幡ヶ谷オフィス(本社)。現在は再開発のため解体されており、同地にプレハブ造の建物が建てられている。 | |
種類 | 株式会社 |
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機関設計 | 監査等委員会設置会社[1] |
市場情報 | |
本社所在地 |
151-0072 東京都渋谷区幡ヶ谷二丁目44番1号 |
設立 |
1921年(大正10年)9月 (赤線検温器株式会社) |
業種 | 精密機器 |
法人番号 | 3011001015116 |
事業内容 | 注射器・注射針・カテーテル・人工心肺・体温計・腹膜透析システム・血糖測定ステム・診断薬・臨床検査用品・血圧計などの医療機器、医薬品、栄養食品、プレフィルドシリンジ(医薬品充填済み注射器)等の製造・販売 |
代表者 |
高木俊明(代表取締役会長) 鮫島光(代表取締役社長CEO) |
資本金 |
387億円 (2023年3月31日現在) |
発行済株式総数 |
7億4,768万2,540株 (2023年3月31日現在) |
売上高 |
連結:8,202億900万円 (2023年3月期) |
営業利益 |
連結:1,173億3,200万円 (2023年3月期) |
純利益 |
連結:893億2,500万円 (2023年3月期) |
純資産 |
連結:1兆1,110億6,300万円 (2023年3月31日現在) |
総資産 |
連結:1兆6,022億2,500万円 (2023年3月31日現在) |
従業員数 |
連結:30,207名 単体:5,457名 (2023年3月末現在) |
決算期 | 3月31日 |
会計監査人 | 有限責任あずさ監査法人[2] |
主要株主 |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 22.5% 日本カストディ銀行 10.4% 第一生命保険 4.3% 明治安田生命保険 3.3% (2023年3月31日現在) |
主要子会社 |
テルモヨーロッパNV テルモアメリカスホールディング, Inc.など |
関係する人物 |
阿久津哲造(元社長) 和地孝(元社長) 高橋晃(元社長) |
外部リンク | Terumo.co.jp JAPAN |
テルモ株式会社(英: TERUMO CORPORATION)は、東京都渋谷区幡ヶ谷に本社を置く日本の大手医療機器メーカー。「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、医療機器や医薬品を手掛ける1921年設立の100年企業。日経平均株価およびTOPIX Large70の構成銘柄の一つ[3][4]。
一般には体温計が有名だが、テルモ全体の売上において体温計が占める割合は1%未満である[5][6]。テルモは、良質な体温計の国産化に始まり、現在は、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供、160以上の国と地域で事業を展開している[7]。2018年10月にTOPIX Large70に組み入れられるなど株式市場での評価も高く、グローバルの医療機器市場で海外競合に伍する日本メーカーとして、オリンパスと双璧をなす[8]。
日本初のディスポーザブル(単回使用)注射器・輸血バッグ、世界初の多孔質ホローファイバー(中空糸)型人工肺、世界一細いインスリン用注射針など、世界初・日本初のオンリーワン製品を数多く開発・販売[9]。また、市場シェアが高い製品も多く、世界ではカテーテル治療に使用する「ガイドワイヤ」[10][11]、心臓外科手術で使用する人工肺[12][13]、献血で使用する成分採血システム[14]、日本では点滴関連のシリンジポンプ・輸液ポンプ[15][16]・注射器・点滴チューブ・輸液製剤、測定機器の血糖測定器・体温計などが挙げられる。
なお通称は同じ「テルモ」で、印刷会社の「株式会社テルモ」が埼玉県川越市に存在するが[17]、当社とは無関係である。
テルモの歴史は大きく4つに区分できる。体温計の専業時代、感染防止目的からディスポーザブル製品に業容を拡大した時代、医療の進化・低侵襲化に合わせて人工肺やカテーテル製品に領域を拡大した時代、海外企業の買収でグローバル化を加速させた時代である。
テルモは、第一次世界大戦の影響で輸入が途絶えた良質な体温計を国産化するために、北里柴三郎をはじめとする医師らが発起人となり、1921年に設立された。
第一次世界大戦が勃発した1914年頃、日本では輸入に大きく頼っていた体温計が不足。技術者の竹内英二は「竹内テルモ製作所」で体温計の製造販売をしていたが、同事業は資金的に行き詰まり、知人であり東京医師会(現: 東京都医師会)会長の笹川三男三(ささがわみおぞう)に援助を求めた。医師の間に良質の体温計を望む声が強いことを知る笹川は、竹内の事業を中心とした会社の設立を進めた。その後の1921年9月17日、大日本医師会(現: 日本医師会)会長の北里柴三郎が設立総会の議長を務め、笹川を初代社長として、テルモ株式会社(当時社名「赤線検温器株式会社」)が誕生[19]。社名「テルモ」の由来は、ドイツ語で体温計を意味するThermometer (テルモメーター)から。
なお、上述のとおり、1921年以前も日本で体温計は製造されていたため、「体温計を初めて国産化した」は誤り。
設立から40年間、体温計専業だったテルモは、1963年に日本初のディスポーザブル注射器を発売し、業容を拡大した。1958年、感染症対策に効果的なディスポーザブル注射器の開発を開始。注射器本体だけではなく、熱に弱いプラスチックの滅菌が可能な新たな低温ガス滅菌法、ガスは通し菌は通さない包装材の開発なども行った。ディスポーザブル注射器は、当初は「もったいない」意識から普及が遅れるも、1970年頃から大病院でも導入され、普及が進んだ。
注射器以外にも、1964年に日本初のディスポーザブル注射針、1969年に日本初の血液保存液入り血液バッグ、1972年に日本初のソフトバッグ入り輸液剤、1977年にホローファイバー型人工腎臓(ダイアライザー)、1980年に日本初のソフトバッグ入り高カロリー輸液用基本液「ハイカリック」と、数多くのディスポーザブル製品を世に送り出した。
なお、1974年に現社名のテルモ株式会社に商号を変更している。
1982年に、世界初の多孔質ホローファイバー型人工肺「キャピオックスII」を発売。1985年には、血管造影用カテーテルシステムの1つである「ラジフォーカス ガイドワイヤ」を発売。それぞれの発売により、心臓外科手術と心臓カテーテル治療分野に参入することになった。
また、心臓治療領域ではないが、1983年の電子体温計、1988年の腹膜透析システム「キャプディール」、1989年の世界初の消化態栄養剤「エンテルード」、1989年のプラスチック製真空採血管「ベノジェクト」、1993年の血糖測定器「メディエース」、1995年の経皮的補助循環システム(PCPS: ECMOの一種)、1998年の医薬品同梱注射針「K-Pack II」など、現在の基盤となる製品もこの時代に多く発売された。
なお、祖業の製品であるガラス式体温計は水銀の環境影響が考慮され、1985年、その生産に幕を閉じた。
テルモは、1971年のテルモアメリカ社とテルモヨーロッパ社を皮切りに複数の海外子会社を設立していたが、1999年以降、以下の4つに代表されるクロスボーダー買収で、急速にグローバル化を加速。
これら以外にも10近い海外企業・事業の買収を重ねてきたこともあり、100社に及ぶテルモの連結子会社は9割以上が海外法人で、それぞれ独自の歴史と企業文化を持っている[20]。このような状況下で、2019年4月には企業理念体系を整理し、世界中の社員をつなぐ共通の価値観である「コアバリューズ」を新たに制定した[21]。
一方で既存事業でも、白血球除去フィルター付き血液バッグ「イムフレックス」、国産初の冠動脈ステント・薬剤溶出型ステント(DES)、プレフィルドシリンジ(薬剤充填済み注射器)、クローズド輸液システム「シュアプラグ」、高カロリー輸液用総合ビタミン・糖・アミノ酸・電解質液「フルカリック」、世界一細いインスリン用注射針「ナノパスニードル」、通信機能付バイタルサイン測定機器シリーズ「HRジョイント」、日本初のスプレー式癒着防止材「アドスプレー」、日本初のパッチ式インスリンポンプ「メディセーフウィズ」などを発売。
テルモは、買収だけではなく、既存事業の成長と、買収先と既存事業のコラボレーションによる付加価値創出で拡大を続けるグローバル企業になろうとしている[22][23][24]。
2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のテルモへの業績影響と関連製品は以下のとおり。
テルモは「コロナ銘柄」として業績拡大すると誤解されがち[26][27][28][29] だが、同社の見通しでは、新型コロナウイルス感染症は、テルモ全体の売上・利益にマイナス影響を与えると説明されていた[30][31][32]。実際に、2021年3月期の通期業績は2009年3月期以来12年ぶりの減収減益(純利益)となった[33]。
一部、後述の関連製品で需要増加はあるものの、新型コロナ対応を優先する医療機関の手術延期[注釈 1]と、患者の受診抑制が、減収減益の主な要因である。
自社開発品では、経皮的心肺補助システム/体外式膜型人工肺(ECMO)「キャピオックスEBS エマセブ」、体温計、パルスオキシメータ、注射器、成分採血装置「トリマ」、血液成分分離装置「スペクトラオプティア」、病原体低減化装置「ミラソル」、導入品では、紫外線照射装置「ライトストライク」、手指消毒剤「ゴージョー/ピュレル」などが、コロナ禍で治療・予防に貢献してきた[34][35][36][37][38][39]。
連結子会社101社、持分法適用関連会社5社[7]。 [40]
2012年3月まではCMが放送されていたが、2012年4月以降はテレビCMは放送されていない。
かつては主要都市の中心にネオンサインが設置されていたが、ロゴサインが変わる前にその数は激減している。
富士労働基準監督署は9日、労働安全衛生法違反の疑いで「テルモ」と同社の富士宮工場長を静岡地検富士支部に書類送致した[45]。