単位元の根の数である。
このような公式の起源は、虚数乗法 の理論、特にCMアーベル多様体 の周期の理論に見られる。その後、多くの研究と一般化がなされている。特に、P進ガンマ関数 を含む p進数 に対するチョウラ=セルバーグの公式として、グロス=コブリッツの公式 が挙げられる。
チョウラ=セルバーグの公式は、イータ関数の値の有限の積を与えるものである。これを虚数乗法 の理論と組み合わせることにより、イータ関数の個別の絶対値に関する次の公式が得られる。
ℑ
(
τ
)
|
η
(
τ
)
|
4
=
α
4
π
|
D
|
∏
r
Γ
(
r
/
|
D
|
)
χ
(
r
)
w
2
h
.
{\displaystyle \Im (\tau )|\eta (\tau )|^{4}={\frac {\alpha }{4\pi {\sqrt {|D|}}}}\prod _{r}\Gamma (r/|D|)^{\chi (r){\frac {w}{2h}}}.}
ここで α はある代数的数 である。
ガンマ関数に対する相反公式(reflection formula)を使えば、次が得られる。
η
(
i
)
=
2
−
1
π
−
3
/
4
Γ
(
1
4
)
{\displaystyle \eta (i)=2^{-1}\pi ^{-3/4}\Gamma ({\tfrac {1}{4}})}
Chowla, S.; Selberg, Atle (1949), “On Epstein's zeta function. I” , Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 35 : 371–374, ISSN 0027-8424 , JSTOR 88112 , MR 0030997 , https://jstor.org/stable/88112
Chowla, Sarvadaman; Selberg, Atle (1967), “On Epstein's Zeta-function”, Journal für die reine und angewandte Mathematik 227 (227): 86–110, doi :10.1515/crll.1967.227.86 , MR 0215797
Lerch, Mathias (1897), “Sur quelques formules relatives au nombre des classes”, Bulletin des Sciences Mathématiques 21 : 290–304
Schappacher, Norbert (1988), Periods of Hecke characters , Lecture Notes in Mathematics, 1301 , Berlin: Springer-Verlag , MR 0935127