1895年ごろのマーラー
テオベルト・マーラー (Teobert Maler、1842年 1月12日 - 1917年 11月22日 )は、ドイツ およびオーストリア の写真家 、探検家 。メキシコ とグアテマラ を旅行し、古代マヤ文明 の約100の遺跡を訪問して多数の写真を撮影した。遺跡の多くはその後に荒廃したため、マーラーの写真は現在も重要である。
マーラーはローマ で生まれた。父のフリードリヒはバチカン におけるバーデン大公国 の代表としてローマに滞在していた。カールスルーエ・ポリテクニーク で建築と工学を学んだ後[ 1] 、20歳のときにウィーン で建築のための製図の職を見つけ、オーストリア の市民権を得た[ 2] 。
パリ とロンドン を訪問した後、1864年 にメキシコ皇帝として赴任するマクシミリアン大公 を支援するためのオーストリア軍に参加してメキシコ へ行き、帝政崩壊までの3年間で階級は大尉 にのぼった。その後も帰国せず、11年間にわたってメキシコに滞在した[ 2] 。1874年 から写真の撮影をはじめ、1875年 にはテワンテペック (英語版 ) の発掘を行った。またマヤの遺跡であるパレンケ の探検も行った[ 1] 。
1875年 に父が死亡した後、その財産をプロイセン 政府が差し押えたため、問題を解決するために1878年 にヨーロッパに戻った。解決には5年の年月を必要とした[ 2] 。この間にトルコ やコーカサス に旅行している[ 2] 。パリ の社交界で、マーラーは写真家として知られるようになった[ 1] 。
1885年 に再びメキシコに渡った。ユカタン州 のティクルに居を定め、10年間にわたってユカタン半島 各地の遺跡を調査し、写真を撮影した[ 2] 。
1895年 にはティカル を調査し、そこからパシオン川 とウスマシンタ川 を下って、モトゥル・デ・サン・ホセ 、セイバル 、ピエドラス・ネグラス などの写真を撮影した[ 2] 。
1898年 にアメリカ合衆国 のピーボディ考古学・民族学博物館 の依頼を受け、3回の探検を行ったが、同様にピーボディのためにチチェン・イッツァ の調査を行っていたE.H.トンプソン (英語版 ) の敵意にあったため、1905年 に調査を中断した。このためにティカル の報告は不完全なものになっている[ 2] 。
晩年は貧窮にあえぎ、自分の撮影した写真を売ることで生活の足しにした[ 1] 。1917年、ユカタン州都のメリダ で没した。
1870年代のテワンテペックとパレンケの発掘についてはフランスの雑誌『La Nature』の1879年版に簡単な報告が載せられている。
ユカタン調査(Yukatekische Forschungen)は、1879年から1902年にかけてドイツの地理学雑誌『Globus』に発表された。
ピーボディ博物館の依頼で行った調査の報告は英訳され、博物館のモノグラフとして出版された。
Researches in the central portion of the Usumatsintla Valley . Memoirs of the Peabody Museum of American Archaeology and Ethnology, Harvard University. 2.1 . Cambridge, MA. (1901). https://archive.org/details/gri_33125001333521
Researches in the central portion of the Usumatsintla Valley, part second . Memoirs of the Peabody Museum of American Archaeology and Ethnology, Harvard University. 2.2 . Cambridge, MA. (1903). https://books.google.com/books?id=fehZAAAAYAAJ
Explorations of the upper Usumatsintla and adjacent region . Memoirs of the Peabody Museum of American Archaeology and Ethnology, Harvard University. 4.1 . Cambridge, MA. (1908). https://archive.org/stream/gri_explorations04male#page/n13/mode/2up
Explorations of the department of Peten, Guatemala and adjacent region . Memoirs of the Peabody Museum of American Archaeology and Ethnology, Harvard University. 4.2-3 . Cambridge, MA. (1908-1910). https://archive.org/stream/gri_explorations04male#page/n91/mode/2up
Explorations of the department of Peten: Tikal . Memoirs of the Peabody Museum of American Archaeology and Ethnology, Harvard University. 5.1 . Cambridge, MA. (1911). https://books.google.com/books?id=-9k4AQAAMAAJ
マーラーの生前に出版されなかった写真やスケッチ、調査データなどは長い間忘れ去られていたが、1971年と1997年に出版された。
Gerdt Kutscher, ed (1971). Bauten der Maya: Aufgenommen in der Jahren 1886 bis 1905 und beschreiben von Teobert Maler . Berlin: Gebrüder Mann Verlag. ISBN 3786130035
Ian Graham ; Hanns J. Prem, ed (1997). Península Yucatán von Teobert Maler . Berlin: Gebrüder Mann Verlag. ISBN 3786117551
^ a b c d NDB
^ a b c d e f g Graham, Ian (2001). “Maler, Teobert”. The Oxford Encyclopedia of Mesoamerican Cultures . 2 . Oxford University Press. p. 153. ISBN 0195108159