テナガエビ属 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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テナガエビ
ミナミテナガエビのオス
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Macrobrachium Bate, 1868 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Freshwater Prawn |
テナガエビ(手長蝦、草蝦)はテナガエビ科テナガエビ属 Macrobrachium に分類されるエビの総称。熱帯・温帯の淡水域や汽水域に生息する大型のエビで、和名通り第2歩脚が長く発達する分類群である。多くの種類がある中、日本ではその中の1種 Macrobrachium nipponense に「テナガエビ」の和名が充てられている。
熱帯から温帯に広く分布し、熱帯にいる種類が多い。たとえば日本の九州以北では通常テナガエビ、ヒラテテナガエビ、ミナミテナガエビの3種しか見られない一方、南西諸島では前述の3種を含めた15種が分布する。
体長は3cmほどのものから20cmほどのものまで種類によって差がある。成体は全身が緑褐色から灰褐色である。若い個体は半透明の体に黒いしま模様があり、スジエビ類に似る。スジエビは目の後ろにある肝上棘(かんじょうきょく)が無く、そこで若いテナガエビと区別できる。
一番の特徴は、和名通り長く発達した鋏脚である。これは第1歩脚が大きいザリガニやカニなどと違い、第2歩脚が大きくなったもので、よく見ると大きな鋏脚の内側にもう1対の小さな第1鋏脚がある。成体のオスの鋏脚は種類によっては体長よりも長い一方、メスや若い個体は細く短い。この脚は餌をつかんだり、他の個体を排除したりするのに用いる。水底を歩く時には大小2対の鋏脚を前に突き出し、後ろの3対の歩脚で移動する。
温暖な地方の淡水や下流・汽水域の河川、湖沼に生息する。高地の水の澄んだ湖沼には生息せず、移植しても定着できない。夜行性で、昼間は石の下や護岸の穴やテトラポッドの下、水草の茂みに隠れている。曇って陽が照っていない時であれば昼でも活動し、姿を確認することができる。縄張り意識が強く、他の個体と遭遇すると戦って排除する。
食性はほぼ肉食性で、水生動物や魚の死骸、イトミミズなどの有機物を食べる。藻類などを食べることもあるが、飼育下で動物性のえさが少ないと共食いもする。
繁殖期は5月から9月までで、夏に多く産卵する。小卵多産で、メスは直径1mm足らずの卵を1000 - 2000個ほども産卵し、腹肢に抱えて孵化するまで保護する。テナガエビ類はほとんどが両側回遊型で、幼生は海、少なくとも汽水域まで降河しないと成長できない。孵化したゾエア幼生は川の流れに乗って海へ下り、植物プランクトンやデトリタスを食べて成長し、1ヶ月ほどで体長5mmほどの稚エビになる。稚エビは川底を歩いてさかのぼり、以降は淡水域で過ごす。
寿命は1年から3年ほどで、環境による個体差はかなりある。20cm級のテナガエビは2 - 3年生きているものである。また、オスの方が長生きする。
カワエビ(各地)、ダンマ、ダクマ、ダグマ(九州地方)タナガー(沖縄方言)など
食用に漁獲され、重要な漁業資源となっている地方もある。地域によって様々な漁法があるが、魚やアメリカザリガニのように釣りで漁獲することもできる。肉食が強いので、釣り餌も赤虫やサシ(蛆)、ミミズなどが使われる。他にもソーセージ、魚の切り身、イカ等でも釣れる。塩茹でや唐揚げなどで食べられるが、他の淡水魚や淡水性甲殻類と同様に寄生虫を保持する可能性があり、生食はされない。
食用以外に観賞用として飼育する人もいるが、肉食性のため小魚や小型のエビを一緒に飼育すると捕食してしまう。また、多数を一緒に飼育すると共食いや喧嘩を繰り返し結局は1匹だけ残るので、1匹ずつ飼育した方がよい。
別義として、主としてイタリア料理などで用いられるアカザエビのことをテナガエビと呼称する場合もある。ただし、アカザエビは深海域に生息するザリガニ下目に分類される種で、完全に異なる。